悪夢到来!!!  スミスさん家の事情4




『あービックリした』
『ビックリしたどころの騒ぎじゃないわよカバちゃんっこれっ見た?ちょっと私生まれて初めて人間が生まれ変わった瞬間を見た気がするわよ』
『姉さん。それ言い過ぎ』
『メアリも何落ち着いてるのよっ驚きなさいっっこれは指さして騒いでもバチが当たらないほど驚くべきことよっっ』
『マリアさん・・・何もそこまで』
『ピエロちゃんもよっ一緒に驚こうよーー』

マリアが騒ぎするぎるせいか他のメンバーは頭がようやく覚めてきた。
目の前に立つ美丈夫は間違いなく仲間の一人だろう。
いや、未だに信じられないが。

『・・・えーっとボ・・・ボールさん・・ですよね?』
『おうよっ俺以外に何に見える?』
『いや・・その・・あははははは』
何に見えるって洗礼されたどこぞの貴族に見えますよ。なんて言ったら頬をひっぱられそうだしピエロは乾いた笑いでなんとかその場をしのぐ。

『アリスも可愛いわよー。本当のお金持ちのお嬢様に見えるわ』
『・・・』
誉め言葉に聞こえるかギリギリのところである。
カバとピエロとメアリの恐々とした目を受けているにも関わらずマリアはペラペラと危険な言葉を吐いていった。
『まあ、それを言ったらシンイチ・・じゃなかったモリスさんの方が大変身ですわよね?』
そりゃまさしく変身しているし。
『私的に言わせて貰えばボールほどじゃないわ』
今度もキッパリハッキリ言い切りましたマリアさん。
っていうか言い切り過ぎだっつーの。

アリスもその気持ちが分かるのか特に抗議の言葉を述べる様子はなかった。

『スミスさん、ですよね?ようこそいらっしゃいました。』
『ああ。お招きありがとうございます。ボナバルトさん。このたびはカジノオープンおめでとうございます』
『ありがとうございます。そちらのお嬢様はお噂のご令嬢シェリエル様で?』
『そうです。よくご存じでしたね。シエルっご挨拶しなさい』
『はいお父様。初めましてシェリエルですわ。』
優雅にスカートをつまみ腰をおる。

そんなボールとアリスに一同唖然としていた。
もちろん一行以外の他の方々は愛らしい少女の優雅な動きに関心していたが。


『ちょっと・・スミスって何よ?』
『ぼ・・僕も知りませんよ』
『っていうより何シェリエルって?ご令嬢?』
『・・・・何となく読めてきた・・・かな』
カバの小さな呟きに三人がガッと振り向いた。
『メアリ。君はもう解っているだろう?』
『何となくは、ね。解ってるけど本能が否定しているのよ』
『何よ二人だけで分かり合っちゃってーー』
マリアが悔しげに足を踏みならした。

「・・・モリス。僕もなんとなく解ったよ」
「そうですね。何となく解ったけど解りたくない気分ですね」
「うん」
「あの二人親子だったんですねー」
「だね。ビックリした。ボールさんの変身にもビックリしたけどあの二人に血縁関係がある方がビックリかも」
「というより。あのボールさんに奥さんが居ることのほうにわたしはビックリですよ」
モリス超ビックリーとばかりに胸に手をあて首を傾げてみる。とても似合わなかった。
「・・・・」
あまりに同感すぎてコナンはブ・・と吹き出した。
口元を押さえ笑いを堪える。
「もりす〜面白すぎそれ。」
「どんな人でしょうね」
「・・・逆玉なんでしょ?さっきお祖父様達が話してた話では」
「お金持ちのご令嬢をしとめた・・何やらかしたのやらボールさん」
「警察に突き出されるような事じゃないことを祈っておくよ」
「ですね。」

『ようっモリス。コナン。』
『お久しぶりですね。スミスさん』
声も女性にしか聞こえない快斗の言葉にボールを頬をかりかりと掻きながらそうだなと頷いた。
『なんか慣れねーなースミスって呼ばれねーからな普段』
『公共の場に出ないと先ほど伺いましたけど苦手なんですか?』
『ああ。こんな窮屈な格好して何が楽しい?そんなら手品の練習でもしてる方がよっぽどマシってなもんさ』
『はあ。まあ人はそれぞれですからね。ああ、旦那様こちらスミスさん。わたくしの知人です。』
『驚きだなモリスにこんな大物の知人がいるとは』
明らかに親しげな二人にマーシェリー家のご隠居は目を丸くした。
『とは言っても知り合って間もないですから。』
何せついさっきまでタダの犯罪者だとしか思ってなかったし。

『んっっきゃぁぁぁぁぁぁコナン君かわいいですわーーーーーーアリスどっきどきですわーーー』
キューーーと抱きつき頬ずり頬ずり。
嫌そうなコナンにも構わずアリスはコナンにまとわりついた。
その様はネコがじゃれ合っているような愛らしさがあり、微笑まし気な周囲の目をコナンは感じた。
方や天使のごとき愛くるしさ、方や人形のような愛くるしさ、どちらがどれだけと甲乙付けがたい可愛らしさは二人並ぶと壮観である。

助けて欲しいが頼みの綱のお祖父様とモリスはボールのお相手である。
後の4人はどうやらボールとアリスについて話し合っている気配。
この二人がスミスって大金持ちの家の人間で、更には親子という関係であることがなかなか納得できないらしい。
もしくは、ボールの奥さんがどんな人か話し合っているのかもしれない。あの犯罪顔を知って結婚したのならかなりの強者だ。

アリスの顔からしてきっとかなりの美人であると推測できる。無駄な抵抗をやめ、まじまじとアリスの顔を見ていたコナンに気付くとアリスはコクンと可愛らしく首を傾けた。
『あらコナン君抵抗終わり?もっと抵抗してくれなきゃ楽しくないですわよ』
おい。
疲れた笑みを浮かべてるとアリスはようやく離れてくれた。
『ピエロちゃーーん訳して訳ーーーやっぱり言葉の壁は厚いですわぁ』
『そんな事ありませんよ。お嬢様。言葉の壁なんて努力次第でなんとでもなるものですよ。』
ピエロが来る前に話し終えたモリスがやってきて来た早々アリスに諭す。
『だってーお話できないんですもの』
『まあ急には無理ですね。でも時間があれば・・・』
「モリス、アリスにジュースもってきてあげて。もうすぐ乾杯するみたいだから」
まだくどくど言い出すモリスに助け船を出すかのようにコナンが口を開いた。
「あら。そう言えばそうですね。今持って参ります」
軽く一礼するとその場を去った。
アリスはホッと胸をなでおろすともう一度コナンに抱きついた。
『あーんありがとーーコナン君。あの人の話長そうだったものどうやって逃げようか焦っちゃいましたわーー』
「どういたしまして」
ニコニコ。
それなりに意志疎通が出来ている事を感じアリスは満足気に微笑んだ。
『そうですわよね。よくよく考えてみれば性別の壁は乗り越える事が出来るんですもの、言葉の隔たりくらいなんて事ないですわ。そう時間さえあればどんな障害だって・・・・』
障害すらも二人の愛を深める一要素・・・とかとか。なんとか呟く声が聞こえてくる。
何やら突然うっとりしだしたアリス。
きっと彼女の頭の中ではコナン君と新一お兄さまの愛の語らいが始まっているのだろう。

何か・・何かが違う気がするぞ。
そう思ったがコナンはさりげなくアリスから視線をはずし、モリスが帰ってくるのを心から待った。
助けて快斗ぉ(涙)






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スミスさん家の事情をお送りいたしました♪
えへこれがアリスちゃんの家族なのです♪
ああ、スッキリ。
本当はボールと奥さんのなれそめも考えているのですが書く機会が
ないので残念ながら削除。
さてさて、お次はまたもやあの人が登場予定。
さてあの人とは誰でしょう?
2002.10.6