悪夢到来!!!  落下騒動1




コナン
異変が起きたのは乾杯と同時だった
主催者がワイングラスを掲げ音頭をとったその瞬間あたりは閃光に包まれた。
コナンも快斗もまさかこんな大がかりな手でくるとは思わなかったのか一瞬反応がおくれた
かろうじて間にあったのは傍に居たコナン
マーシェリー氏の服を握りしめはぐれないようにする。
落下するのを感じた
足下が崩れ落ち、地下へと
(この地下がカジノ場だったのかーーーー)
そんな事を考えながらコナンは仮の祖父と共に冷たいコンクリートの上へと落下していった


したたかに床に体を打ち付けてしまったコナンは起きあがるのに苦労した
かはっ
胸が苦しい
なんとか頭は守ったがかなりの距離を落ちたため衝撃がきた。
下手をすれば骨折の一つや二つする程の距離だ
自分は体重が軽い分はマシだが・・・
慌てて当たりを見回した

がれきの山
その中に点々と人間が転がっている。
いや埋まっているほうが多いかもしれない
あまりに悲惨な状況にコナンは口元を押さえた
嫌な事を思い出す


なんでこう俺って爆破に縁があるんだ?
こう立て続けに巻き込まれるとちょっとうんざりだよな
なんて嘆いてる余裕もなく、目の前がクラクラし始めキュっと強く目を閉じた。
今は過去の事に捕らわれている場合じゃない。
今朝誓ったばかりじゃないか
兎に角今はマーシェリー氏を守る事が最優先なのだ
でなければKID騒ぎに紛れて殺人を犯していった犯人を引っ捕らえる事が出来ない
吐き気を無理矢理おさえこみ
がれきに埋まる人々からマーシェリー氏を捜す。
快斗や、ほかの人間の事はひとまず後回し。
今はただ、子供のようにお祖父様を捜すしかない

「お祖父様ぁぁぁぁぁ」

口元に手をあてるとホールに自分の声がこだまする
ちょっと怖い
反応はすぐにはえられなかった




快斗


モリスの体もなんのその、なんとか受け身をとれた快斗はほとんど落ちたすぐに辺りを見回していた。
まだ上から岩やら人やら振ってきている最中である。
目に埃が入ったり嫌な物をみてしまったりしながら、快斗はひたすらコナンを探していた。
前回のトラウマがまだ抜けない。
本来ならマーシェリー氏を捜すのが筋なのだろうが、快斗は震える唇でただひたすらコナンの名を呼び続けた。

「コナン・・コナンっっっ」
またいなくなってしまったら。
今度は記憶だけでなく命まで奪われてしまったら。
そう思うとふるえが止まらない
どうしよう・・どうしよう・・・
こんな事ならロンドン行きなんて徹底的に阻止すればよかった。
ナイトメアの言葉なんて聞かずに地道に調査してればよかった。
やだ・・やだよコナン・・・
俺をおいて逝くなんて絶対に許さないからな


後悔と不安がないまぜに快斗は傍にいる仲間達の事も忘れただコナンを探し続ける。

「愛・・・ですわよね」
「愛・・なのかな。みているこっちが辛いわ」
「愛なのかは解らないけれどとても強い思いを感じるわよ。尋常じゃない雰囲気ねシンイチ」
いつもならちゃかす女性陣もさすがにこんな快斗をみてしまうとそんな事出来ない

「僕たちはとりあえずマーシェリー氏を捜そう。もしかすると一緒にコナン君がいるかもしれない」
「そうね。その可能性は高いわ。一番傍にいたのは彼なのだから。」
カバの言葉にメアリが無表情に頷く。
内心は心配で堪らないのだろう。時たま瞳が不安げに揺らいでいた。
「お父様・・ボールもそれにピエロちゃんもいませんわ」
「そうね。ボールなら心配ないだろうけどピエロはねぇ。うっかりがれきに埋まってそうよね」
マリアの失礼な言葉にアリスは埃で汚れた顔をハッと上向けた。
「マリアお姉さま。ピエロちゃん埋まってるかもしれませんわ。さっきアリスの事助けてくれたんですもの」
「え?」
「足下が崩れた時アリスが大きながれきにぶつかりそうな所をピエロちゃんがえいって突き飛ばしてくれたんですの。どうしようアリスの変わりに埋まってたら・・・」
涙目に訴えるアリスにマリアはまずいことを言ってしまったと口を押さえた。
またやっちゃった。こんな時に冗談は通じないというのに。

「大丈夫だよアリス。ピエロはああみえて意外と力持ちだからね。えいっていつぞやの机のように持ち上げちゃってるよ」
カバがホッとさせるような笑顔をアリスに見せる。
膝をつきアリスと同じ高さになるように調整するとポンポンと背中を叩いてやった。
まるで保父さんだ。

「本当?」
「ああ。僕が嘘言った事あった?」
「ありますわよ。いっつもボールがどこに行ったか聞いても知らないフリするんですもの」
「それはボールに脅されているから。そうでないときに嘘は言わないよ」
クスクス笑うとカバは小さなアリスの手をとった。
「さあ。探しに行こう。僕たちの仲間を、そして守るべき人を」
「そうですわね。ぐずぐず泣いている暇はありませんわ」
手の甲でグッと涙をぬぐい取るとアリスは明るい笑顔をカバにみせた

そんな彼らの近くで快斗は声が聞こえるがれき全てに手を掛けていた。
コナンの声かもっっ。
だが出てくるのは全然見知らぬ人ばかり。
心からの感謝をされ、それでもそんな意味のない言葉など要らないとばかりに快斗は次のがれきの山へと渡り歩く。
結果的に見事な人助けをしていた。
それに重傷な人にはちゃんと簡単な応急処置も施している。

「シンイチお兄さま。意外と力強いんですわね」
「さっきから見てたけど体も身軽よ。ヒョイヒョイってがれきの山を登っちゃうんだから。」
「それに思ったより処置の手際が良いことからこういう事態に慣れている。もしくは慣れるほどこんな事態に巻き込まれる。どちらにしてもナイトバロンの言う事件体質の結果らしいわね」
「大変そうだね。そういう体質って」

一人で何十人分の働きをする快斗にアリスもマリアもメアリも感嘆の声をあげた。
メアリの言葉にカバはこんな事態に慣れてしまう体質の工藤新一と言う人間にひたすら同情の念を感じていた。
快斗の横顔は必至だ。
一心に一人の人間をさがしている。
「そんなに離れていない場所に落ちたと思ったのだけれど・・ここら一帯には探している人物はいないみたいね」
メアリは冷静に判断する。
考えたく無いことだが、ここにはいない。
あまりに凄惨な状況だからアリスに見せたくないのだけれど、きっと父が気になるだろうからとカバ達は4人で、つっぱしる快斗の後を追った。
あんな彼を放っておくわけに行かないし。



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