出会い〜ア●フルを地でゆく男〜



どうも視線を感じる
それも本屋を出たあたりからだ
んーストーカー?
それともファン?
それとも怪しい勧誘?

俺ってば美しすぎるから理由がありすぎてわかんなーーい♪
なんて馬鹿かましてる場合じゃないかもねぇ

「おいっ黒羽聞いてんのかっ?」
「あ、悪い悪い全然きーてなかった」
「おまえなぁぁぁぁぁ」
悪びれない快斗に怒るよりも呆れる友人に唇をとがらせた。
「だってお前のノロケなんか聞いてもつまんないもーーん」
「ノロケじゃないっっ」
真っ赤になって否定されてもねぇ

「彼女がどーした。彼女があーした。あーー独り身の耳にはとっても痛いわーー」
「お前だって中森がいるじゃねーか」
「青子は幼なじみ。彼女じゃないもん。全然まったく関係ないねーーー」
「・・・・そこまでキッパリ言い切るか。中森かわいいじゃん。頭もいいし、優しいし。なにが不満だ?」
「なにがって。そりゃー。」
一つ一つ考える。
まあ確かに青子はかわいい
青子は頭いい
世話焼きでお節介だけど根本的に優しいし
実は料理もうまい
んじゃなにが不満って?

とうっぜん


「ときめきが足りないのよ」
「ときめきだぁぁ」

お前は少女漫画から抜け出してきた乙女かっみたいな顔で快斗をみやる
「そ。ドキドキして、わくわくしてキューーってするときめきっっっっ」
「今時マジでそんな感情表現するやつがいると思わなかったぜ」
「うるさいやいっっ。俺は絶対にトキメキを覚える相手を捜してみせる」
「はいはい」
「なにそれっ適当に返事してるだけでしょ」
「いやーお前が意外と乙女ちゃんなのだけはわかったよ。黒羽」
「うわっめちゃくちゃ馬鹿にされてる感じ?」
「してないしてない」
あはははは。
笑いながら言われ快斗は頬をプクゥと膨らませた

「んでもって超ラブラブしてお前に羨ましいっって言わせてやるからなぁぁぁ」
「はいはい楽しみにしてるよー」
うっわー全然本気にしてないし

むっかつくーーと唇をとがらせる。
その時ふと気がついた。
背後の視線がとぎれていることに
あれー?あきらめたのかなぁ?

体に穴があいちゃいそうなくらいに強烈な視線だったのだから絶対にものすごい執念だろうとふんでいたのだが、

読み違い?

俺にしては珍しいなぁ

なんてのんきに思ったその瞬間


「うわっっっ」
唐突になにか飛んできた
ものすごい勢いで
命の危機って感じで

快斗でなければ絶対にさけきれずそのまま吹き飛んでいただろう勢いのそれ。
ハッと振り返れば転々と転がる

「サッカーボール?」
更にはかなり離れたところから舌打ちが・・(快斗くんは超音波も聞こえちゃう聴力なの♪)
快斗くんの超人的なお目目がズームアップ
一人の小さな子供です。

見覚えは・・・無い。

いやそれよりも今のコンクリートすら破壊できそうな攻撃をしてきたのは本当にあの子供なのですか?
だれともなしに聞きたかった。

「黒羽・・お前まさか」

ボールを拾いに苦々しい顔でやってくる子供を見て友はおそるおそる言った

「お前まさかあの子の彼女奪ったんじゃないだろうな」
お前なんか友達なんかじゃないやい
失礼すぎる言葉に即座に
「馬鹿言うなよっ」
叫び返す
そして目の前までせまってきた小さな子供に顔をむけ

「俺のストライクゾーンはそんなに広く・・・・・・な・・・・・・・ぃ」
魅入った
ア●フルの親父のごとく、魅入った

マシュマロのように白くて柔らかそうなほっぺ
小さな手のひら
ズボンからのびた細い足
サラサラの黒い髪
なによりなにより

あの揺るぎない、きらきら輝く青い瞳

どーする〜あ●ふるぅ
って金じゃ買えないじゃん!!←買えたら買う気だったのか?

妄想の世界で浜辺を愛らしい少年と追いかけっこしていた
どうしよう
マジほしい
これほしい


「黒羽ぁ?黒羽ぁ?」
快斗の顔面で手をパタパタ振る
反応のない友人に首を傾げながら、ボールを拾い上げる愛らしい子供を見た

しかもその子供ぶつぶつ何事かつぶやいている

ちくしょー何でよけられたんだ
"中"でサッカーゴール突き破って木ぶち倒したんだから"強"ならあの世に送れるだろ?
ふつうよけるか?
いやよけられなかったら俺たった今殺人犯だけどよ
いやいや幼児(こんな時だけ都合よく)の上に証拠も動機も見つかるまい
完全犯罪やってのける自信はあるが
いやいやいやいや、ホームズのためなら罪くらいひっかぶる覚悟くらいあるさ
いやいやだがこんなやつの為にお縄になるのもばからしいし
だがこいつはこの世から抹消しておくべきだよな?な?なぁ?




怪しい
近寄りたくない
怖いもの見たさで見てしまったら本当に怖くてあわてて目をそらした

「なぁ黒羽ー正気に返ってくれよーーなんかお前やばそうだぜー?」
どうやら抹消で結論はついたらしく少年は
すがすがしくほほえんだ


うわーーーこええーよーーー

「くろ―――――」
「ビーーーンゴーーー。お前ビンゴっ超ビンゴっ超ストラーーーイクッッッ子供バンザーーイ。ストライクゾーーンのど真ん中ーーーー♪ありがとーー神様ーー俺にトキメキをくれてーーーきゅんってなってるのーーー聞かせてあげたいーーきゅーって言ってるのーーーいやん恥ずかしいっ〜〜」
は?
唐突に現実世界に戻ってきたと思ったら超ハイテンションの快斗
何事だと問いかける間もなく
彼は突進していった
少年Aなりそこないに向かって


「そこの少年ーーーーー。俺は黒羽快斗だぁぁぁぁぁ。よろしくぅぅぅぅ
少年の名前と住所と電話番号っそれに趣味とプロフィールそれにスリーサイズを教えてくれぇぇぇぇぇぇ」

え?

突然動き出したと思ったら何事だ?
よくわからないまでも危険を察知して
ずざざざざと後退するコナン
ずずずずずいと迫る快斗

それを見て友人は携帯片手に110番をすべきか悩んだ
小さな子供の危機だっ
だが(たとえ変態とはいえ)友人を警察にうっていいものか?

さんざん悩んだ末に友人は第三の選択をした


「そこの少年っっっ早くっっ今のうちにぃぃぃぃぃ」
「離せーーーーーーーーーーーーー!!」

体をはって友の奇行を止める
実に勇気ある行為である
賞賛に値する

「え?」

よくわからないまでも逃げるべきなのはわかった
ち、ちくしょーーーーー
とりあえず今は逃げてやらぁ
今に覚えてやがれーーー

命を張ってくれた男に内心深く感謝をしながら
ありふれた文句を残し必死に走った


「なんだったんだ一体ーーーー!!」

最大の疑問と
屈辱と
敗北感を胸に



それが彼らの出会いだったのかもしれない


end

快斗はただの変態です
うわっどうしようかなり話が変わってしまいました
元々快斗が変態なのは変わらないんですけど(笑)