ナルト&シカマル&縁真のお誕生日おめでとー企画でーす。
2006年10月末までフリーと致します。
著作権はもちろん放棄しておりません。
お持ち帰りの際の一報とかは無くてもかまいませんご自由にお持ち帰りください。
  「子供の王国」管理人、縁真(えんま)より


 暗部に入るという事は、忍びにとってまさしくステータスである。
 力にしろ頭脳にしろ、認められた証である。
 それゆえに暗部の試験は大変難しいのである。

 ・・・だがしかし

「はぁ?」
「なんで俺らが」

 ――――試験官なんかやらなきゃなんねーんだよ―――――

 今年度の暗部試験はなにやら一波乱ありそうな気配であった。



   

未来ある暗部試験   




 本日、今年度の暗部の試験官が選ばれた。
試験官とは

「試験内容を考え、新たな暗部を選出する権利を持つ」

そんなとても凄い立場の人間である。
その試験官は毎年暗部から3人選出されるのだが、今年はなんと実年齢12歳の子供2人が試験官を任されたのである。
 
木の葉の里長もチャレンジャーである。
 


いや、この場合

仕方ないだろう。元々の決まりごとなんだからな。あたしだって未来ある若者選びをガキんちょ共になんか任せたくないんだ!!


 五代目火影様はこう見えても意外と常識人だ。
いくら精神的に大人びているとは言え、目の前の2人はまだまだお子様。それを誰よりも弁えているのが五代目火影を名乗る綱手の良いところだ。
 
 だがしかしたとえ火影といえども里の決まりごとを覆す事は出来ないのである。

「だいたいお前たちが妙に暗部内で人気なのが原因だろうが!!」

 あたしのせいじゃない。お前らの自業自得だとスパッと言い切られ2人の子供は首を傾げた。

「「はぁぁ?」」

 何言ってんだバーさん。その表情はありありとその言葉を物語っていた。
「自覚無しかい。・・・これだから天然お子様ーズは・・・。」

 深い溜息をつき呆れ果てたと首を振る火影様に2人はムッとした。とりあえず貶されたのだけはよぉぉぉく解ったのだ。

「自覚って何の話だ?」

 眉を寄せて尋ねたのは金の髪と青い瞳がトレードマークの『うずまきナルト』。

「だいたい自業自得って俺らが何したって言うんです?」

 半眼でつまらなそうに尋ねたのは頭の上でパイナップルのように結ばれた漆黒の髪を持つ『奈良シカマル』。

 元、下忍ルーキーの中でもドベ組と呼ばれていた二人が何故ここ(火影室)にいるかと言うと深い理由がある。

「『暗部試験官は現役暗部がする事。その選出は投票制である』少し前に投票用紙に名前を書いて貰った筈だが?」

 火影様のお言葉に2人は考え込んだ。そーいやなんか書いた気がする。・・・しかし試験官選出用紙だったと言うのは初耳だ。

「あーあれって確か『暗部内人気投票』って名目だった気がするんですけど」

 シカマルの言葉にナルトも思い出した。
 確か『好きな、はたまたお気に入りの、尊敬する、一緒に組みたい』そんな暗部を書けと言われ、とりあえず相棒の名前を書き込んだ。しかしあいにくとマスはもう2人分。

「あれさー俺、シカマルとイルカ先生の名前書いて後1人思いつかなくて空白で提出したけど?」
「右に同じく。ナルトとイルカ先生の名を書きました。」

 ナルトの言葉に満足そうに頷きつつシカマルも答えてみせれば火影様は重々しく頷いた。

「そう。ほとんどの者がその名を連ねていたよ。教えてやろう。木の葉の人気暗部ナンバー1、ナナ」
「へ?俺?」

 キョトンとナルトが自分を指し示す。隣でシカマルが当然だと納得しているのは驚愕あらわなナルトが気づくはずもない。

「それから・・気づいてるだろうがナンバー2はお前だよシシ」
「ぅあー・・マジかよ」

 話の流れから予想はしていたが実にめんどくさい話である。シカマルは頭を抱えたくなってきた。

「そして第三位が」
「「イルカ先生」」

「そう、暗部名スイ。彼だ。よってこの3人に試験官の任務を託すこととなった。」

 厳かにしめると綱手はこれで話しは終わりとばかりに手持ちの資料を押し付け
「解らない事があったらスイに聞くといい。あいつは以前1度だが試験官の経験があるからな」

 それだけ言って火影室から追い払われた。
 2人は書類を見つめ内心唸り、それから思った。


((まぁいっか。イルカ先生に任せちまえば))



 火影室からの帰り道、この後の任務のために暗部用の大人姿に変化していたナルト、シカマル両名は資料をクルクル丸めてそれをブンブン振り回しながらグチっていた。

「強制ってどーよ?」
「俺らにも拒否する権利は欲しいよな」
「ばあちゃん最悪ー」
「むかつくから今度すっげー忙しい時期にストライキしてやろうか?」
「お、それいいなシシあったまいーー」

 グチ・・というには少々不穏な気配が漂っていたが。
 秦から見れば憧れの二大暗部が知的な会話を交わしているように見える(節穴だと思うが)のだろう、周りの暗部やら上忍たちは心酔しきった瞳で2人を遠巻きに眺めている。

 そんな2人に気楽に声をかけられるものは忍びの中でも限られていたりする。
 例えば

「ああ。ナナ、シシ。良い所で会った。火影様から話は聞いたか?」
 そう、先ほど話題に出た人とか。
「おースイじゃん。ちょーどさっき聞いた所。」
「めんどくせーことになってるっすね」

 海野イルカとは似てない顔立ち。だが穏やかな雰囲気はそのままなスイは2人に話しかけてきた。ここに木の葉3大暗部が勢ぞろいしたことになる。
 もしミーハーなくの一でも居ようものなら間違いなくシャッターチャンスのこの状況。周りは3人の会話に興味津々なこと請け合いである。

「悪いが今日は時間とれないから明日の昼の任務後に俺のところに顔出してくれるか?」
「あー俺らも今から任務だしその方がありがたてーや。」
「ってか今の時期だと部外者以外立ち入り禁止じゃないんですか?」

 スイ・・イルカの言う俺の所というのはアカデミーであり、今の時期だと卒業試験のシーズンであるはず。バタバタしているのでは?と懸念してのシカマルの言葉に

「いや、それは来週からだから大丈夫だ」
 安心しろとイルカは微笑んだ。
「おっけ。じゃまた明日〜」
「まぁテキトーに行くっすよ」
「ああ、待ってるよ。とりあえずお前らは今夜の任務頑張れよ」

「「了解」」






「イッルカせんせーーいっちっらっくぅぅぅぅ!!」

 次の日のお昼の任務終了と同時にアカデミーへと駆け出したナルト。
時刻はもうすぐ夕方。
今から夜ご飯だとちょっと早いけど全然オッケー。そんなことを思いつつ約束どおりイルカの元までやってきてみれば、そこにはすでにシカマルが居た。

「なんでシカマルがいるってばよっ」
ナルトらしくビシィッと指を突きつけてみせる。

「あ?受付業務で聞きてぇことがあったんだよ。親父に聞いても全然役立たなかったからな」

 3人の裏での関係を知るものからすれば笑えるほど適当なこじつけ。
 でも知らないものに対しては大切なパフォーマンスなのだ。ナルトが一楽をねだりに来るのはいつものことだが、シカマルが来るのは珍しい。

「あーなんかシカマルがちゃんと仕事してんのって変な感じだってばよ」
「へっうっせぇよ」
「あ、んじゃさ。シカマルも一楽いくってば?」
「・・・・いいっすか?」
「シカマルが迷惑じゃなければ、な」
「んじゃゴチになります。」
「俺がおごるのはすでに決定なワケだなお前らの中では」

 はは・・と笑いつつ書類を引き出しにしまい2人の背を押し職員室を退散するその姿は、ただの生徒思いの優しい先生としか回りの瞳には映らなかった。


「相変わらず上手いな」
「そぉ?」
「まぁおかげで楽させてもらってっけどな」

 3人でご飯を食べるというのが自然な流れを作ってしまうナルトにイルカが感心し、シカマルが肩をすくめる。
 一楽で注文を終えイルカは本題に入った。

 ちなみに一楽の店主&店員は忍びの守秘義務をよーーく理解している立派な方たちばかりなので聞き耳を立てることも無ければ、聞いた事を吹聴することもない。

そこらへんの律儀さが愛され、忍びたちの憩いの場となっていたりもする。
そんな素敵な場所なのだ。

「お前らを呼んだのは他でもない。例の試験についてだ」
「あ、うん。」
「まぁ一応最初に言っておこうと思ってな」
「「何を?」」

 2人の質問にイルカはニツコリ最上級の微笑みを浮かべて見せた。

「俺に全て押し付けて楽しようと思っているならこちらもそれなりの対応をするつもりだぞ・・・とな」

「・・・ははっまっさかー」
「そんなこと俺らがするわけないっすよ」
「ははは。そう願ってるよ、お互いの為にな。」

 明らかな脅しである。熱いくらいの熱気が舞うラーメン屋。
 当人達に吹き荒れるブリザード。

 後に2人はしみじみ語る。


「俺はイルカ先生だけは敵に回しちゃいけねぇって悟ったな」
「俺さぁ。・・・人間があんな怖い笑顔できるって初めて知ったっての。・・知らないままでいさせて欲しかったよマジで。」

 シシとナナにここまで言わせてしまうとは。


 さすが暗部人気ナンバー3である←関係ないし





 そんなこんなであっというまに試験当日。
 自分達に負担が来ないよう、昨年と同じ試験内容にすることにした3人。そうすると準備内容から発生したアクシデントまで昨年の資料を参考に出来るのだ。 

 ただし、することは一緒でもメインとして見る部分は違う。
ただの筆記試験ではないし、ただの勝ち抜き戦では無い。
彼らなりに考えた効率よく素敵な忍びを探す方法である。ムリヤリにせよ未来の仲間を選ぶ権利を得たのだから、しっかり見極めて使えるやつを入隊させたいに決まっている。

 第一次で筆記。
実力ある忍びでも術の根本を理解していない者が多いのが最近の暗部の悩みの種である。
それでは術の開発など出来やしないでは無いか。
更に言えば成長が見込めなかったりする。

 そんな訳で今年は筆記に重きを置き、ここで大分落とす気満々だった。

 まぁ1つでもキラリと光る答えが書けたら他の試験が悪くても採用したいと考えていたりするくらい重要視していたりする。
・・というのがナルトの言。
シカマルとイルカに異存はなかった。


という訳で試験中である。
初めて間近で見る3大暗部に目を輝かせる上忍達に、笑み1つ見せずに淡々とプリントを配り、制限時間を告げ、さっさと部屋から退出してきた3人。
カンニング防止の必要は?

と聞かれたら。

必要ない。と3人は応えることだろう。

もし、上忍にもなってカンニングしようってーなら、そいつの人生はこの先真っ暗だろう。そんな奴は顔見れば分る。

というのが現在進行形で先生という立場のイルカの言葉である。

いやーこの問題カンニングしてる暇あるか?っつか他のヤツラもそれなりに経験つんでるんだしなぁカンニングしようとしたら即周りから袋叩きだろ?
その為に俺らがわざわざ名前隠さず登場して「カンニングするような馬鹿を見かけたら気づいた奴が伸しといてくれ」と丁寧(←そうか?)に頼んでおいたのだから。

頼む?と激しく疑問なお言葉を吐いたのがシカマル。


そして
別にカンニングしてもいいけどさーこれ同じ解答が書かれてたら即バレるけどねー。カンニングしにくい問題だもんな。

とニヤニヤ自作のテストに笑みを浮かべるナルト。

そんな訳で3人は完全に受験生を放っといて、別室でのんびりしていた。

いや、のんびりしていたのはナルト1人か。



「なぁナルト。これ難しくないか?」
「そう?あっイルカ先生30点〜!!」
「悪かったな」

 ちなみに100点中である。イルカとしては情けない限り。試験問題を作成したナルトを恨めしそうに見やった。
「でも答えられた全てが最高の解答だったから俺なら絶対に採用決定だったなー」
「あーそりゃどうも」

 表に出す気はないが最高の暗部ナナに褒められるのは純粋に嬉しかったりするイルカ。ポリッと鼻の頭を掻きつつ緩んでくる口許を引き締めていた。
 それをごまかす様に隣で楽しげに問題を解くシカマルに話しかけた。

「シカマルは余裕そうだな」
「まぁこっちは俺の得意分野っすから。ナルト、この問題いいな」
「へっへー♪」
 個人の忍としての本質が解って、ついでにむいている方向性もわかる。

「イルカ先生はやっぱり補助、医療系が得意っすね」
 そこらへんだけ書けている。
「いきなり新しい技を書けなんて制限時間内では無理だろ!!」

 そう。そういう試験だった。

「別に構成は書けたらってだけで『こんな術あったらいいなー』っての書けって言っただけじゃん。すでに一般化されてる術書いたらそいつの勉強不足ってことだしさ」

 ナルトはへへんと笑って見せた。
 新しい術の開発、カスタマイズは純粋にナルトの趣味である。その為ついついイルカとしては公私混同だろ?と突っ込みたくなってしまう。しかしシカマルの言うとおり、試験としては実に良い案かもしれない。

「お、そろそろ答案用紙集めて二次だな。シカ、イルカ先生まかせたー」
「ああ。行ってくるよ」
「おーけー。いい解答あったら後で見せろよナルト」
「おー」


「「「さてと」」」

3人してポンッと変化して部屋を後にする。
ナルトはこれからせっせと点数付けだ。
 


二次試験は純粋なる戦闘力チェック。いや、純粋?とは疑問の声が上がるだろうが。
先に希望の部署を聞ききちんと組み分けはしてある。
相手を死なせたら失格。
それ以外なら何しても良しの時間制限有りバトルである。

ちなみに敵はシシとスイである。

組み分けされた3人一組でシシとスイに挑むわけだ。
ハンデとしてシシとスイはクナイ一本以外の武器は使用しない。
「せめて10分もたせろよ」

というのが2人の意見であるが。



いざって時に手当てできるシシとスイが敵役であるのは当然の采配であろう。
ナナはこの試合が見えるところで答案と格闘中である。

どれだけ動けるか。出来る限り闘いやすいようにと選んでチームを組ませたが、その状況でいかにうまく自分の立ち位置を理解し戦えるか。
焦点はソレである。

中忍以上であるならば考えて闘えるはず。
上忍であるのだからそれなりの体力も腕力も戦略も持っているはず。
そして即座に組んだ相手とのチームワームを発揮できなくてはこの先暗部なんてやっていけない。



ちなみに試合が見える場所で採点をしている筈のナルトだが。
ついつい採点の方に夢中になってしまう。
なにせ半分以上趣味である。期待も高鳴るというもの。
だがしかし、

「まぁまあ・・いまいち・・・なかなか・・・駄目・・・ダメ・・・ダメダメ・・・・お、ちょっと光った。いけてる・・・まぁまあ・・・」
 たまにキラリと光る解答に頬を緩ませニコニコしながら。それでもやっぱり
「キラリと光のは難しいなぁ」
未だ上出来ランクが出てこないのに溜息をつきたくなったナナであった。



「ほい、二次試験の結果な」
「こっち一次の結果。こいつとこいつは採用決定な」
二枚だけ別に渡し、後は十把一からげ。
「・・不作だな」
「木の葉やばいんじゃねーの?」
あれだけの受験者に対してキラリと光ったのがたった2人。
その事実にイルカがやれやれと頭を振り、シカマルが不穏なことを口にする。

「・・これ見た限りじゃ二次もいまいちだったみたいだな」
「おーよ。聞けよあいつらの腰抜けっぷり。まだ俺らの中忍試験の方がマシな試合だったぜ」
個人データの横に何故かある
『つかえねー』『いらねぇ』『却下』
という走り書き。更には良くわからない落書き。
いかに退屈だったかがその採点用の紙から伝わってくる。

「試合の最中それだけ暇だったのか?」
「すっげーつまんなかったんだ。」
「シカマルは俺に戦闘を押し付けて一人で落書きしてたからな」
イルカは気持ちは分らないでもないと苦笑を見せた。



「こちらも即使えそうなのは1人か2人。もう少し頑張りましょうが5、6人って所かな。後は・・上忍ですらやっていけるのか?って思ったぞ俺は。どうなる木の葉と俺ですら心配になってきたな」
イルカまでもが不穏な言葉を吐き出した。
毎年30人以上の暗部を入隊させるというが、この中からどうやって30人チョイスしろって?
いっそ阿弥陀くじでもいいくらいだ。


「今年の採用は・・・・・10人以下決定・・・か。うわ、最悪。」
ナルトの疲れたような声に2人も仕方がないと頷いた。




「ってワケで今年の採用者ね。」
「どれ?今年は・・5人!?」
「ばぁちゃん。木の葉底上げしないとこの先やばいぜ。」

皮肉るでもなく淡々と事実を述べたナルトに五代目火影様は机に突っ伏した。

「ああ。なんとなく解ってはいたけど。こんなに酷いのかい今のうちの忍びの質は」
「試験していて哀しくなりましたよ私は」

イルカの言葉にシカマルも同意する

「あいつら暗部に入れるって本当に思ってたんだよな、あの程度で。俺はその嘗めっぷりが怖いっすよ」

上忍としてちょっと強い程度で簡単に暗部になれると思ってもらっちゃ困る。

「はぁ。まー今年あんた達に試験官してもらって正解だったかもね。他のヤツラは甘くてね。上忍で名を馳せているってだけで天狗になってるヤツだったり、戦闘力重視で己の限度見極められないヤツラばっかりだったり。まぁ試験で解るのはどれだけ頭に勉強を詰め込んだか、と一対一の闘いが強いかだけだからな。」

今回の試験は実に参考になったよ。
特に筆記の。まさか術の構成理解してないヤツがこんなに多いとはね。


そこまで語ると綱手はバンっと机を叩いた。


「ってワケであんた達に木の葉の忍び全般の能力アップに協力してもらうよ」
「「「はいっ?」」」

木の葉やばいっすよ。だから頑張れ五代目!と言うだけ言って去るつもりがとんでもない方向に話が流れてきた。

「ナナ。下忍の方はしばらく休止だ。新技開発に打ち込んでおくれ。ちなみにそれに他の忍びもつき合わせるよ。授業形式にしていってほしい」
「下忍任務休みは嬉しいど他のヤツラは足手まといっっ開発の邪魔っっっ」
「これも任務だと思えっ術の構成能力においてお前の右に出るものはいないのだからな」

というかナナが飛びぬけすぎなのだが。

おうぼーだっっと叫ぶナルトを無視して

「シシ」
「あー・・・無駄のない戦闘の仕方っすか?」
「そうだ。話が早くて助かるよ。お前が一番それを教えるのにむいているからな。下忍、中忍、上忍、それから暗部、全てのヤツラに一から教えてやってくれ」
「・・・めんどくせぇ・・」

心底嫌そうなシカマルをこれまた無視して


「スイ」
「嫌です」

次は、とイルカを見ればうっと唸ってしまいたくなるほどの笑顔で言い切られた。
これだから腹黒い大人は嫌だいやだと内心綱手はうめく。

「そう言わずに」
「私は昼間はアカデミーで手一杯ですので」
「もちろんそれは考慮する。」
「可愛い未来の忍びたちの授業をないがしろにするおつもりですか?」

どこまで本心か解らないが下忍〜暗部までのめんどうを見るくらいならアカデミーの子供たちの方が楽だと思っているに違いない。

「イルカ先生。俺たちだけに押し付けるのってズルイっ」
「めんどくさいことは分かち合ってこそ仲間だと俺は思うっすよ」

「というか医療、補助系の術を使えるものがめちゃくちゃ少ないのはイルカ、あんたが一番知っているだろう?そしてその術がどれだけの人を救うかということも」
「・・・」
「もちろん期限は設けるさ。ナナ、シシ、スイ。お前たち3人で1年だけ頑張ってみてくれないかい?」

1年・・ねぇ。その程度でどうにかできるとは思えないけどさ。

「それで全く効果が見られないなら他の方法を考えるさ。もし驚くほど全体の忍びの能力が伸びたら結果的にお前たちの任務の負担が軽くなる。」

確かに休むに休めない、それほど忙しい暗部業の負担が軽減するのは大変喜ばしい。

「ほんっとーーに1年だけなら」
「それ以上はたとえ良い結果が出たとしても俺らは関知しないっすよ?」
「それでも宜しければ・・・」

「「「引き受けてもいい」」」
かなぁ。
けどな。
ですよ。




これからの一年が、後に木の葉の歴史書にも書かれるほどの大きな改革の年となる事を綱手も、ナルトもシカマルもイルカも



今は当然知るはずが無いのであった。



                       おしまい