学校対抗
     チョーーウルトラスーパー
                バトルロワイヤル15


「っちゅー事で、なんか起こってそーやし、イチオー全員で行動しよか?って話なんやけど・・・」
「コナンちゃんがそう言うならサンセー!!サンセー大サンセェェェェ!!」
「お前には聞いてへんわっ黒羽っ」
「ひっどぉぉいヘーちゃんったら冷たいわぁぁ。俺には一票入れる参政権すらないのっねえっ無いっていうのねぇぇぇ人権侵害はんたーーいっっっ」
「くどー。こいつジャマっ」
「・・・・・・快斗兄ちゃん。少し大人しくしててくれないかな?」
「はい・・・」

しょっぱなからどうにも疲れる会話を交わしながら、コナンの代わりにこの場の説明をしだす平次。

「大体なんであいつが指揮とってるんだ?」
「西の高校生探偵だからだろう」
「へ?マジ?なに乾お前なんでそんなこと知ってんの?」
「一時期にしても探偵を目指したことがあるならそのくらい知っていろ」
「違うってあれは気の迷いっ。ちょっと通販の養成講座に心惹かれただけじゃねーかっ。あっもしかしてあれか?西の服部、東の工藤!!」
「なんだ知ってるじゃないか」
「ええっ?あたり?やっべーそんな有名人なんて全然知らなかったぜ。そりゃ先導とってもおかしくねーよな」
「俺は黒羽先輩にとって欲しいけどな」
「あっ俺もホントはそっちがいー。けど仕方ねーって黒羽せんぱいは探偵じゃねーもんな」

辰巳と乾の会話を背後で聞いていた残りの一組。
先ほどまで快斗と三好に絞られていた二人は顔面蒼白で平次を見つめた。

「あ・・あいつ何かあのガキと知り合いっぽいんだけど・・」
「俺たち有名人の知り合いを殺害しかけたってことか?すっげぇやばいところだった?」
明日の新聞にデデーンと載ってもおかしくないくらいにピンチだったかもしれない。
その場合、
「えーーーッ。って言うかぁぁぁぁ。この場合ぃぃへーちゃんがどーのって言うよりぃ、もしぃ〜うっかりコナンちゃんが怪我でも負ってたらぁ君たち明日の朝日拝めない体にしちゃってたよぉ♪」
加害者としてではなく・・・・・・永久お蔵入りの事件の被害者として。

ヒソヒソ会話していたはずなのにいつの間にか入り込んで二人の肩を両腕で抱え込むように抱きしめる快斗。
その力はどんどん強くなってゆき終いには骨がきしむ音すら聞こえてきそうだった。

「いたっったたた・・」
「は・・・はなっっ離せっ」
「ねー。よかったねぇ命拾いして。へーじ君に感謝しときなよぉ」

明るい声音。
まるで世間話のように脅しをかけられ二人はここ数分で5年は寿命が縮んだ気がする。
肩の痛みよりよっぽど心臓が痛い。
今日の夜は悪夢を見ること間違いなしだろう。

そんな二人を助けたのは被害者であったはずの小さな少年だった。
平次の横で快斗の所業をみるともなしに見ていたコナンは困った相方を制止する。

「快斗兄ちゃん」
「はぁぁい♪」
犬のごとく呼ばれた瞬間コナンの元へ駆け寄り、なつき倒した快斗はコナンに頭をなでてもらっていっきに上機嫌になった。

「あんま虐めてんじゃねーよ」
「わかってるって。ちょこぉっと駄目押ししておいただけよん♪」
「お前のは一般人にはきつすぎンだよ。それより服部と話してたんだけど―――――」

一瞬にして真剣な表情になったコナンにあわせ快斗も真面目な姿勢で大人しく拝聴しておいた。
だって適当に聞くと怒られちゃうもん♪






結局全員で大移動をしている面々。彼らは出口へと向かっていた。
建物は複雑で、窓から出れないように外が堀になっているし、内部も実に複雑怪奇な仕組みになっていた。
何を考えてこんな建物を作ったのか気が知れない。←あの司会者の趣味だというなら納得できるが

「なんだか外がざわめいてるな」
「そうだねー。」
そんな一団の最後尾をホテホテテ歩いていたコナンは窓の外を眺めた。
隣を歩いていた快斗は目の前を歩く辰巳の髪の毛を可愛く結びながら相槌をうった。
「黒羽先輩っなにしてんっすかっ」
「んーほーらかぅわいー。なっ乾っ」
「ええ。まるでパイナップルのようですね。さすが黒羽先輩」
「うふふ〜褒められちった。さすが俺っいい出来っ」
「褒めてんのか?それ褒めてるつもりなのか乾?」


コナンが外を眺めたのは、そんな三人組をあえて視界からはずしたい一心だったのかもしれない。
だがその先にも出来れば視界からはずしたい代物があった。

キラリン〜
ピカリン〜
テッカリーン

そんな音がしそうな物体が・・・・



(あーピカピカしてんな司会者の頭)

上から見下ろすとよくわかる。その輝きにすげーすげーと内心拍手をかましていると(実に失礼)何やら見知った顔が時田の横に見えた。
「高木さん?」
まさかと思いつつ口のなかで呟く。

もちろん当然のごとく、コナンの蚊の羽音のごとき小声を見事な聴力で拾いあげた快斗はパイナップル作成用のゴムを必死に外そうとしていた辰巳の手の拘束をパッと離して「え?うそ」と視線を外に流した。

「ありゃホントだ〜。じゃもしかしてその隣にいるのって目暮警部?」
「みてーだな」

思案顔で頷くコナンに
「って事はやっぱ何か起こってるんだぁ」
「何を今更。そんなことより俺はこの段階でよく警察に連絡したと司会者のハゲを誉めてやりたいぞ」
「誉めるならハゲはやめてあげようよ」
「名前忘れたんだから仕方ねーだろ」

記憶力の良い彼が忘れるわけがない。
最初から聞いてなかったか覚える気がサラサラなかったのだろうと快斗は解釈していた。
真実はきっとそこらへんに近いところにあるに違いない。

「だめでしょー忘れちゃ。あの人は世界の時田さんでしょー」
ムダに記憶力の良い快斗が親切にもそう進言すればフンと鼻をならした。余計なお世話と言いたいのだろうか。

「ハゲで十分だ」
ああ。なんだかそのきつい物言いがあなたらしくてす・て・き。

「そこのアホ。アホな事考えてんじゃねーよ」
きゃっ怒られちゃった〜
なぜか嬉しそうにクルリと一回転する快斗に呆れた顔でため息を盛大についてやろうとしたが、めんどくさいのでやめた。


「刑事さんお忙しいところありがとうございます」
ピカピカ光る頭。
キンキラキンのタキシード。
黒いグラサン。

どれを取っても怪しかった。
隣にいる青年がまともそうな容姿でなければ目暮と高木は回れ右をしたかもしれない。


「さきほどお電話下さった時田さんですかな」
「ええ。わたくしが時田です。」
にっこりと、残念ながら凄い格好のほうが答えた。
「こっちは藤堂。わたしの友人です。」
藤堂と呼ばれた青年は思い切り顔をしかめたが文句を言うでもなく大人しく頭を下げた。口にするのもめんどくさかったのかもしれない。←言うだけ無駄だし
ちょっとその気持ちが分かった目暮と高木はあいまいな微笑みで頭をさげ返しておいた。



「建物内で何かか起きているとのお話でしたが・・・」
あの建物には誰かいるのですかな?

「えーっと二人一組が20組。計40名ですねー」
「ふむ。ゲームの最中ということでしたが一体どんなゲームで?」
「『学校対抗チョーウルトラスーパーバトルロワイヤル』です」
「は?」

思わず聞き返した目暮。隣で大人しく拝聴しながらメモを取っていた高木も同じように目をキョトンとさせていた。
だが目の前の男は真面目な顔でもう一度繰り返した。

「『学校対抗チョーウルトラスーパーバトルロワイヤル』です」

「は・・はあ。えーっと・・学校対抗の・・ゲームなんです・ね」
アホみたいなその後の題目は無視することにしたのだろうか、目暮はそこへとポイントを絞る。
「そうです。なので40名全員が各高校から選出された生徒たちです。

「時田。一名違う。」
「ああ。そうでしたそうでした。高校生に混じって一名だけ小学生がいます。」
「それって・・・どういうことですか?」
高木がもっともな疑問を問いかければ

「学校から選出されたのは40名中20名です。残りの20名は選出された選手が選んだ相棒ということです。高校生以下なら誰でも選べます。」
「はぁ・・。そこで小学生を連れてきた選手がいたと・・そういうことですね」
納得したようなしないような高木に時田はコックリ頷く。

「小学生といえども、ここまで勝ち抜いてきたのですからかなりの実力を期待できます。」
時田にとって本大会一押しの選手らしい。
なにやら自慢気に語っている。

「えー。では名簿を貸していただけますかな。」
「こちらに。赤線で消してあるのは前回の試合までに敗退したものですので消されていない者をご覧ください」
目暮に分厚い紙束を手渡す藤堂。
その恐るべき紙の量に目暮は少々気後れしていた。

「こ・・・これだけの人数が当初はいた・・と?」
「ええ。知力、体力、時の運。全てをかね添え、試練を潜り抜けてきたツワモノ達が今、この建物の中に集っています。」

このアホみたいな大会に参加した選手達のアホみたいな人数に呆れ返りながらも、赤線を避けて手元の手帳に40人分の名前を書き出していた高木はふ、と一点で手を止めた。

「め・・・・・・目暮警部っっっっ」
「なんだね高木君。大きな声をだして」
「こ・・これっここのっこの名前っ」
「どれ?」
高木の指差す箇所に視線を落とし、それから目暮も一瞬思考を停止させた。
おやこれは珍しい。
聞いたことのある名前だぞ。

と一瞬思い。
次の瞬間その名前の持ち主を思い出した目暮は素っ頓狂な声を上げた。


「は?」

驚愕している目暮を見て、自分の見間違いではないことを確認した高木は何度もその名前をなぞる。

「あのー・・・し・・少々お伺いしたいことが・・この名前って・・・もしかしてもしかして・・・」
「唯一の小学生という・・・その一人・・・ですかな?」
高木の後を目暮が続ける。

「江戸川コナン君。ええそうです。彼がさっき言っていた小学生ですよ」

もしやご存じで? 
今度は時田たちが驚く番である  

「ええ。まさか彼が帰ってきていたとは・・・」
そこでハッとした 
「ならば連絡の手段があるっっ高木君っ阿笠博士かあの子供達の誰かに連絡をっ」
「あ、はい」
何がしたいのか分かったのだろう手帳をめくりだす    
「阿笠博士は連絡とれませんが子供達なら」

ちょうど歩美の家に集まっているらしい 
「だれか近場のものを迎えにやれ」
「いえ、なんかちょうど運転手がいるのですぐにこちらに来ると・・・」
「場所がわかるのか?」
「ええどうやら」
「なら任せよう。その間に我々は作戦を考えるか」
「それなら中と連絡とれてからのほうがいいんじゃないですか?コナン君もいるし白馬君もいるようですし」
「・・・」

悲しいことに高木の情けない言葉にそのとおりだと目暮は納得してしまった。        



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さて少し進展ですか?白っちー青子ちゃーん次は出てきてねぇぇ。
君らが出ないおかげで昔に書いておいたお話は変更さぁぁ。
白っちの突っ込みが気に入ってたのに使えなくなってしまったさ(涙)
ちぇっ。って事で色々変更しながら先に進んでます。
でも高木さんと目暮警部と司会者二人組がかけたから満足さ♪
04.9.13