服部平次という男
どうも服部平次っちゅーもんです
最近ほんま寒いなぁ
っちゅーか俺の関西弁が変なのは堪忍な。
俺の代筆頼んだ奴が関西弁まったくダメでなぁ
言ったまんま書けっちゅーのに
勝手に書き換えおる。
ま、そゆ訳で珍しく俺が主役や。
しかも一人称!!!
ええんか?お前関西弁ダメやっ言うたんやんっ
まーた変な方言書いて呆れられるで?
しかも関西の方にひっじょーーーに失礼ちゃうんか?
いや俺は主役張れて嬉しいけどな
あー何か語れって言われてるんやけど近況なんかでええか?
えっとなー最近めっきり寒くなって〜ってどっかのじーさんみたいな事言っとる場合ちゃうな。
まあ寒くなってきたもんやから工藤に会いに行きたくても前みたいにバイクかっとばすっちゅー訳にはいかんわけや。さすがに死ぬっちゅーの。
ほんで、電車なり飛行機なりの資金集めんためバイトに精だしとったんやけど、これまた割りのええバイトっちゅーんは少ないなぁ。
しかも事件はいるとそっち行くしすーぐクビっ。
警察さんが給料出してくれれば簡単な話なんやけどそんな事いったらおとんにごっつー怒鳴られたわ。
やれやれ。
まあそんなこんなで、ようやっと貯めた金で工藤ん家に遊びに行ったのが昨日の事。
今俺は工藤ん家にいるんやけど、これまたやっかいなライバルがポロポロと・・・
元々黒羽ん事は知とったけどなんや白馬?
探偵?
しかもシャーロキアン?
おいおいって感じや。
後から出てきた奴らに出し抜かれるのも実に腹立つっちゅーか・・悲しいなぁ。
シャーロキアン二人がむっちゃ盛り上がってるの横目に俺は夕飯のお好み焼きづくりに専念としったりして妙に理不尽な気がする。まあ黒羽も手伝ってくれとるけど。
「出来たでーー」
「あっおうっっ」
その瞬間嬉しそうに振り返った工藤の顔みたらそれも吹き飛んでもうたけどな。
「やっぱ服部が作るお好み焼きが一番旨いよなー」
「そやろそやろっ」
「滅多に食べれないから余計に美味しく感じるんじゃないの?」
黒羽が余計な事を言う
「うるさいわっ。そない事いうなら食うなっ」
「わーーごめんごめんっ食べるって。マジヘージ君の作るお好み焼きサイコーー♪」
「わざとらしっ」
ふんっとそっぽを向いて見せたんやけど黒羽がホンマにうまそうに食うから何となく気分が良くなってきた。
「あ、ふんわりしてて美味しいですね」
初めて俺のお手製お好み焼きを食うた白馬も絶賛。
ふっ当たり前や。とある店の秘伝の技を直々に教えてもろたんやからなっ
「でもさー服部、明日帰っちゃうんだよねー」
演技なのか本気なのかさっぱりわからんけど黒羽のつまらなそうな顔に俺は機嫌を良くした。
「まあ二日もここに泊めてもらうし。あんま長居したら工藤に迷惑やろ?」
「別に何日いても俺はかまわねーけど?」
俺が居る間は工藤家に住んでくれる工藤。
もしかすると夜更かしし放題で嬉しいのかもしれへんな。
「蘭ちゃんが寂しがるで」
「・・まあなぁ」
あんまり彼女を心配させるのは良くないやろ。
俺なりの配慮
まあこのまま移住したいくらい(黒羽、白馬込みでも)居心地ええし、いっそ本気でそうしたいくらいやけど、けじめはつけなあかん。
「ま、今日で最後っちゅーことでパーーッとな」
「パーっとお好み焼き食べるのか?」
「そーや。パーとっ。バクバク食うんやでぇ。おっきくなれよー工藤ぉぉぉ」
「余計な御世話だっっっ」
予想通りに怒鳴り返してきた工藤。
ま、しんみりした顔されるよりかよっぽどマシや。
「仕方ねーな。パーッとって言うからには・・・・ほらよっ。」
ドンッとどこからか取りだしてきたビンを机に置く工藤。
「「「おおおおおっっっ」」」」
これはこれは・・・越乃寒梅、八海山!!!
プレミアムがついて、ちょー入手困難っちゅー幻の銘酒っっっ
おおおおおおおっ
一介の高校生がお気軽に飲んでええもんやないでっっっ
ええんかっほんっっとぉぉぉにええんかっ!!!?
「これか?まあそんなに量はないけど下の貯蔵庫にゴロゴロしてるぜ?」
「お・・怖ろしい」
「さすがですね」
「ゴロゴロ・・・」
黒羽の青ざめる顔も白馬の感嘆する声も俺の呆れる声も聞こえてないんやろ工藤は嬉しげに栓を抜くとおちょこに注ぎ始めた
「ま、この姿になってから酒なんて滅多に飲まねーし、いいじゃねーか。」
「まあ工藤がええならええけど。あ、おーきに」
ちっこい手からおちょこを受け取る。
なんやちっこい手でちっこいおちょこ持っとるとえらい可愛いわ。
無性に笑みが浮かんでまう。
「じゃ。次は俺達が服部んとこに遊びに行くぞっと宣誓しといて、乾・・・・」
「え?ほんまっ?」
黒羽の乾杯の音頭を無理矢理遮る
「マジよん。そのために貯金してるもんねーん」
「そう。本場のお好み焼きをまだ白馬が食ってねーからな。」
「楽しみにしてます」
かなり嬉しいかも。
これやからライバルだけど嫌えないんや黒羽も白馬も。
「てっちりも用意しとくでっっっ」
「よっしゃっっそうこなくっちゃ」
「今度は僕がワインでもおみやげに持っていきますね」
「いやそれはオトンが怖いで」
「だいじょーぶだいじょーぶっ。ちゃんと服部の親父さんには俺が銘酒を用意しといてやるからなっ」
「工藤・・それって買収するつもりっちゅーことか?」
「ん?いやいや話合いで解決」
嘘ばっか。
そう突っ込みながらもその日が来るのが楽しみで。
詰まりそうな言葉をごまかすように勝手におちょこを掲げあげた。
「ほな。乾杯っっ」
我ながらこんな事で泣けてしまうとは思わんかったわ。
一応3人とも見て見ぬ振りしてくれたけどな。
「「「乾杯っ」」」
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