71.幸福
「『幸福』ってなんだろー」
いきなりの快斗の言葉。
快斗が突拍子も無いことを口にするのはいつものことなのでコナンとしては「またか」っと溜息をつきたい気分だが、無視をするとうるさい。
大抵構って欲しい時にこういうくだらない言葉を口にするのだ。
ので、仕方なく付き合ってやる。
「不自由や不満もなく、心が満ち足りていること」
しかしその返答はひっじょーーーーに不服だったらしい。
むむむむ・・と眉間に皺を寄せ、近寄ってきやがった。
寄るな、俺は今読書に忙しいんだ。
「そんな辞書みたいな回等はいらないからさ。コナンちゃんや、ちょっと俺に幸福を味あわせてくれないかねぇ?」
「・・・・どういう意味だ?」
「ちょっとだけ大人しくしててね♪」
眉を寄せ首をかしげたコナンににっこり笑って見せて快斗はいきなり
「わっ」
まっ正面からぎゅぅぅぅと抱きついたのだ。
「お・・おいっ。これと幸福と何の関係が・・・・」
言いかけたコナンは快斗の顔を見てポカンとする。
ヘラリと・・・・嬉しそうな顔。
「ああ・・・幸せぇぇ。これが俺の幸福っっっ」
やわらかモチモチのほっぺに自分の頬をすりすり。サラサラの髪の毛を何度もなでたり。
それから最後にピンクに染まった頬にチュッと口付けを贈り、満足そうに台所へ向かった。
「お返しにコナンちゃんに幸福を作ってくるねぇ〜」
ふふん♪と鼻歌を歌いながらのその背中にコナンは呆然と呟いた。
「なんだそりゃ」
ちなみに快斗からのお返しの幸福とは挽きたてコーヒーとそれを作成している間に作った快斗くん特製「難解な暗号」。
コナンは快斗から与えられた幸福に満面の笑みを見せたという。
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