1.始まり
「朝日がまぶしい・・・」
「目にしみるよな」
任務を終え、ようやく里へと帰ってきた二人。
ただ今火影宅へと任務終了の報告をしに向かう途中だった。
暗部名はナナシとドク。
知る人ぞ知る。超エクセレント級の暗部だった。
エクセレントの意味なんぞ聞かれても二人には分からないが。
「今日はなんだ?」
主語の無いドクの短い問いかけにナナシは迷うことなく答える。
ここらへん二人の意思疎通能力の高さをうかがわせる。
「庭の掃除。そっちは?」
「にたよーなもん。めんどくせー」
これから待ち受ける下忍の任務に二人は心底嫌気がさす。
いつもならもう少しゆとりを持っているのだが、今日は久々に二人ともダウンしていた。
二人で盛大なため息。
この姿ですらまだ若いというのに、元に戻ればまだ12才という幼子。
だというのに、ため息をつく姿はあまりに年寄りじみていた。
「疲れた」
「俺もー」
「帰って寝てー」
「俺もー」
「何にも考えねーでダラダラしてー」
「俺もー」
「ナナシ。お前俺にばっかしゃべらせんな」
「だって俺が言いたいこと全部言ってくれるしー」
ニシシと笑えばドクも肩をすくめ仕方ねーなとそっぽ向く。
「また担任は遅れてくるんだろうし・・・やだなぁ」
「あれがお前についたのは必然だろ。諦めろ」
「ただでさえ監視されてて嫌なのに遅刻癖まであるなんてサイアク!!」
「あーあーそうだろうよ。でも諦めろ」
「でもさー最近なんか視線が変なんだよなぁ・・なんっつーか・・ねちっこいっていうか粘っこいっていうか・・」
「・・・・・・・」
「気のせい?」
「・・・・・・・それは任務中の話か?」
「うんにゃ家にいるときも」
「・・・・・気をつけろよ」
「うん?何を?あ、もしかして抹殺とか?やだなーカカシ先生に負ける気はしないけど勝てるとも限らないんだよなぁ」
「いやそうじゃなくて」
「んじゃ何だよ」
「いやー・・うん。ま、気をつけろよ」
「だから何を気をつけるか言ってくれねーと気をつけらんねーって!!」
「きーぃつけろやーーーー」
それだけ言うとドクはスピードをアップした。
「ドオオオクゥゥゥゥ」
後ろから凄い形相で追ってくる相方を振り返り、ドクは思わず苦笑をした。
まだ元気そうだな。
さすが体力無尽蔵。
後で分けてもらうかな。
それからちょっとだけ二人で休息をとって。
それから
長い長い今日が始まる。
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