学校対抗
     チョーーウルトラスーパー
                バトルロワイヤル10




「三好さんこいつが俺のパートナーの乾。んで、こっちが中学ん時の先輩の黒羽先輩と中森先輩。んでそのパートナーが二人でおしまい」
名前すら呼ばれないコナンと白馬。
もしや覚えていないのかもしれない。

「こんにちは〜紹介にあずかりました黒羽快斗でっす。相方は江戸川コナンちゃんでっす」
とまたもや先ほどのごとくコナンを抱きかかえ三好の前へと引きずり出す。

「こ・・・こんにちは・・」

宙吊り状態のコナンが引きつった笑顔で挨拶してみれば一瞬目を瞠ったものの、三好はニコリと人好きする顔で微笑んだ。
腰をかがめ目線をあわせ、子供に対する柔らかな声で
「こんにちはコナン君。僕は服部三好(はっとり みよし)って言うんだ。ヨロシクね」

(な・・・なんていい人なんだーー)
今までが今までだっただけにコナンの感動もひとおしだった。

一瞬にしてコナンと快斗の中で三好の株が急上昇する。たぶんコナンの中では辰巳、乾より遥か上位へとランクインしたことだろう。

「服部君って何年生?」
「三好さんは俺と同じ高1なんっすよ。」
青子の問いに三好が口を開く前に辰巳が答える。

「相田君がさん付けで呼ぶからてっきり2年生だと思ったよー」
「俺も思った。」
「なんとなく三好さん見てるとさん付けで呼びたくなるんっすよねー。」
青子と快斗の言葉に首をかしげながら不思議不思議と辰巳も言う。

「よく言われます。それと三好でいいですよ。中森先輩」
「そお?あっそーいえば三好君パートナーは?」
「僕の相方はたぶんあのへんに・・・・・・・・」


と青子の言葉に背後を振り返り呆然とした三好。
「あれ?」

どうやらはぐれたらしい。

「せんぱぁぁぁぁぁぁいーーーーーー」

呼んでみたところで人ごみから返答があるはずもなく、三好は途方にくれたように眉をたれた。
「あー。すみません。紹介したかったんだけどそれどころじゃないみたいで。」

「う、ううん気にしないでっ。それより早く探さないとお昼の時間終わっちゃうよ。ご飯食べないで次の試合始まっちゃったら大変だよ」

今から1時間の昼食タイムである。
この人ごみから相方を探してご飯を食べるのに1時間では厳しかろう。

そんな状態でも律儀な三好に慌てたように首を振る青子に他の面々はコクコク頷いた。
「そーそー。」
快斗が相槌をうてば白馬もノンビリ三好を急かす
「急がないといけませんよっ」

「手伝ってあげたいがあいにく僕達は相方の顔知らないし」
「最悪俺達が分裂しちゃうしな〜。悪いな三好さん。」
乾が肩をすくめたその隣で辰巳も残念そうに頭をさげる。
そして最後に
「頑張ってねっ三好お兄ちゃんっ」
「頑張れっ三好君っ」
コナンと青子の励ましを受け、なんだか仰々しく送り出された三好。


その実に目立つパフォーマンスにいやな顔一つせず笑顔でお礼を言ってしまえるのは彼の度量が広いからにほかならない。

「ありがとう。また会えたら相方紹介しますね。」
「こっちこそありがとーー三好さぁぁぁぁぁぁん」


永遠の別れでもあるまいし大きく手をふり別れを惜しむ辰巳の姿になんとなく苦笑してしまう。
「あっ忘れてた」
「何?コナンちゃん」
「なむなむなむ〜〜〜」
「・・・・・・・・・・いや、拝む必要ないんじゃないの?」
「なんとなくやっておかないと気がすまなかった」
「んじゃ俺も。なむなむなむ〜」

三好の後姿に向かって手を合わせる二人。
それにつられたように他の4人も消え行く三好の後姿に向かって手を合わせ始めた。
一体なんの集団だか全くわからなくなってきた。
「「「「「「なむなむなむ〜〜〜」」」」」」





「あっいたいた。先輩っ」
人ごみの中から見つけ出し嬉しそうに手をふる三好。
相方はすでに鞄からコンビニで購入したおにぎりを取り出し食べ始めていた。

「うわー。もう食べてるしー」
「お先にー。ほれ、三好の分のデザートはとっといたから」
落ち込むなー。と励ます(?)相方。
「いえ、デザートを心配してるわけじゃないんですけどね。先輩いつの間にかいなくなってるし」
「すまんすまん。ちょっとな」

軽く手をあげ「堪忍〜」と謝る相方は三好と違って私服だった。
ジーンズにジャンパー。それに目深にかぶった帽子。
黒く焼けた手のひら。
コナンと快斗がここにいれ
「まさか・・ね」
「まさか・・だろ?」
思わず顔を見合わせたことだろう。


「それと三好。先輩じゃあなくてお兄ちゃんっだろ」
「あっ忘れてましたー」

あっはっはーー

「そういえぱさっき小さな参加者と会いましたよ」
「へー。そらラッキーやな」
「ですよねぇ先・・・・お、お兄ちゃん・・・なんか照れますね」
「こっちも照れるわ」

二人は赤くなりながら照れ照れと頭を掻いた。






お昼休憩(快斗お手製三段重ねおせち)を取った後、一行は第三次試験へと向かった。
お題は。お昼ごはん同様、正月らしく


「百人一首」


若者達が叫んだ

「なんだそりゃーーーーーーーー!!」

やり方どころかその存在すら知らなかったものもいるだろう。

もちろんそんな中、句を全部覚えている快斗とコナンは難なく満点クリア。
余裕綽々の勝利だったのは言うまでもない。



「次の試合は〜」

さすがにここまで勝ち抜いてきただけあって強敵が残っていた。
そうそう簡単には自滅したりしないし、頭脳と運動能力を兼ね添えた者がいるのか、二人で分担しているのか、どちらにして知力体力どちらにも対応できるもの達が残っている。
よって勝敗を決めるものは


「運」


である。



そして当然のことながら


「勝利ぃぃぃぃぃ!!」
「ちょろいなっ」

二人の「運」は人として最凶最悪なくらい人間離れしていた。












「本日の競技はこれで終了でーーーーす。また明日のお楽しみって事で勝者の皆さんは今から配る場所へ明日10時集合してくださいねー。ヨロシクお願いしまーーす」

どうやら明日は違う場所でやるらしい。
時刻は夕方。
演出なのか、たまたまなのか、時田のつるつる頭は夕日を背に受け素敵に輝いていた。

思わず感動というものを胸に抱いてしまった自分がちょっぴり悲しかったコナン。
「僕、あんなつるつる頭を見て感動する大人になんかなりたくない・・」
シクシク。
「いや、誰もなりたくないって」
横で快斗の突っ込みが入った。



「さー帰るべ帰るべー」
「なんで"べ"なんだ?」
「なんとなく〜〜」
「まあーどうでもいいけど、また明日もかぁ・・・」
「仕方ないねぇ勝っちゃったし」

二人でため息。
「目指せ優勝!!そんで数学の成績に上乗せしてもらうのさ!!」



なんか後ろで辰巳が叫んでいる。


「そ・・・そういう大会なのか?」
「・・・全然聞いてないけど・・でも俺もこれで出席日数どうにかしてもらうんだしそうなのかもよ」
「なるほど。それにしても、いいのか?あんな事大々的に叫んで」
「困るのは辰巳だけだしいいんじゃね?」
「なるほどな。」


「俺は参加するだけでもよかったんだけどー。コナンちゃん優勝したいんでしょ?」
「・・・・・・・だな。んで高笑いしてやる予定ではある。・・・が、なんだか自分でわざわざ墓穴を掘っているような気がしないでもない」
(掘ってるだろうねぇ。あそこで負けておけば明日は寝まくりダラダラしまくりの生活が待っていたんだから)
でもそれは口にしない。
言えばそんな事自分でも分かってるコナンがぶち切れるに決まっているのだから。
だからこれみよがしに元気に掛け声をかけてみた。

「よーし。優勝目指して頑張るぞーーーー!!」
「・・・おーぅ・・・」

疲れたようなコナンの相槌がちょっと笑えた。


プリントを貰い、人の流れにそって出口へと向かったコナンと快斗。
当然のように後ろにつき従うのは辰巳、乾コンビ。
その後ろから青子と白馬がこれまた当然のようについてきた。


「あれ?」
突然歩みをとめたコナンに
「どした?」
快斗は慌てて足を止め一歩後ろのコナンを振り返った。
「いや、三好がいた気がしたんだけど」
背後を顔だけで振り返ったまま首を傾げるコナン。
「どれ〜」
快斗もコナンが目線を流すほうを探してみるが、人ごみが見えるだけで発見ならず。
「また縁があったら会うんじゃないの?」
「まあな。三好はいいんだ三好は。ただ・・・・・」

その隣になぁぁぁんか見たことあるっぽい人がいたよ〜ないないよ〜な・・・

「見たことある人って誰?」
俺の知ってる人かなぁ
「・・・・・・いや、まあ気のせいだろう」
数瞬間が考えた末そう結論付けて頷いた

「そ?」
それならいけど。
頷いて二人は顔を元に戻した。
去り行く二人の背中を見てほくそ笑む者が約一名人ごみに溶け込んだ。





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えーっと。三好君の相方だーれだ?
なんてアホな事聞きません。
まず大抵の方は予想ついてらっしゃる事でしょう。
でてきたら「ああ、やっぱりね」
と薄ら笑いでもしてやってください(笑)

それまでは心の中にしまっててね



04.2.2