学校対抗
チョーーウルトラスーパー
バトルロワイヤル16
外の空気は一般人ですら感じとれるくらいザワザワしてきた。
多分刑事が集まってきているのだろう。
コナンと快斗は予測する。
「なんか騒がしくねーか外?」
辰巳がつぶやく
「そうだな。なにか騒めいた気配がする」
「なにかあったのかなぁ」
乾の同意に辰巳がそう呟けば
「っつーか何があってもおかしないで〜こんだけトラブルメーカーが集まっとればなぁ」
服部が苦笑とともに口を挟んだ。
「トラブルメーカーって服部先輩がですか?」
「あ?いやいや、俺なんてカワイーもんや。そいつらに比べれば、な」
あごで最後尾の二人を示す服部に三好は目を丸くした。
「黒羽先輩とコナン君・・?」
「ああそうや。面白いくらいにトラブルに巻き込まれとるで。爆発事故に殺人事件、ほんで今回、この数ヶ月で事件に何個出会ったんやろなぁ」
「・・・・は、はぁ」
冗談だろうか?そう思いながらも律儀に相槌をうつ三好。
「ふ、記憶喪失事件と失踪事件も追加しといて。」
「開きなおっとるな黒羽」
「ちょっとねー。最近事件多すぎると思わない〜?」
「いやお前らだけやそんなん」
呆れたように快斗に突っ込みをいれた服部にコナンは
(ふ・・そうだよな・・)
と遠い目をした。
「っと」
突然
ジリジリと小さな電波音が響いた。
まさか、と思った。
使わないだろうと思いつつ、でも日本にいるのだから、と念のため入れておいた電源。
爆破にも負けず、海水にも負けず、更には落下や銃撃等の様々な困難の際にも無くならなかった、コナンと苦難を共にしてきたソレ。
コナンのポケットから出てきたのは小さな小さな少年探偵団専用のトランシーバーだった。
「それ?」
「みたい。はい?こちらコナン」
『おーマジででたぞ』
元太?
『わ〜ほんもの〜?』
歩美・・・
『帰ってきてたなら一言欲しかったですよコナンくん』
光彦
「何でおまえら」
『貴方たちのトラブルに巻き込まれたのよ』
その声に
「「げ」」
と二人が声をあげる
「は・・灰原・・・」
「哀ちゃんーー」
「・・・ちっこいねぇちゃんか・・」
『貴方たち一体なにをしているのかしら?』
静かな静かな怒りを秘めたお言葉に二人が青ざめる
後ろで服部も青ざめていた。
「い、いやこれは快斗がっっ」
「あっ俺だけにおしつける気ねコナンちゃんっ」
「ってかお前のせいだし」
「ばかぁぁぁぁぁ俺たちは一心同体っ運命協同体でしょっ怒られるときもいっしょっ喜びも悲しみも分かち合おうって誓い合ったじゃないのっ」
「・・・・・夢と現実をごった煮にすんな」
「えええーーウソっあれ夢?いやあんなにリアルな夢なんて・・・」
「夢は願望を表すとかいいますしね」
「っつーかあの場合妄想に近いで・・」
背後でさりげく三好と服部がひそひそとそんな息の合った突っ込みをかます。
「とにかく怒るなら快斗にっっっ」
「ああっずるいコナンちゃんっっ」
『じゃれあうのは後にして話を聞きなさいっっっっ』
慌てて口をつぐむ二人
同じ動作をするからまるでロボットのよう
「よーちっこいねーちゃん久しぶりやな。そんで?一体なにが起こっとるんや?」
固まってしまった二人のために話をすすめる服部
『・・・貴方までいたのね西の探偵さん。』
だがしかし、そんな親切な服部への返事は、深い深い疲れたようなため息だった。
一方そのころ白馬・青子組は暢気に未だゲームをしていた。
「見てみて白馬君っ。これってもしかして宝かな」
「怪しいですね。今までのヒントである、白い・小さい・手作りの三つの条件には当てはまりますが・・・・・僕としてはこれを宝と認めるのはやぶさかではありません」
「青子だってそうだよー。こんなのゴミ箱にテイってしちゃいたいくらいだもん」
朗らかに"宝"らしき物体に対して実に失礼な感想を述べた二人は一応それをカバンに詰め込み、外へと向かうことにした。
「あー疲れた。そういえばコナン君大丈夫かなぁ」
女性であるということで一応手加減をされている事に気づいていた青子は、まだ小さな子供であるコナンに誰も手加減していないのを知って心配していた。
「まだ小学一年生なんだよ。皆ひどいよね」
「いえ、コナン君に限っては年齢はあまり関係ないものかと・・。それに黒羽君がいますし」
大丈夫ですよ。とニッコリ請け負えば青子はそうかなぁと首をかしげた。
「ええ。何ていったってコナン君ですから」
眩いばかりのその笑顔を見つめているうちに青子はずっと心に引っかかっていた事を思い出してしまった。
「・・・・・」
「どうしました中森さん?」
突然に暗い表情で沈黙した青子に白馬は慌てた。
何か気に障ることを言っただろうか?
自分の言葉を思い返してみるが、思い当たらない。
「なか・・」
声をかけようとした瞬間
「こなん君がそうなのかなぁ」
ポツリと。聞き逃しそうなくらいにポツリとこぼされた一言に思わず青子の顔を見つめてしまう。
「そうって?」
独り言のつもりだったのだろうそう聞き返せば不思議そうに首を傾げられた。
「今、こなん君がそうなのかと言いました・・・よね」
ちょっと自信が無くなってきた。空耳と言われたらそうだったのかもと思ってしまうくら
いに。
だがあっさり青子は空耳説を否定してくれた。
「あ、うん。言ったよ。あのね、ん〜」
なんて言おうか考えているらしい。
「前にね。快斗のお母さんが言ってたの。快斗は本当の自分を人にみせないけど、でもね・・・たった一人。
その人にだけは全部見せるんだって。ねぇ白馬君。」
いつもよりグッと真剣な声音にハッとする。
その顔は何故か悲しそうで。
「快斗ってね、何にも言わないの。でもね青子に何でも言ってほしかった。それってわがままかなぁ?」
「いいえ。そんなことありませんよ」
「ありがとー。でも快斗がなんでも言えるのは青子じゃないの。青子の知らない人なんだって言ってた」
「それがこなん君だと思うのですか?」
「うん。変かな」
あんな小さな子供が快斗のことをわかってあげられて、快斗が愚痴をこぼせて。いろんな憤りとか情けない姿とか見せられるなんて。
おかしい考え?
「でも快斗がコナン君と一緒にいるの見ててね、何でかなぁ・・・ああよかったって思うの」
やっぱり変だね。
笑みを作る青子にゆっくりと見逃さないように首をふった
「いいえ。僕も」
思いましたから。
何故だろう二人の姿にホッとする。あんなにちぐはぐな二人なのに、快斗が誰といるよりも安らいだ顔をしているからだろうか?
「そっか。一緒だね」
「ええ。一緒ですね」
二人で思わず微笑みあった。
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