89.今日の仕事




ドク仕事だ  

ノソリとノックも無しに熊が入ってきた。しかも入ってくると同時に言い放つ

あいさつ一つ無しかい 

「またかよ。」
「売れっ子で結構な事じゃないか」
「全然うれしくねーし俺は医療班じゃねーっての」

たしかに医学の知識は持ってるが彼は暗殺部隊のメンバーだ

「うっかり資格なんかとっちまったのが運のつきだろ」
医療班の慢性的な人手不足を考えれば簡単にわかるこの状況。煙草を加えながらばかだなと熊が笑う 
「あーったくめんどくせぇ事しちまったぜ」

すぐに治るからと自分の怪我には全く頓着しないナナシの為に覚えた医療技術。
九尾の治療なんかより早く治してやるっっといった対抗意識の末、彼は現在、医療班の誰よりも早く完璧に治療を出来る。
せっかく覚えたし資格でもとっとくか?
なんて軽い気持ちで受けたのが敗因だろう。

ボサボサの髪をかき回しドクはうめいた 
くびもとですっきりそろえられた髪もつりあがりぎみの目も里ではありふれた黒色。
青年の年の頃は20前後
若かった 

「それにあれだお前勧誘されてるらしいじゃねーか」
「うっせーよ熊」
「だれが熊だっっ」

ノッソリした容姿に愛敬ある瞳。森の熊さんといえばだれもがこの顔を思い出すだろう男にドクはニヤリと笑った
「熊だろどう見ても」
「ったくどいつもこいつも人みりゃクマクマ言いやがって」

頭をふりながらため息 
「熊人生をまっとうしろってことじゃねーの」

立ち上がりロッカーにかけてあった白衣をまとう 
「失礼な奴だな」
「あんたが嫌な事思い出させるからだろ」

確かにそう執拗な勧誘をうけている。

医療班から 

このドクと言う青年非常に頭が良い 
だからこそ手際よくむだのない治療をできるし医療の知識は医療班のだれより豊富。

非常に優秀な人材だった 
これを見逃す手はないとばかりに火影になきつかれた

「んで?泣き付かれた火影様に命令されたのか?」
「まっさかお願いされただけ。丁重にお断わりしてきたよ」

悪いがおぬしは今日から医療班にうつってもらう 
それをお願いというならば 

「い・や・で・す」
これもきっと丁重なお断わりと言えるのでは無かろうか

そんな情景が簡単に浮かんできただけにクマの笑みは深くなる

「ったくあの干物未満のジジイめ」

あれをそう呼べる奴もすくなかろう
「完全に干物になったらたいへんだろぅ」
「真夏の日向にさらしてやりたい」

じじいの天日乾しかあ
まずそう
実に不遜なお言葉に正直な感想のクマ 
でもよ水分のすくなそうなお年寄りは労ってやるべきでは?
なんてさらに失礼なことを口にしようとしたその時   

「なにやってんだおまえ等」
呆れた瞳の青年が一人扉を開いてたっていた 
「ようナナシ今じじいを天日干しにする相談してたんだ」
「やめろ、オレを巻き込むな」

あわてて手をふる熊 
あのじじいはどこできいてるか分かったもんじゃない妖怪ジジイだから当然のこと 

「どーでもいいからさっさとこいっ」
ったくこっちは朝からこき使われてるってのにテメーら何優雅にたべってやがるんだっっっ

そんな勝手な怒りが背後から立ち上るのを見てしまったドクは

「ナーナッシくーーーん。逃亡しませんこと?」
「ふっ。してーのは山々だけどな、今日一日手伝えば例の薬物くれるってヤマブキが言うからよー」
「・・・・うわ。うわっ職権乱用ヤマブキ君っ。例の薬物ってあの危険物だからおいそれと手に入らないという?」
「それー。あれがあったら今やってる実験の成功率があがりそうなんだよなぁ」
「お前なにやってんだよ」
それにニヤリと笑うとナナシは唇の前に指を立てた。
「完成したら教えてやるよ」
今は秘密ー

「うわーなんかコエーけど面白そう・・。」
「いやいや。お前曰くめんどくせーことだ気にするな」
「気になるってのっ手伝ってやるから仲間にいれろよー」
「いやお前の手いらねーし」
「あっそんなこと言っちゃうわけ?よーしそんなこというならとっておきの酒だしちゃおーーー」

酒に目の無いナナシ唯一のウィークポインツ!!
こんなこともあろうかと隠しておりましたドク君っっ

その銘酒の名を告げようとした瞬間
ナナシに強烈なアタックを打たれた。

「知ってる知ってる。水の国で手に入れた銘酒「白鷺」だろ?うまかったー」
バシィィ
完璧に顔面レシーブです。
痛かった。

「うわっ俺の秘蔵勝手に飲みやがったなーーーーーーー」
「ふ。あんな分かりやすいところに置いて置いたお前が悪い。お前の母さんとしっかり飲み干しといてやったから安心しろ」
「くそっっ楽しみにしてたのにぃぃぃ」

珍しいことに心底悔やんでいる様子のドクをフフンと上から見下ろすナナシ。
ハタで見ていた熊はいつもの事ながら・・とため息をつきながら、いつものごとくの文句を口にした。

「おいお前ら。毎度言ってっけどな、身内ネタは人がいないところでやれよ。」
「「いたのアンタ」」
いやー気づかなかったわ。

「・・・・・・・」


二人して同時に言われアスマは思わず吸ってたタバコをその顔に押し付けてやりたくなった。

あーん?根性焼きしてみっかーー?

「さて。仕事だ仕事。素晴らしい酒のために俺は働くぞーーーー」
「そしてドクが買った酒を飲み干すのが俺」
「・・・・ナナシ君。後でお話しましょーね♪」
「お前の母さんも交えてならいいぜ」
「・・・くっ・・・・」←負けてる(笑)


「だから身内ネタはって・・お前らぜってーバレねぇとか思ってっだろ」
人のこと嘗めやがって・・・

医療室へ行くためタバコをもみ消ししかめた顔で熊が言えば二人は同時に振り返り

「「とーぜん」」


憎らしいほど自信満々に言い切った。