44.飛んだ

「こにゃにゃちわぁぁぁ」

通い慣れた工藤家。
ご機嫌よく合鍵をつかって勝手に扉を開けば。

「うっわ。飛びやがった!!」

中から叫び声が聞こえてきた。
珍しい。
あのコナンが一人で盛大な声をあげるとは。

何が起きたんでしょうねぇ?
と足音を消してそっと影から覗き込んでみる←ストーカーとどう違うんだろう?


「・・・・・・」
「くっそーー飛ぶなっっ。お前は人類の害なんだっなんでテメーなんかに羽があるーーー!!」

すっごい言われようだね。
もしかして俺もKIDのときに言われてたりして〜
あはは。
と心の中で笑ってみて、それからあんまり冗談にならないことに気づいたので明日の平和のために即座に頭の中から消去しておく。


「ねーコナンちゃんや。一体何と格闘してるの?」
「快斗っおまえ勝手に入ってくんなって何度いったら・・・いやいや。ちょうどいいところに来たっ。そいつを仕留めてくれっ」
「はい〜?」

指差された先には。

てかてかしている。
茶色い物体。

「そいつってもしかしてこいつのこと?」
「そうだっゴのつく生き物だっっ」
「・・・・・・あれ?コナンちゃんゴキブリ苦手だったっけ?」
「飛ばなきゃほっとく程度には平気だっ。飛ぶのが許せねーっ」

「いやほっとくのは良くないと思うけど。その虫取り網どこから持ってきたの?」
「倉庫っ。上のほうが届かねーから。ほいパスっ」
はー何でもあるよね工藤家の倉庫って。

床には散乱したスリッパの群れ。
きっとスリッパを投げつけてさんざん闘った後、次の手段として虫取り網を持ってきたのだろう。

うーん。そんなに目障りだったんだねぇ。
無理やり押し付けられた虫取り網を手にして快斗はゴのつく生き物の昆虫採集。
うーん。
うーん。
何やってんだろ。

「ねーこれ捕まえたら遊んでくれるー?」
「ムリ。今忙しい。」
「・・・チェー。じゃこのままで帰るー」
「・・・・・・・・・・・・・・・・分かった夜飯くらい付き合ってやるから」
「やった♪」


そうとう目ざわりだったらしい物体を始末し終え、コナンの用事が済むまで大人しく横で読書。
「何たべよっかー?」
「鉄火丼がくいてー」
「却下でーす」
夜ご飯は丼繋がりの親子丼となりました。