バレンタインウォーズ3


よお。俺キバってんだ。んでこっちが俺の相棒の赤丸!!
ちょー可愛いだろっ。
んで今任務中。
なんか朝からそわそわしてんのはやっぱ昨日のナルトの発言のせいか?
心なしか俺だけじゃなくってシノとかひなたもそわそわしてんだよなー

っと・・・あー紅せんせーもかよ

おっと忘れちゃいけねー赤丸もなっ。

みんな楽しみにしてんだよなあいつのチョコ。
男も女も関係なく「大好きな人」にあげるとあの変態上忍がくだらない(今回はナイスだっ)入れ知恵をしてくれたおかげで
あいつの周りの人間はわくわくしている。
チョコがステータス。
あいつにとっての自分の位置。
ま、俺もあいつの事嫌いじゃねーし?
っつーか遊んでて楽しいからす・・・好き?だと思うんだよな
ってことはあいつも俺のこと好き・・・だよな?

赤丸とも仲いいし。きっと俺らにはくれるよなー
「わんっ」



「あーキバっシノっひなたはっけーーーん」

「おーナルトじゃねーか。相変わらずうるせーヤツだなー」
「うるさくないってばよっキバの方がうるさいってのーー」
「なんだとーーー」
「やるかーーー」

いつもの文句でいつものじゃれあい。
こんな時怒った顔しながらも目が笑ってるのをお互い知ってる。
これが俺たちの挨拶代わり。

そこに

「はいはいっそこまで。うずまき任務中じゃないのかい?」

紅先生が絶妙なタイミングで止めに入ってくれる。

「うんっ今日の任務はあそこらへんのお掃除だってばよ」

誇らしげに本日の任務を答えると持っていたホーキを振り回す。

「危ない。」
「あっごめんってばシノ。」

ぶつかりそうになり慌てて回すのをやめたナルトはシノの背後のひなたに気づきニッコリ笑いかけた。
それに勇気を得たのだろう、シノの後ろからおどおどと出てきた。

「あっあの・・・」

なるとに珍しく自分から話しかけようとするヒナタに思わずみている俺の手に力が入った。

頑張れヒナタっ

気分は父親。

「ん?なんだってばヒナタ?」
「あ・・の。こ・・・・これっっ」

ポケットに用意していたのだろう綺麗にラッピングされた包みをグッとナルトに差し出す。
真っ赤な顔をうつむかせて。
必死に。
懸命に。

その包みがさっき俺らが貰ったものより大きいのがちょっとだけ癪にさわるが気にしちゃいけないっ。
ここはヒナタの頑張りを褒め称えるほうが優先だろう。

普段のひなたから考えればもうこれだけで、「よくやった!!」ものである。


「え?俺に」

不思議そうにパチクリするナルトに何度もコクコク頷く。

「うわ。すっげー嬉しい。ありがとうヒナタ」

本当に嬉しそうにニコリと笑いかけられ失神寸前のひなた。

よかったな。ひなた。
偉かったぞっっ

「あっそーだ。俺も持ってきたんだってば。ヒナタ甘いの好き?」
コクコク。
言葉を話す余裕がないヒナタに気づいていないナルトは珍しく背負っていたリュックをあさりそこから一袋取り出した。

「はい。俺からもバレンタイン」
「あ・・・・りがと・・・う」

ギュッと渡されたそれを握り締め嬉しさのあまりに泣き出しそうなヒナタ。
後ろから紅先生がヒナタの頭を撫でていた

「よかったな」
「うん・・・うん・・・」


「あとーあっキバと赤丸は甘いのすきだよなっ」

「おうっ」
「わんっ」

迷いなくハイと渡され赤丸と一緒に喜びの雄たけびをあげてしまった。
ほらっやっぱり俺たちも大好きな人の仲間入りっ

「さんきゅーナルトっっ」
「わんわんわんわんっ」

「おうっ!!」
力いっぱいお礼を言えば嬉しそうに返された。

「シノはー。んー甘いのより甘くないほうがいいかもってば?」


「うむ」

「じゃ、びたー味だってばっ」

「ありがとう」
一見わかんねーだろうけどシノは嬉しそうな表情をみせた。
うーん珍しいもんみちまったぜ。

「えへへ。どーいたしましてっだってばよっ」


「うずまき。あたしには無いのかい?」
「へ?紅せんせーも?欲しいってば?」
「なんだいなんだい一人だけ仲間はずれはないだろう」
「んと。だってせんせー」
俺からもらっても嬉しくないんじゃ・・・


ポツリと消極的な言葉がもれ出て俺たちは一斉に眉を寄せた。


この言葉を吐かせたのはこの里のむかつく大人ども。
むかつく。むかつく。むかつくーーーーっっ



「ヒナタはチョコくれたから大丈夫って思った。
キバはいつも一緒に遊んでるから大丈夫って思った。
シノはなんかよく分かんないけどなんでか、大丈夫って思ったってば・・でも・・・」


でも紅せんせーは大人。
俺ってば大人にはすっげー嫌われてんの。

そう続けるナルトに俺たちは唇をかみ締めた。
ああっ本当にむかつくっ。
お前は何にも悪くねーって言ってやりたいのに俺が言ってもぜんぜん説得力ねーし

シノもヒナタもそう思ったのだろう
思わず三人で視線を合わせそして同時に紅先生を見上げた。

今この場にいる唯一の大人。
紅先生は「任せな」とでもいうように片目を瞑ると
そらを仰いでわざとらしく嘆いた。

「やだねぇ。あたしはちゃぁぁぁんとうずまきの分も用意してきたってのにねぇ」
「えええっ」
「ほら。手作りじゃなくて悪いけどね」
「えっえっええ?いいってば?」
「いいに決まってるだろ。うずまきにって買ってきたんだから」
青い包装に金のリボン。
それはまさしくナルトのための一品。

「え・・と。ありがとう・・ってば」
ヒナタに貰ったときはあんなに笑顔で。
なのに、今はどこか戸惑い気味。

それにちょっと物悲しそうに笑ってみせる紅先生はやっぱり満面の笑顔を期待してチョコレートを用意したんだろうなって思う。
でもそんなナルトの態度は仕方無い。
だって紅先生は大人だから。
満面の笑顔は子供の俺たちの独占状態!!


「いえいえ。んで?そんであたしには」

引く気はないらしい紅先生に諦めたのかぼそぼそと尋ねた

「甘いのと・・甘くないの・・・どっちがいいってば?」
「もちろん両方♪」

紅先生の遠慮ない言葉に俺たちは爆発した。

なんだそれはっ
せんせーずるいってっっ

「あーーーずっけーーー!!俺だって両方ほしーーーっ」
「わんーーー」
「俺も・・」
「あ、わたしも・・」
俺と赤丸だけならともかく、シノとヒナタまで抗議するとは珍しい。
俺たちは8班特有のチームワークでナルト攻略にかかった。



「・・・・・・・・それは困るってばよーーーーう」

ふ、残念ンだったなナルト。
俺たちのチームワークはこんな時には最大の威力を発揮するんだぜ←自慢になるのか?







8班によって奪い去られたブツの被害者。


シカマル・イノ・チョージ
一楽の店主テウチと同じく店員アヤメ。。

そしてカカシ。




「・・・・・・・・ナルト。俺もらってねーんだけど」
「あたしもっなんでよーーー」
「・・・・・・チョコレート・・・・食べ物の恨みは恐ろしいよ〜」
意外なことに
シカマルもイノもチョージ(これは意外じゃないか)も静かに力強く切れたらしい。

「なんでーーーーーーーーーーーなぁぁるぅぅとぉぉぉぉぉ」

もちろんカカシも。

イルカから聞いて密かに楽しみにしていた一楽の親父と看板娘の盛大な落胆振りもここに記しておこうと思う。


おしまい。

あはは。結局カカシ貰えないでやんのーー(笑)
途中まではカカシ君甘いのも甘くないものもらえる計画でした。
でもなんでか書いているうちに変わっちゃった♪ごめんねカカシせんせっ