悪夢到来!!! 悪夢到来2
何故普通に現れないのだろうか。
白い目で迎える二人を気にした様子もなく美女は勝手に近くにあったイスに偉そうに足を組んで座った。
『それにしてもおちびちゃん会った事もないのによく私だって分かったわねぇ。偉いえらい。』
と頭をなでられたコナン。
完璧に子供扱いだ(子供だが)
「何て言ってるの?」
「可愛い坊やね。お姉さんと遊びましょう。うふっ♪だってさ。・・・このお姉さんは変態だから近づいたちゃダメだぞ。うっかり変態がうつったら大変だからな。」
「うん。わかった」
まったく違う和訳をすると快斗は真剣な瞳でコナンに諭す。
それにコナンも真剣な顔で神妙にうなづいた。
絶妙なコンビネーションである。
『酷いわJr。私変態なの?それより適当な事子供に教えないでくれる?私子供はさすがに範囲外なのよね』
少ししか分からないと言ったわりに、結構分かるらしく、ナイトメアは頬に手をあて首をかしげる。
『変態でしょう。突然ベッドの下から現れる一般人なんてこの17年お目に掛かったことありませんし』
そりゃそうかもしれない。
『つい趣向を懲らしちゃうのが私の悪い癖なのよね。仲間うちでもよく言われるわ。普通にしなさい普通にって』
これが私の普通なのにー。
『いつの間にやら人の家に忍び込んでさらには本人達の知らぬ間に部屋に入り込みベッドの下のこんな狭い空間で何やってたんですか?』
『誇りっぽいから最初はそっと掃除してたわよ。ほら見てっここ汚れちゃった。』
まったくもうっと昨日同様くるぶしまであるロングスカートの裾を指さした。
同情の余地ねーって。
っつーかそんな事聞いたわけじゃないんですけど。
『で?なんの用があって来たんです?ナイトメア?』
『ああーん高かったのにーって・・あっそうそう。用があったのよ私は。』
そりゃ用もないのに現れたってんなら即追い出すしな。
『そういえば。関係ないかもしれないけど、Jrなんで他の名前で呼ばれてるのかしら?』
その言葉にいつから自分たちの事を見ていたのだろうと快斗もコナンも内心驚く。
しかも会話の流れからすると本名はばれているようだし、なにより昨日はKIDの姿だったからまだしも、この姿の自分に会いに来たと言うことはそうとうな緊張を強いられる。
(やっぱり知ってたのか俺の事もコナンの事も)
例えバックの団体が大きいものだとしてもそんな簡単に自分の正体がばれてしまうものだろうか?
『まあ色々と事情が・・・な。それよりも俺はなんであんたが俺の事知ってるのかひっじょうに気になるんだけど。』
そうなると新一を演じる必要性は全くないのでめんどくさい新一語はやめにした快斗。
堅苦しいネコを放りだして素の言葉遣いに変えた。
それに気付いていながらも気にした様子のないナイトメアはくだけた口調にちょっとばかし微笑んだ。
『どんな姿していても分かるわよ。だって昨日言ったでしょ?あなたが小さな頃に一度だけ会ってるって。貴方のお父様に奥様と息子さんを紹介されたのよ。』
ようするに最終宣告ってこと?
俺には妻とかわいーい息子がいる。だからどうか俺につきまとわないでくれ。
みたいなー?
『あっやだ変な事考えてるでしょ?違うわよ彼は縁切りを言い出した訳じゃない。その反対よ。
私を弟子にしてくれなかった理由も自分の事に巻き込みたくないという配慮から。
あなた達を紹介してくれたのは「もし私の身に何か会ったときは私の大事な二人をどうか護ってくれ」って。なんか凄く信頼されてない?私って。』
愛してくれなくていい。
私という人間の居場所を作ってくれるあの人が私はとても好きだった。
そう語るナイトメアの表情はおだやかでとても嘘をついているようには見えない。
「ここで実は俺工藤新一でーす・・とか言ったら怒るかな?」
「っつーか信じてくんねーだろ普通」
「そっか。そうだよね。どうせバレてるようだしとりあえず適当に情報引きずり出して追い出そっか?」
「さんせー」
『ちょっとちょっとそこのお二人さんヒソヒソ話は英語でして頂戴。聞き取れないじゃないのっ』
だから日本語使ってんじゃん。
『結局用件を話してくれてないんですけどー』
『え?ああっごめんなさい。つい名前の方が気になっちゃって。まあ良いわ、あだ名みたいな物でしょ?ここの団員って皆そうみたいだし。私の用件はね、ちょっと手を組まない?―――――』
そこまで言って快斗の白けた瞳に気付いたのだろうナイトメアは慌てて手を振った
『ああっっ違うのっっ違うのよ。昨日の話とはまた別物なのっっ。昨日のはまた今度、今回の話はマーシェリー家についての事なのっ』
『マーシェリー?ああ、もしかして先代守れって?』
『そう。今は警察が一応見張りしてくれているから大丈夫みたい。』
昨日もうっかり警察全員がナイトメアを追いかけた時快斗の言葉に従ったボールとピエロが先代の住まうはなれに護衛に走り、事なきを得た。
放って置いたら間違いなく先代は命を落としていただろうとナイトメアは言う。
『念のためだったけどやっぱ狙われてたか』
『ええ。見当ついていたのね。さすがだわJr』
っつーかあそこで持ち場を離れちゃう警察さんに快斗もコナンも呆れてしまう。
いやあれだけの人数を日本語で動かしてしまった中森警部が凄かっただけなのかもしれないけれど。
『それで?あの人はまだ狙われてるって?』
『ええ。それでお願いしたい事があって・・・そのぉ・・』
「いいぜ?」
言いにくそうな頼み事を聞いた後、あっさり了解したのはコナン。
「ダメっっぜっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっったいにダメっっ」
余りのタメの長さにコナンもナイトメアも酸欠寸前で慌てて呼吸を繰り返した。
一緒に息を止めてしまったらしい。
『言うと思ったのよ。ふふ・・やっぱりお稚児趣味なんじゃない』
『違うっお稚児じゃなくてこいつが特別なのっ』
「・・・・快斗・・」
あっさり認めた快斗の言葉にコナンが低い声で怒りを表す。
「・・・・ごめんなしゃい・・えーっといやそれよりも今は別の話だっコナンっ俺は認めないぞっ」
「お前が認めなくても俺は了解した。お前には関係ない」
「きっつぅぅ。コナンちゃんや俺は心配して言っているのだけどねぇ」
「知ってる。でも前のお前なら俺を信頼して許してくれた。」
その言葉に快斗は電気ショックを食らったかのごとくからだをピクリと跳ね上がらせた。
同時に心臓も杭を打たれたかのような衝撃を感じる。
「・・・・それは」
そうなんだけど。
「言ったろ。いいかげん俺離れしろって」
「聞いた・・・。でも・・」
「でもじゃない。良い機会なんだからこれを使わない手はないって俺は思う。俺はそんなに信用ならないか?」
「違う。そうじゃなくて。ただ心配で」
「分かってるあの時は心配かけすぎた。でもあんなヘマそうそうしない。」
とは言ったものの、なにが起こるかわからない世界で生きている以上、完全に約束出来るわけではない。
「まあ、お前がダメだと言ったって俺はやるつもりだから別にいーんだけどな」
おいっ。
止めて聞く奴じゃないのは重々承知だけど、それ以前の問題のようだ。
まあ、確かに過保護になりすぎてる。
心配しすぎている。
「分かった・・でも俺も付いていくからな。例え傍に入れなくてもお前に何か起こったら真っ先に駆けつけられる場所まで付いていくからな」
「ああ。それでいい。いざとなったら援護頼む。」
護ってもらうわけじゃない。背中を預けるだけ。
俺達の関係はそうだっただろ?
そう暗に目で訴えられ快斗は両手をあげた。そんな目をされちゃあ逆らえるはずもない。
「了解。お前の意志は尊重するし、お前に余計な手を貸さない。それでいいだろ?」
肩をすくめる快斗にコナンは満足気に頷いた。
日本語はいまいちの上、分かったとしても内容がさっぱり分からない。
さらには二人の世界を作られ完璧なバリアーの元会話に入るに入れなかったナイトメアは恐る恐る口を開いた。
『えーっと・・それでどうなったのかしら?』
お願い会話にいれてちょうだい。
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