学校対抗
     チョーーウルトラスーパー
                バトルロワイヤル13



「にいちゃぁぁん何か人がいっぱいいるよー」

起きたら外は人の波。何かしているようだがよくわからなかった


(なんだあれは?)

本人たちも疑問だろう。
かれらの姿はおしくらまんじゅうのようだった

窓の外の彼ら。それはまさしくハチマキ奪いましょ合戦中!!
彼らもきっと冷静な視線で今の己を見て欲しくなかっただろう。

絶対馬鹿にしか見えない。
いや、馬鹿だろう。
こんな自分が馬鹿だと思っているのだから否定できないが、学校の名誉と己の名誉のタメにこんな馬鹿な合戦もまじめにやらなければならないのだ。

ああ・・ああ・・馬鹿馬鹿しい。

そんな合戦中の彼らの心境なんて聞こえるわけのない建物内の彼らはそんなおしくらまんじゅうを見てクス、と笑った。

「ゲームでもするか。英っ暇なやつら集めてこい。」
「うんっ」





最後のチームはコナン、白馬チーム三好、辰巳チームが一緒だった 

ってかほとんど俺らじゃん


呆れた顔で面々を見渡すコナン。


相方に「今回は完全に敵だからあいさつはこれがおわってからな」と言われ三好は遠くから手を振るだけでコナン達に近付かなかった

「お互い頑張りましょーねー」

大きく手を振って叫ぶ三好。相方は帽子を目深にかぶってそっぽむいている
ま、いーけどな
三好はいい奴なので広い心で可愛い笑顔と共に手を振り返しておいた。






「は〜い10分たちましたぁ 最終組出発してくださぁぁい」

気の抜けたような合図で残りのメンバーはひた走る。
急いで既に走り回っている15チームに追い付く為に


その後姿を笑顔で見送っていた時田は次の瞬間スッと表情を消した。

パソコン画面を見て眉をクッと持ち上げチラリと隣の友人を見やる。
藤堂も同じくこちらを見ていたらしくカッチリ視線が会うと非難がましい言葉をかけられた。

「分かっていて送り出したな」
「ええ。そうです」
「子供がいるんだぞ」
「分かってます。でもあの組が中に入ってくれれば流れが変わると思ったんです」
「・・・・・だといいが。」

同時に盛大なため息をついた。

「・・・・・・・・たぶん。何か起きてますね」
「そうだろうな」


建物は広い。
だが入り口は一つ。
階段も一本。
当然敵チームと遭遇する率は高い。
そう仕向けてある。

と、言うことはだ。
けが人は出やすく、開始から数分で一組くらい再起不能になっているのが普通。
予定、ではなく、それが普通なのだ。

なのに・・・・



試合開始から30分。
未だ一組も戻ってきていない。



時田はおもむろに携帯を取り出す。



「何する気だ?」
不穏なものを感じた藤堂は眉を寄せた。

「警察に電話ですよ。後手にだけは回るわけにはいかないんですよ」
「だがまだ何が起こったという訳では―――――」
「起こってからでは遅いでしょう」

しかしこれで何もなかったら・・・・・と
あくまでも反対姿勢の藤堂。

「もし何でもなかったら?そんなの決まってるでしょう」

まるでリンゴが落ちるのは重力が存在するからでしょ?とでも言ったように自信満々に答える。
どう決まってるというんだ?

「ごっめーーんなさい♪でおしまいですよ」

「・・・・・・・・・」



それで済んでいいのか?
いいのか本当に?
激しく疑問が渦巻く中すでに時田はナンバーを押したようだ。

「その際はお前に任せる」

後戻りできないところまで来てるのを感じ(いや、この時田を止められるわけがなかったのだが。)藤堂は重々しく言った。
「まっかせっなさーーい」

適材適所。
素敵な言葉だ。


「もしもーーし刑事さんですかぁ?」

能天気なそんな話し声を発する隣をみて使いまわしのきく相方を思わずほーーーーんのちょっぴり羨ましく思ってしまい藤堂は悲しくなった。




いくつかの問題が道の別れめに貼ってあった。
簡単なものから、奥深いものまで。
頭脳ゲームかと思えば感を頼るようなところもある。
いくつめかで出た問題は


「太陽が昇るほうへすすめー」
だった。

すでにクルクルいろんな道をいったり来たりしていた人たちはどこにいるか分からなくなるころだった。

「東・・・まっすぐだな」


方向感覚を持ってないものはまずここでつまづくだろう。
もちろん体内磁石のある二人にとっては大した問題ではない。

一瞬もとまらず駆け抜ける二人に背後のめんばーはついてゆく


「東ってあっちなのか?」
「ああ。おおよそのところ。正確には北東だ。東はこっちだ」
首をかしげた辰巳に乾が壁を指差しながら説明をする。
なるほど。なるほど。

感心したように辰巳と青子が頷いた。

そんな賑やかな彼らが途中から居なくなったのにコナンも快斗も気が付いてはいたが、関係無い。
勝負なのだから一緒に走っていたら意味が無いのだ。


「好きなほうへ進めー」

サバンナ住民並みの視力を発揮し、かなり遠くから問題を伝える快斗。

「なんだそりゃ大雑把だな」
それにコナンは苦笑する


「どっちにするー?」
「んじゃ右」
「らじゃ」

二人はやはり一秒もとまる事無く走り続けた




「おっと発見一枚目ヒント〜」
辿り着いた先の行き止まりの壁に張りつけてあったソレ


    『ある物とは白いものです』


「だってさ」
「つぎ行くぞ」



「暗号だ」
その声に弾けるように顔を向ける。一瞬でウキウキした空気をかもし出したコナンに快斗はこっそり笑みを漏らした。
「ほらこれ」

「どれどれ」
指差された一枚の紙を覗き込み顎に手をやると嬉々として解きだす
だがしかし、次の瞬間

「右隣の部屋の 上から三番目の 引き出しの中」



・・・まだ1分もたってないんですけど
「なんだ簡単じゃねーか」
瞬間つまらなそうな顔になるコナン
「そ、そうですか」
確かに難しくはない。だが人間として20秒弱で解いていいもんじゃないと快斗は思うのだ


「まぁいいか。次を期待しよう。とりあえず隣行くぞっ」
「はーい」
 


隣に行き、引き出しをあけてみれば

「あら」
「ま、そうだよな」

中身はすでに取られた後だった
トレジャーハンターは出だしが遅ければ遅いほど不利なものなのだ

「次ぎ行くぞ」
「アイアイサー隊長っ」




「やっほぅ黒羽せんぱーい。また会ったっすね〜」
「おや、また会いましたね黒羽くん」
たまに出会ったりする仲間たちに軽く手を上げ成果は秘密。

お互いに口をつぐみ合い、またねと手を振り、走り出す。

「あっちゃーここも盗られた後かー」
「30分差は大きいな。」





そうしてからずいぶんとたった頃だろうか、
おかしいと最初に気付いたのは突入後5分程たったころだったが、気のせいかと思っていた。
だがしかし。
これは明らかに・・・・・少ない・・・・・。
チラリとコナンの頭に嫌な考えが浮かんだ。
(なんだかなぁ・・)



階段は危険の豊庫である。
それはもう階段で敵同士が出会えば死者が出てもおかしくないくらいに危険である。

よって今ここに、二組の敵が出会い、片方が昇ろうと、片方が下ろうとしているところ、思い切り上の人間が下の人間押したとしても、勝負中なのだから当然の事かもしない。だって敵だもん。

だが、その相手が子供であり、打ち所が悪ければあの世へ行く程度の高さから吹き飛ばしたのは、お前殺す気か?といった出来事であった。
押した本人もちょっとやばいかも・・・と青い顔をしたのだからやばかったのかもしれない。

実際彼は死にかけたのだろう。
本人あんまりそういう切迫感を持っていなかったが。



うわっ

と思った瞬間、体が宙に浮いた。
とっさに手すりに掴まろうとはしたが微妙に届かない。

「コナンちゃんっ」

相棒の悲鳴じみた叫び声も耳に届きはしたが、それどころではない。



ああっこの短い腕が憎いっ。

一瞬で腕に対する文句が出てくるのがコナンがコナンたる所以、といった所だろうか。
その次には

ちくしょーーー黒の組織めっっ

そこまで頭が動く。

まて、せめて走馬灯のごとく思い出を蘇らせるべきでは?
なんて一瞬思考の端っこにチラリと思ったのも確か。
だがやっぱり組織に対する怒りのほうが強く、

つぶすっ
つぶすっ
つぶすーーーーーーっっ

心の中で叫びながら階下まで吹っ飛んでいった。

なんて余裕ある被害者だろうか。



「おおっと。なんや降ってくるなぁおもうたら・・・・工藤やないか」

呆れた声が背中から聞こえた。
いや、もしや幻覚かと思った。
今おれはすでに地面とこんにちはしていて、意識ふっとんで夢みてんじゃないかと思った。
そんくらい
ありえないと思ったのだ。

なのに

「あいっかわらず軽いやっちゃな。ちゃんと食っとるんか?」
「余計なお世話だっっっ」

あまりに失礼な言葉に
思わず幻覚に向かって怒鳴りかえしてしまった。


そして自分の状況を思い出し。
自分が空から落下したのを受け止めてくれたのがこの後ろの相手であるのをようやく思いつき、
ぴょんっと腕から飛び降り背後を振り返った。

「っっなんでてめーがここにいるっっっ」


確かにな都内。
真ん中だけあって人種はあふれてるさ。
ロンドン帰りの人間もいれば、魔女もいる。
なんでか世界的に有名な怪盗もいるさ。
さらには怪しい組織に薬で小さくされた元高校生今小学生なんてのもいるくらいだ。

大阪人がいようがメキシコ人がいようが驚きゃしないさ。


でもなでもな・・・


「てめーがここに居るのは明らかにおかしいだろ〜〜がっっ」
参加するなんて聞いてないぞーーーーー!!

「おかしい・・・ねぇ。それはこっちのセリフや」
「あ?」

なんだその嫌味ったらしい視線は。

むっとする


「いや〜別にぃ心配させるだけさせくさりおったっちゅーに電話一本だけで人が顔みに行く前に海外へ高飛び。
ほんでなぁぁんでか今ここにおるんはどゆこっちゃ・・・なぁんてぜぇんぜんおもってないけどなぁ」


あ、すっげー俺不利かも 


「・・・ごめんなさい」

「はっはっはー素直でよろし」

腰に手をやり笑い出す西の名探偵をはたき倒したい衝動を必死でこらえ、
上から跳ぶように駆けつけてくる相棒と、突き落とそうとした敵チームの二人をギンっと睨みつけておいた。
八つ当たりです。



小説部屋         次へ



ハイパー遅い更新でごめんなさい。
さてようやく黒い人が登場。っていうか
コナンさん命助けられたんだからお礼くらい言いなさいよ〜

04.5.13