悪夢到来!!!  無血の闘い方4


みすてりー同好会の顧問。プロフェッサーセディス。
彼が大学教授になったのは半年前のことだ。
同好会の顧問になったのもほぼ同時期。
そして最初の事件が起こったのがその数ヶ月後。
偶然とは思えない。

『なんであなたがKIDを・・・』
『それは彼が言った通りですよ。とはいってもあなた方は日本語は分からなかったですね。言って置いたでしょうKIDの事を知りたいのなら日本語を勉強しなさいと。』
含み笑いをみせる。
『それは・・・』
『所詮あなた達の気持ちはその程度ということですね。そうそう。私はKIDのファンなんかではありませんよ。むしろあの偽善が嫌いで嫌いで仕方有りませんでしたね。』
まるで会った事のあるような言い方だ。

『よく言われます』
KIDは堪えた様子もなく微笑んだ
どんなに人気があっても所詮犯罪者。
他の犯罪者からそういう言葉をもらう事はけっこうある。
そんな事にいちいち傷ついていた時期はとっくに通り越した。
自分のポリシーが有る限りこの偽善は続けていくのだから他の奴らになんと言われようと痛くもかゆくもない。

『あなたがジャパニーズKID?』
『KIDに日本も英国もありませんよ?私はKID。それだけです』
『まあいいです。あなたが日本で活躍してくれたおかげで私は今とっても大変な立場にいるのですよ。まったくせっかくの上客がへそを曲げてしまったじゃありませんか』
『察するに例の組織の一員ではなく殺害を頼まれただけのただの殺し屋ということですね?』
『まあそんなものですね。まさか貴方が直々に出向いてくれるとはいやはや嬉しい限りですよ。』
・・・ということは・・

(8年前父さんを殺したのは・・・)
KIDの瞳がスッと細められた。
取り巻く空気がぴりぴりと鋭く尖る。
それに反応したかのようにセディスはナイフを構えた。

『本物のKIDと渡りあえるとは恐悦至極。』
そんな嬉しそうな言葉にもKIDは軽口を返す余裕がないのかトランプを一枚投げた。
『おっと何やらお怒りのようですねぇそれはあれですか?自分のせいで無関係の人たちが殺されてしまった怒りとかいう馬鹿げた考えとか?』
『・・・』
無返答のままパチリと指を鳴らす。
その拍子に投げたトランプは爆ぜた。
『わっ』
慌て飛び退いたセディスを背後からとらえ、首筋に切れ味抜群のトランプをつきつけた。
(こいつがっっこいつがこいつがっっっっっっっ)
父さんを・・・


あまりの早さに誰もが目ですら追いつかなかった
『・・・き・・KIDは人は殺さない。いや殺せないんですよね?これは脅しにすらなりませんよ』
ふんっと笑ってセディスはトランプをはねのけようとした。
それにグッとトランプが首に食い込んだ。

ビリっと喉に痛みを感じたと思ったら血が流れ出ていた。
さすがにセディスも慌てた。

『ま・・待ちなさいっこれが目に入りませんかっ』
KIDに捕らえられたままセディスが誇らしげに掲げたのは・・

(懐中電灯?)
それが何だというんだ?そんな周囲の視線を感じセディスは不敵に微笑んだ。





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