学校対抗
     チョーーウルトラスーパー
                バトルロワイヤル20




「・・という訳で僕たちは黒羽君とコナン君に助けてもらったんです」
「すっっっごい怖かったんだよー」

そんな白馬と青子の説明に辰巳も乾も改めて黒羽先輩の素晴らしさに目覚めたらしく、快斗を見る目が一段と輝かしい。
辰巳なんぞ快斗の腰にしがみつき

「ごめんなさい黒羽先輩っ俺ちょっぴり黒羽先輩ったら道忘れちゃったからいたたまれなくて俺ら置いて突っ走っていったのかも・・なんて疑っちゃいましたっ。中森先輩を助けるために死を覚悟して走っていったなんてっっっさすが黒羽先輩ですっっ」
「実は失礼ながら俺も同じことを・・。すみません。黒羽先輩ならもし忘れたとしてもケロリとした顔で『ごっめーん。忘れちゃった』ですませますよね」
ああ、ああ、申し訳ありません・・・。

二人は必死に謝り倒す。

・・・というかお前ら失礼じゃないか?


「なんっつーか・・・・お前の後輩マジ素晴らしいな」←決して褒めてはいない
「怒るべき?俺はこいつらを怒るべきなの?(涙)」



そんなこんなで和気あいあい(←そんな場合じゃないだろうに)としている一部の人間以外は恐る恐る捕らえられた少年たちをつついてみたり、他に敵(?)が出ないか緊張してみたり・・・・・・・。
どちらかというと和気あいあい組の服部は、

「くどーが・・くどーーが素直に謝りおった・・・」
先ほどのコナンの発言に未だ呆然としていた(笑)
「服部先輩・・それはコナン君に失礼ですよ」

三好の言葉は確かに正しい。
だがしかし、服部の反応も正しかったりする。
江戸川コナンという人物をよく知っている者にしか解らない衝撃なのである。


「はーーいっちなみに言えば快斗君はコナンちゃんに素直に謝罪された記憶は数える程しかありませぇぇん」
そんな服部と三好になぜか自慢げに手をあげ悲しい事実を申告する快斗
「当然だ」
そんでももって何故か胸を張って言い切るコナン。

「な?」

服部はそんな相変わらずの二人を見て、それから三好へと視線を移した。
三好が困った顔で視線を宙へとさまよわせたのは何かフォローを考えているのだろう。
なんていい人なのだろうか。
だがやはりフォローなんぞ出るはずもなくあいまいに笑って流そうかと考えはじめたその時・・・。

そんな三好を助けるかのごとく(←やはり日ごろの行いの成果か)、素晴らしきタイミングで小さな雑音が響いた。


『コナンくんっコナンくん聞こえる?』

誰かの声らしき音にすばやくトランシーバーを取り出す。
そろそろだろうと思っていた為、コナンのその行動に迷いはなかった。

ある意味青子たちも救出したし、捕らえられていないメンバーが勢ぞろいしたと思われる今は絶妙に良いタイミングと言えるだろう。

「もしもし?」
『コナンくん・・だね?僕だよ高木』
「え?高木さん?」
目を丸くするコナン。
もちろん演技である。
あまりに何気なさすぎて、快斗すら本当にコナンが驚いているように見えるほどの見事な演技に当然ながら高木が気づくわけがない。

『うん。驚かせてごめんね。君のお友達にトランシーバーを借りたんだ』
「そうなんだ。どうしたの?」
とてもとぼているように聞こえない声音に快斗は苦笑してしまう。
『今コナンくんって変な大会に参加してるよね?』
うっわあこの人言い切ったよ。
誰もが思っていながら、むなしくなるから口にしなかった禁句を・・。


「・・・うん。」
あまり返事したくなかったがその『変な大会』に参加しているのは悲しいことに事実だったのでうなづく。

『今ちょうど僕と目暮警部が君たちがいる建物の前まで来てるんだけど・・・』
「何か事件が起こったの?」

何度も言うがコナンちゃんの見事なとぼけっぷりに拍手をしてやってくださいっ。
快斗は思う。
実に不思議そうに、顔はふてぶてしいまんま可愛い子ぶりっこ。
何にも知らないお子様を演じるのにおいて彼の右に出るものはいまいっっ。←そこまで言うか

『言いにくいんだけどね・・。えーっとそこに白馬君もいるかな?変わってもらえる?』
コナンに言うよりは衝撃は少ないと踏んだのだろう高木は、コナンを甘く見ているように思えるが、実はそうではない。

ただのコナンびいきなだけである。←それもどうかと

コナンにショックを与える役目を自分がやりたくないために白馬というワンクッションを置くという彼にしては卑劣な手段に出た高木。
だがしかし、普通ならこれが一般的行動であろう。
たかだか小学一年生に事件のあらましを説明し、現在の状況を尋ねるのは刑事として、大人としていや・・人間として間違っている。

まぁ相手が小学生として間違っているコナンだからその一般常識は当てはまらないだろうが。

「解った。探お兄ちゃん。高木刑事から」
「え?高木刑事?」

誰だそれ?
と首を傾げながら小さなトランシーバーを受け取った白馬は事態のあらましを簡潔に述べられどんどん蒼白になっていった。

「ご・・強盗グループですか?」
最近世間を騒がしているアノ?
何人か殺害されているアノ?
ここに潜伏ですって?

口々に耳に入ってきた言葉をそのまま口に出す白馬に全く悪気はないのだろう。
先ほど哀からの連絡ですでに聞いていた白馬と青子以外のメンバーはなにを今更と言った顔をしたが、青子は白馬同様現在の状況に頭が真っ白になりそうだった。

「それって最近毎日ニュースでやってるやつ?」
「うんそれ」
「なんで快斗そんなに暢気なのっっ」
「んーだってコナンちゃんいるしー」

問題ないない。

にっこりと。

誇らしげに根拠のまったくわからない自信を口にした。

「ぜんぜん訳わかんないっ」
「先輩なんでこんなガキのことそこまで心酔してるんっすか?」
「まったく激しく疑問です」
青子の叫びに便乗するように今まで溜まっていた鬱屈を吐き出す辰巳と乾。

「えーだってコナンちゃんよ?めっっちゃ頭切れるし、めっちゃ的確な判断できるし、めっっっっっちゃ運良いしーーなにが問題よ?」

そうですね、しいて言えばあんたの頭かな?

なんて言葉が三人の頭の中を3回転ぐらいしたのを、傍で聞いてしまった服部は三人の顔から読み取ってしまった。


「黒羽。くどーは一見ただの小学1年生や。頭切れるいわれたかて、実際体験してみんとよー理解でけへんて。」
実際一度でも体験してしまえば快斗の言葉はツーカーで伝わる。

・・ので、服部も白馬も快斗の

『コナンがいるから問題なし』

発言には内心同意だったりするわけだ。



さて、一方忘れ去られていた白馬のほう。
「はい・・はい・・解りました。出来る限りのことは・・・はい・・」
よくわからないが多分人質の救出を頼まれているのだろう。

白馬のことだ、「僕に出来ることなら」精神でここにいる他のメンバーの迷惑は顧みず勝手に面倒ごとを引き受けていても驚きはしないぜ。

と快斗は思う。
白馬の脳内ではきっとコナンと快斗が戦力としてすでに入っているだろう。
そんでもって服部のことは未だ気づいていまい。
意外とうかつな奴な上によもや大阪にいるはずの服部平次がここにいることを思いつきもしないのだ。←コナンですら驚いたのだし

「はい。コナン君も黒羽君もいますし大丈夫です」
うわーすっげ。
勝手にそんなこと言われちゃったしぃ。
信頼されるのはいいけど巻き込まれるのはちょっとなぁ。

どちらにしても、このままにはしておけないだろうコナンの気性からして、巻き込まれるのは必至なのだが、どうせならコナンのせいで巻き込まれたかったなぁと思う快斗はコナン崇拝者として正しい思考かもしれない。←人間としてはやばいが


勝手にぷつりと通話をきった白馬は神妙な面持ちで現在の状況を語りだした。

「と、言うわけで人質にされた方々をどうにかしなければなりません」

あーそうですかー。
普通はここは危ないからどうにか逃げろとか我々が行くまで隠れてろとか、そういう言葉をいうのが警察のお仕事じゃないんですかねぇ?
そんでもって探偵なんだから自分以外の人間を危険にさらすようなことを気軽に引き受けちゃうのはどうかと思うんですけど?

「探お兄ちゃん。それでもし僕たちまで捕まっちゃったら人質が増えて高木さんたち大変じゃない?」
「あ、そういえばそうですね」
白馬も高木もそんな簡単な事に思い至らなかったのだろうか?
それとも本当にコナンや快斗なら何とかできるととんでもないくらいに信頼しているのか?
「でもコナン君と黒羽君がいますし、大丈夫ですよ」


さっき高木に言ったのと同じ言葉をまぶしいくらいに爽やかな笑顔とともに言い切った白馬はきっと本気でそう思っているのだろう。



・・・・・・・なんだかなぁ・・・・


コナンと快斗は顔を見合わせ、そっと疲れた笑みを浮かべあった。






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毎度謝ってる気がしますが、すみません。
相変わらず遅いです更新。
さて、進んでるんだか進んでないんだか解りませんがようやく皆そろいました。
お帰り白馬くん。あなたのその天然っぷりが縁真は大好きです(笑)


05.3.9