学校対抗
チョーーウルトラスーパー
バトルロワイヤル18
「早くっ早くっ」
せかす背後に先頭を走っていたコナンと快斗はため息をつきたくなってくる。
「だから出口にむかってんだろ。一本でも曲がるとこを間違えたら時間的にロスなんだからな。そんなに早く行きたきゃ黒羽先輩追い抜いて先いけばいーだろっできるもんならなーーっ」
急かす声に向かって怒鳴るようにそう言ったのは辰巳だ。
大切な黒羽先輩にブーイングを飛ばすとはなんて奴だとばかりに噛み付く。
「まったくだな。こんな複雑な建物の最短距離を覚えているのなんて黒羽先輩くらいだ」
あーいや、コナンも服部も覚えてますけどーなんて口を挟んだら睨まれそうな雰囲気の辰巳と乾にハハ・・と疲れた笑いが漏れ出てしまう他の一行。
そんな背後の声を背に先頭をひた走るコナン、快斗組は彼らの和やか(?)な会話に参加している余裕はなかった。
「・・・何か聞こえなかったか?」
「聞こえたかも」
空耳と疑うほどの声が。
「あーこのまま無事外にでれるとは思っちゃいねーけど・・・」
「ムリっぽいよねぇ・・・」
ボソボソと先頭二人は不吉な言葉を口にする。
「悲鳴・・・」
「っぽかったけど」
「まさか中森さんか?」
「げ、ありうる」
「こっちだな」
キュッと二人は迷いなく左に曲がった。
後から聞こえる
「おぉーい出口はこっちやでー」
関西風味の親切な忠告はキッパリ無視させて頂いた。
果たして彼らの懸念はずばりと的中してしまった。
青子と白馬が数人の少年、青年に取り囲まれているのを発見してしまった二人は思わず顔を見合わせてしまった。
あのメンバーがこのふざけたゲームの参加者で無いことをコナンも、快斗ももちろん分かっている。
さすがに参加者全員はムリでも、最終ゲームに残ったメンバーの顔ぐらい二人は余裕で覚えられるのだ。
いや、そうでなくても気がついたかもしれない。
このヘンなゲームに参加するだけあり参加者の瞳は自信(←なんの自信だろうか?)が漲っている。
対する彼らは一様によどんだ瞳の色。
全く違う。
きっぱり違う。
ちなみにコナンも快斗も、ふざけていようがバカらしかろうが前者の人間の方が好きだ。
まぁそんなこんなで二人はとりあえず物陰に隠れ対策を練ることにした。
・・・とは言え、考えるのはもっぱらコナンの役目であるが。
「…で、一体あれはどーゆー状況だ?」
「さ、さあ?」
一緒にここまで来た俺に振らないでちょうだいよ。
そんな気持ちで首を傾ければ相棒はおもむろに鞄を背から下ろし中からもろもろの危険な物を取り出した。
「まぁ見るからにあいつらは敵。中森さんと白馬を救出するのは必然ってことは確かだな。」
うむ、と決め付けながら
閃光弾に催涙弾、縄に麻酔針
ブツブツ口の中で呟きながら足もとに怪しいものを散乱させてゆく。
「…」
え〜っとアホコ達早く助けに行かなくていいの?
なんてバカな事を口にする気はないが、それでも囲まれている青子と白馬にチラチラ視線を向ければいやでもコナンの目につく事だろう。
「まだ大丈夫だから焦んな」
何をどうしたら『まだ大丈夫』なのか解らないが落ち着いた声音はひどく快斗を安心させる。
「先に閃光弾。その隙に中森さんを助けるから後は任せた」
ヤローは自力でどうにかしろって事だろう
相変わらずのレディファースト。蘭ちゃん上手に育てたね。なんて遠い目で呟きたくな
る。
「やばそうだったら催涙弾投げるから安心しろよ」
ハハ、乱戦中に投げるに決まってるよ。俺はともかく白馬は避難させとかないとな。巻
き込まれてもシレッと「そこにいたお前が悪い」とか言いそうだしぃぃ。
「じゃあ行くぞっ」
「はぁぁい」
頼もしいボスの掛け声に突撃隊長(隊員一名(笑))は間延びした返事を返した。
コトリとなにか軽いものが落ちる音がした。
かと思えば次の瞬間太陽を虫眼鏡で見たような、そんな眩しさを目に感じた。
あまりの眩しさに目が痛い。
青子はとっさに両手で目を覆いながら
「ま、、、ぶしぃぃぃぃぃぃ」
勢いよく叫んだ。
なんと言うか余裕な態度である。
白馬など声も出ない様子だというのに。
ちょっと申し訳なかったかなぁと思いつつコナンは目を押さえて蹲る軍団をすり抜け青子に近づいた
「青子姉ちゃん」
「え?その声はコナン君?」
「うん。目はそのままでいいから立てる?」
「う、うん」
とても開けれそうにない目を閉じたまま、コナンの手に手をとられ、よいしょと立ち上がる。
そのままゆっくりとコナンに手を引かれ青子は歩いた。
一体なにが起こっているのだろうか?
っていうかコナン君は目、大丈夫なの?
あ、それにコナン君がいるって事は快斗もいる?
それに気がつき声がしないかと耳をすましてみれば
「うっ」
だとか
「ぐえっ」
等のうめき声が聞こえた。
「快斗?」
がやっているのだろうか。
「そうだよ」
返信はないだろうと思いつつ呟いた言葉には手を引いてくれる小さな子供が答えてくれた。
「ジャマにならないように僕たちは離れてなきゃね」
ああ、だから青子は移動されてるんだぁ。
納得である。
では・・
「白馬くんは?」
「探兄ちゃんは男の子なんだから自分で身を守るのが当然でしょ?」
不思議そうな返答。
・・・・そういうものなのだろうか?
疑問を感じてしまうがコナン君が本気で言っているのは間違いないようだ。
首を傾げながらコナンの手に引かれるままにペタリとその場に座り込んだ。
それから数分してようやく目が開けれるようになった時にはもうすでに全てが終わっていた。
「任務完了です隊長!!」
嬉しそうに敬礼する快斗にウムご苦労と芝居がかった仕草でコナンは頷くと、
「思ったより早かったな」
縄で縛られた8人の(コナン曰く)敵に目をやった。
「うん。なんだか皆目つぶしにやられてたもん。せっかく用意してた催涙弾ぜんぜん必要なかったねー」
「ま、しょせん素人ってことか」
「だねー弱い弱い」
おちゃらけた声音の快斗に、苦笑する気配がコナンから感じる。
青子は自分の耳を疑ってしまう。
8人である。
自分も白馬も囲まれた時は絶体絶命だぁっと怯えた人数だというのに、ほんの数分で片をつけてしまったうえにこの二人は『しょせん素人』だとか『弱い』と称すのである。
いったいどんな『玄人』だとか『強い』人間と出会ってきたのだろうか?
「まぁ銃もってなかったし楽だったよね」
「それが一番の懸念だったからな」
じ・・銃ぅぅ!!?
は?と思わずコナンと快斗の顔を見た青子と同じくその言葉に激しく反応したものがいた。
「銃って一体どういうことです!?」
なぜか縄で縛られた男ドモの近くでうつぶせに倒れていた白馬がガバリッと勢いよく跳ね起きた。
「あ、うざいからついでに眠らせといたのに。」
「おい」
快斗の小さな呟きを拾ったコナンは即座に突っ込む。
仲間に手刀を頂いた白馬はきっと敵にやられたと思っているのだろう。
「助けていただいたみたいで、ありがとうございます。まったく役に立てなくて己が情けないです」
だとか愁傷に頭をさげながら自分の非力を悔やんでいる。
いや、お前倒したの快斗だから。
なんてめんどくさい事を言えるはずもなくコナンはただあいまいに微笑んだ。
「青子ねえちゃんも探兄ちゃんも無事でよかった」
「そーそー叫び声が聞こえたときは空耳かと思ったけどな」
「ああ、中森さんの声が届いたんですね。」
「そうだったんだー青子のお手柄だね」
「ええ。中森さんのおかげで助かりましたよ。」
「えへへ」
ほのぼのと会話を交わしていた青子と白馬はそれから同時にコナンと快斗を振り返り
「それで、銃というのは?」
「で、銃っていったいどういうこと?」
ほぼ同じような質問を口にした。
二人の問いかけに、めんどくさいながらもコナンと快斗は哀から得た情報をもう一度説明し直すのだった。
小説部屋 次へ
|