学校対抗
チョーーウルトラスーパー
バトルロワイヤル14
「先輩。お知り合いだったんですか?」
「んあ?ああ。まあな。」
コナンは気づかなかったがさっきから服部の後ろにいたのだろう三好は不思議そうに尋ねたが歯切れ悪く服部は答える。
「知り合いっちゃー知り合い・・・だけど」
どうゆう知り合いか聞かれると微妙に困る。
「三好兄ちゃんは平次兄ちゃんとどういう知り合いなの?」
話題転換とばかりに可愛くコナンが首をかしげてみれば三好は嬉しそうに教えてくれた。
「僕はね、剣道の大会で知り合ったんだよ。服部先輩の一方的なファンだったんだけどちょっとした事件でね」
「こいつ俺とおんなし服部っちゅーやろ?防具つけとるときに俺に間違えられて襲撃されたンや」
っつーか襲撃されるような人生おくんなよお前。
人のことをいえないコナンが心の中で突っ込みを入れる。
「危ないところを服部先輩に助けてもらったんです」
「いや。元はといえば俺のせいやし」
その事件のせいで余計に心酔したらしい三好。
「そん時の借り返すつもりでなんか礼させてくれゆうたら」
「一緒に参加するはずだった兄が突然これなくなってしまったんで代わりに付き合ってもらったんです」
「ってそれってもしかしてそのお兄さんのほうが学校の代表だったんじゃ」
「ええ。僕の兄はすちゃらかなんですが何故か非常に頭がよくて期待されているんですよね」
快斗の言葉に三好は飄々と答える。
「バレたらお兄さんかなりやばいんじゃないの?」
あまりのあっけらかんさにコナンの方が心配になるほど。
「大丈夫だよ。うちの兄の適当さ加減は校長のお墨付きだからね。今回だってこれがあるっていうのに勝手に旅に出ちゃうんだからバレても自業自得だよ」
旅・・・ですか。
一同あきれ返った。
「そうなんだ・・・」
「うん。だから気にしないでね。」
「うん分かった」
ニコリと微笑まれコナンは素直に頷いた。
何故だか人を和ませる力を持った人間だ、と感心してしまう。
話はそれで終了とばかりにあたりに和やかな空気が流れたか・・・と思えば、残念ながらそうはいかない。
快斗の気が全然治まっていなかったらしい。
背後に暗雲を背負い、ポッキポッキ指を鳴らしながら目の前にいる三好の横をゆっくりと通り過ぎた。
「さぁてっ。おっしおっきターーイム。いくら何でも有りとはいえ〜これは厳重注意が必要でしょー?さっさっさぁぁ君たちぃぃ覚悟はいいかなぁ」
その足でこっそり逃亡を図っていた二人組みをひっ捕らえ、恐ろしい笑顔で威圧する快斗。
クルリと振り返り今まで仏様のごとき慈愛の微笑みを浮かべていた三好までスゥっと目を細めうっすら怪しい笑みを作りながら
「そうですよね。少々痛い思いをするべきですよね」
などとのたまう姿は恐ろしい以外の何物でもない。
背筋の凍るような声音になにごとだ、とそちらへ視線を向けたコナンは攻撃をしかけてきたグループにネチネチと文句を言ってる快斗の姿を視界に止めた。
「全くっ死んでたらどうするつもりだったわけ?危ないでしょっ」
「そうですよ。幸い先輩がいたから無事だったものの」
さらには後ろから三好まで援護攻撃している。
なんだか嫌なコンビの誕生だなぁ。
無駄に頭の切れる男+妙に罪悪感を感じさせる男。
さらには笑顔は崩さないというのに、妙な威圧感をかもし出す二人。
犯罪者(←未遂だ)にとって実に嫌な相手である。
ま、俺には関係ないし〜←超関係者
そんな事を考えながらこれ幸いと傍でその二人を見て苦笑していた服部のズボンを引っ張って耳を近づけさせた。
「ところで気づいたか?」
コナンのささやくような言葉に服部は小さく頷き返した。
「ああ。さすがにこれに気づかへんかったら探偵失格や」
「まぁな。で?どう思う」
「何か起こっとるんわ分かるんやけど・・うーん・・集団誘拐事件?」
「せめて神隠しくらい言えよ」
「いやそれも現代人としてどうかと思うで?」
「バーろぅっ。冗談に決まってっだろ。今んとこ最終組以外にどんくれー遭遇した?」
「冗談やったん?目がマジやった気ぃするけど・・・。んーせやなぁ。さっき工藤を階段から突き落とした兄ちゃんたち以外やと・・うーん一組くらいやな。」
「・・・・それだけか」
コナンは神妙な顔で考え込み始めた。
「少ないな」
「せや。少なすぎるわ」
明らかに少ないのだ
走る範囲は広いのに何故か他のチームとよく出会う。
それはゲーム設計者がそういう風に仕向けているからに他ならないが、それにしては・・少ない。
出会う人間の種類が。
特に出会うのは最後に出発した5組。
それ以外は今出会った殺人者なりそこない組(笑)と、その前にコナン達は数組とであった。
全部で20組。
そのうち確実に10組以上がどこかに消えうせているのだ。
「なぁんかヒシヒシと嫌な予感がするんだけど・・・」
「あー・・工藤おって黒羽もおるしなー」
なんか起こってもオカシクもなんともないわ。
服部の言葉にコナンは無言ですねを蹴り上げた。
『はぁ?何か起こりそうだから誰かよこせ?』
「ええ。そうです」
怪訝そうな相手の言葉にあっさり頷く時田。
さすが根性が人の3倍ある男である。
『あのですね。申し訳ないけどこっちは例の強盗事件で人手が足りないんだ。とてもそんなあやふやな事に人員はさけないよ』
「そう言われるとは思いましたよ。ですが考えても見てください。その強盗の犯人だってやみくもに捜し回ったところで見つかるとは限らないでしょう?もしかするとその強盗軍団がこの建物に隠れ潜んでいるかもしれなじゃないですか。もしそうだったらめっけものでしょう?試しに一人くらい寄越してみてもいいと思うんですよ」
『そんな都合の良いことが・・・って目暮警部?え?代われって。え?ええっ?』
電話の向こうから聞こえてくる声に耳を傾けながら小声で藤堂に話しかける。
「なんか揉めてますねぇ」
「まさかお前の完全はったり話が効いたのか?」
「おやはったりとは失敬な。1%くらい可能性としてはあるでしょう?」
飄々した声で嘯きニヤリと笑ってみせる時田に藤堂は呆れた顔で肩をすくめた。
「ま、何にせよ説得できればいいだろう」
どんな手をつかっても。どうせ後で謝るのは時田だ。
自分は隣でみてればいいだけ。
なんて楽な位置だろうか。
『うちの者の失礼な対応申し訳ない。私は目暮と申します。詳しい話をお聞かせ願えますかな?』
「はいはい。お任せください」
ようやく話の通じそうな人が出てきたぞ。時田は張り切って説明し始めた。
「で、僕までこちらに駆り出されたわけですね?」
高木の恨めしげな視線に目暮はソッポむいた。
(そりゃぁ、悪いなあとは思ってるが・・・)
手が空いてる者がいなかったのだ。非番の高木以外に。
「2ヵ月ぶりのお休みだったんですよぅ」
やりたいことはたっぷり。だが、ひたすら一日寝てようと決めていた。そのくらい疲れていたのだ。
「あんな適当な話、間にうけてるんですか?」
「・・・ああ。」
まさかね、と聞いたのに返ってきたのは歯切れの悪い肯定。
「え?本当ですかっ?」
「高木くん。ちょっと考えてみんかね。犯人グループはしばらくここらへんを荒らし回っている。ここいらに、動くときの拠点となる隠れ家があってもおかしくはない。むしろ・・・」
「あってしかるべき・・・ですね」
「だからこそ。」
そう考えればこの建物は怪しい。襲撃地点を線でつなげばこの場所は多角形の中心位置に相当する。
「更には聞けば今回のゲームのために去年の暮れから電気と水道を使えるようにしておいたと言うじゃないか。これはもう・・・」
「目暮警部。もしかして僕より他のメンバー全員呼び寄せたほうがよかったんじゃ・・・」
恐る恐るご忠告をしてみれば、目暮警部はまたもや視線を空へと動かした。
なにやら非常に居心地悪そうである。
「あ〜〜・・。うむ。実はな、そういう考えに思い至ったのがついさっきでな。すぐこちらに来るよう連絡を入れておいた」
「僕を呼ぶ前に気付いて欲しかったです(涙)」
「うむ。すまんな」
哀れな高木の泣き声に目暮は愁傷に心から謝罪を述べた。
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