工藤新一という男4
工藤新一という男は舌が肥えている
それもう、肥えているなんてかわいらしい表現ではたりないくらいに
グルマーである
毎日のようにおさんどん係を命じられているK氏が日々涙ながらに訴えるほどに。
舌が肥えているわりに何でも食べるのが新一である
だがしかし、教育か、それとも作ってくれた人に悪いと思ってか(ありえない)残しはしない。
ただまずそうな顔で食べるだけだ←そちらのほうが失礼
そしてある日おさんどん係はとうとうぶち切れた
「そんな顔するぐらいなら自分で作ってみろーーーーーーーーーー!!」
K氏はただ知ってほしかったのだ。
それを作るのがどれだけ大変なのか
感謝の心と言うものを取り戻してほしい(最初から無いのかもしれないが)という切なる願いを込めたぶち切れだったのです
そして新一は「それもそうだ」と頷きました。
新一は完璧だった。
それはもう、なんでそんなにってくらいに歌以外は何でも。
「なんでこんなにうまいのーーー」
K氏が涙ながらに叫んでしまうくらいに
「いや、母さんのせいだろ」
おかげではなく「せい」
母はなにもしなかった
幼い頃からそうだった。
ある日父が仕事で缶詰になった時、母は当然のように言った
「おなかすいたー新ちゃんなんか作ってーー」
幼心に新一は思った
母が作るより俺が作ったほうがきっとマシ
そして卵一つ割ったことのない小学生が台所にいどんだのだ。
結果は
まぁ
言うまでもないだろう
惨敗だった
高級料理で舌の肥えまくった母
そんな母のニーズにこたえる料理を作り出す父
遠慮ない母の文句と、言葉にはしないものの、ハッキリ態度に示した父を目の当たりにして新一は思った
絶対舌鼓うたせる料理を作ってやるーーーー
「で今に至る訳ね(涙)」
あの親にしてこの子あり
そしてその被害は今K氏が一身に受けていると、そういう訳らしい。
こうして両親によって形成されていった新一の困った人格はたくさんの人にこれからも被害を与え続けるのである。
おしまい。
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