69.変り種


なぁんかね。あたしの友達は不思議。
会った時から子供らしからぬ子供だったんだけどね。
いまになって思い起こしてみればあの頃のあいつってもしかすると―――――


「すっごいイライラしてた?」

「はぁ?」
唐突なイノの問い掛けにシカマルは怪訝な顔を見せた。
「だれがイライラしてたって?」
んなめんどくせー事する訳ねーだろ。

その顔はそう物語っていた。
「んーそうね〜。あたしたちと出会ったばっかの頃?」
「あ?」
「記憶にないのぉ?珍しいわね〜あんたが忘れてるなんて」

覚えてるっての。
忘れたくても忘れらんねー。

っがーこいつ意外と感が鋭いんだよな
内心呻きながらあの頃の未熟な自分を思い出す。


そらもー俺らしくも無く毎日ムカっぱら立ってたもんなぁ。
「ナールートーと会えねーえー」

7歳らしい地団駄を踏むシカマルを両親が爆笑しながら見ていたのを聡い彼は知っている。
それでも耐えきれず何度癇癪を起こした事か。
自然、元凶である護衛対象の二人にトガった空気を向けていたとしても仕方ない。
だってあの頃ナルトと1週間も会えなかったんだぜ。
信じらんねぇ!!



「かと思えばめんどくさがりながらもあたし達に付き合ってくれたし」
任務だ任務。読みたい本も我慢して遊びに付き合ってやったんだ。
とは言うものの子供らしい遊びに免疫のなかった自分は口で言うより結構興味津々
で彼らに付き合ってたかもしんねぇ。

とか今となってはそう分析しているシカマル。
おかげでナルトと久しぶりにあった時お互いが覚えた子供らしい遊びを片っ端から試
したりしたものだ。



「シカマルっ棒倒しやろー」
「ああ?お前大雑把だから俺が勝つに決まってんだろ」
「へっへーん。アカデミーで鍛えたもんねー。こないだなんかネジに勝ったんだぜっ」
「っつか日向分家のすかしたガキと棒倒ししようなんて強者がいるとはな」
「えー結構面白いやつだけど?」
自分以外のヤツの話が出てはムカついたりしてたけど、概ね悪いことばっかじゃなか
った。
「っしゃ。俺の勝ちぃぃ。バツとしてシカマルは今からおやつを買いに行ってくることっ
っ。」
「げ。マジかよ。めんどくせぇ・・・」
「山屋のようかん希望っっ」
「まて。サカサの饅頭で手を打てっ」
「んー打たれたっ」

アカデミーで見せるのとは大違いの心からの笑顔。
これに何度自尊心がくすぐられた事か。
何度荒れた心を癒された事か。




「あの頃のシカマルってホント不思議だったもんね。突然棒倒しを猛特訓しだしたりね
ー」
幼心に色々思うところがあったのだろうイノがしみじみそう言えば、今までだまってお
菓子片手に傍観していたチョウジが

「イノ何言ってるの。シカマルは今だって不思議だよ」
「・・・今もかよ」
シカマルに追い打ちをかけた。

WEB拍手用「100のお題」より