ミッション 子供達の謎を探れ



火影直々の依頼を受けたのは、その日の午後だった。

「調査?」
「左様」
 ネジの問いかけに、火影は軽く頷いた。
 その日の任務を終え、報告をしに訪れた彼らに与えられた新しい任務。

 それは……同じ下忍であるナルト達の調査だった。

 火影は里の平和の為、水晶で里をいつも見守っている。(けして覗き見では無い)
 しかし、一番気にかけている存在が水晶にたまに映らなくなってしまうのだ。
 同期の子供達と共になるのを合図に、彼らの姿は神隠し。
 急いで担当の者に付近を捜させても見つからず……犬忍の鼻も駄目。
 ようやく見つける時、彼らはボロボロになっている。
 これは一体どうしたのだろう?と思い、話を聞けば。

『秘密の修行だってばよ!じっちゃんでも秘密!』

 そう言って元気な笑顔を向けてくれる。
 一緒に居る子供に聞いても、答えは同じ。

 彼らが何か危ない事に巻き込まれていないか、火影はそれが心配なのだ。

 大人ではどうしてもナルトは怯え、警戒してしまう。
 だが……同じ下忍の子供ならば?

 そこで白羽の矢が立ったのがガイの班だった。

 それなりの実力を持ち、彼らとも面識がある。
 調査にはうってつけの者達。





 現在居る場所を聞き、一同は熱血しているガイを置いて現場へ向かった。
 辿り着いた場所は里の近くの森、彼らも修行に活用している場所だ。
 入り口付近で彼らは足を止めた。
「とりあえず、俺が白眼で見る」
「お願いね、ネジ」
 テンテンの言葉に「あぁ」と答え、ネジは意識を瞳へ集中させる。


「白眼!!」


 発動した眼に見えるのは、ナルトを皆で一斉を襲っている彼らの姿。
 一瞬何事かを思ったが、すぐにそれが修行である事を理解する。
 ナルトの動きに皆ついていけず、術を発動させても簡単に避けられてしまってい
た。
 キバが赤丸とコンビネーション攻撃を仕掛けるが、ナルトは軽いジャンプで避けて
しまう。
 シカマルが死角から影を伸ばしても……サスケが火遁を発動させても……

 その動きに無駄は全く存在しない。

 ネジはしばしの間、彼の動きに魅入っていた。
 それは何処か踊りにも見えた。

 普段とは違う彼の様子に疑問を覚えつつ、ネジは見続けた。
 だが、ふとした瞬間……ナルトの視線がこちらを向いた。
 偶然ではない。


 その瞳は、間違いなくネジを貫いた。
 美しき真紅の眼で。


「っ!!」
「ネジ?どうしたんですか?」
 白眼の発動を止め、ネジは自分が呼吸を止めている事に気がついた。
 神秘的な姿に、呼吸すら忘れていたのだ。
 不思議がる二人に「何でも無い……」とだけ答え、ネジは顔を上げた。
 発動していない眼では彼らの姿は見えない。
 だが……向こうはこちらが見えている、そんな感覚に陥る。

「……奴等は修行をしているだけだ、特におかしな所は無い」

 嘘だ。
 あれだけ多勢に無勢だと言うのに、圧倒的な力の差があった。
 そして……あの緋色の瞳。

 ネジは知らず知らずのうちに拳を握り締めていた。

「ネジ?どうしたんですか?」
 不思議がるリーの問いには答えず、ネジは踵を返した。
「ちょっ!ネジ?」
「奴等は修行をしていた、俺達もサッサと報告を終えて修行するぞ」

 そう言い残し、ネジは火影の部屋へと向かった。






「有難う……な」


「ん?どうしたの?」
 またいつもの様に一撃も入れる事が出来ず、彼らは地面と仲良くなった。
 倒れる彼らの中心に立った存在は一言呟いた。
「いいや?何でもないさ……」
 小さく口元を上げ、誰も居ない方に顔を向ける。
「?」
 それにつられ、皆も顔を上げた。


 その方角には、先程まで三人の下忍が立っていた。

「月世界」の葉月・ルナ様よりリンクのお礼を頂きましたーーーー
むしろこちらがお礼をしなきゃいけないのにありがとうございます♪
そしてリクエストさせて頂いて、すぐにこの素敵小説がやってきました。
早いですっそして見事ですっ。
リクは「葉月さまのサイトの設定で、ネジ達の班にバレる(だれか1人でも可)」でした。
バレネタは難しいというのに凄いですっ。こんなネジが大好き〜
あ、ちなみに題名は縁真がつけたものなので変です。すみません(笑)