3.大丈夫か?
「大丈夫か?」
問われた言葉に今度は涙が出そうになった。
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「思ったよりも早く任務が片付いたわね」
桜色の髪をした少女の言葉に同僚はコクリと頷いた。
「でもこいつってばスバシッコくてすっげー苦労したってばよ」
「捕まえたのは俺だドベ」
「ドベじゃねーーッ!!それにサスケんとこまで追い込んだのは俺!!俺のががんばったの!!」
「ただむやみやたらに走り回ってただけだろ」
「ムッキーーー!!」
「はいはいそこまでー。せっかく捕まえた猫が逃げちゃうデショー」
ナルトの手からそっと猫を取り上げた担任は空気にさらされた瞳をやわらかく細め愛しい生徒の頭を撫でた。
「ナルト頑張ったねー。サスケもサクラもご苦労様。予想以上の動きでせんせービックリしたぞー」
それは三人がいつもと違って協力体制を整えていたから。
戦略担当のサクラが指揮をとり、ナルトとサスケはうまい具合に挟み撃ちできた。
(うーん。成長したねぇ)
親が無くとも子は育つ。とはよく言ったものだ。
こんな担任でも生徒はスクスク成長している。
「それじゃ。今日はこれで解散!!」
ニッコリ微笑みそう口にすれば真っ先に動き出すサクラがいつもと違う動きをした。
そう、いつもなら即座に大好きな少年の腕に引っ付くのに・・・
「ナルト。一緒に帰ろ?」
「え?」
言われた本人も驚いただろうがきっとカカシのほうが驚いたことだろう。
どーゆーことサクラっお前サスケ狙いじゃなかったの!!?
「サクラちゃん?」
「いいからっ」
戸惑うナルトの手を取り歩き出すサクラ。
それにサスケは何故か納得したようについていく。
サクラと反対側のナルトの隣に立つと同じ歩幅で歩き出した。
「どうしたってば二人とも?」
不思議そうに首をかしげるナルト。
それに二人は
「大丈夫って言われてもな・・」
「信じられるわけないでしょ」
きっぱり言い切りナルトを両側から支えた。
任務中、見えないところに大きな怪我をした。
幸いカカシには気づかれなかったようだが、
目の前で見てた二人はどうしても騙せなかったようだ。
口を開けば悪態しかつかないサスケに珍しく心配そうな瞳で「大丈夫か?」なんて問われた。
それに驚いて。いつものごとく「へーきへーき。こんくらいなんとも無いってば」
へらへら笑って答えた。
実際どーってことない。
こんな怪我暗部の任務では日常茶飯事だ。
いつもならシカマルが即座に治してくれるから痛みが持続することは無いけれど。
九尾の治癒をもってしてもまだ直らないこの怪我は普通の人間にすれば重傷かもしれない。
でもほら自分は九尾を腹に飼ってるからさ、へー気なんだ。
だから気にしないで。
騙されて・・・
「騙されてなんかやんないんだから」
「お前はこういうウソを付くのが天才的にうまいからな。だから俺たちが気づいてやんなかったら誰も気づかない」
「だから絶対に見抜いてやるんだからねっわかったっっ!!?」
気にされて。
騙されてくれない。
困る。
困るんだけど・・・・
でも、
すごく嬉しい・・・・。
「うん・・・・・分かったってば」
大丈夫か?
大丈夫に決まってんじゃん。俺ってば火影になる男なんだからこんくらいへー気。
でも今涙がこぼれそーなのはさ・・・・・ちょっとだけ見逃してくんねーかな・・・
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