学校対抗
チョーーウルトラスーパー
バトルロワイヤル25
そこまで聞き終えて、なんとなく呆然としてしまった快斗。
ちょっと目が空ろになってしまったのは仕方ないことだろう・・。
「まぁそんな訳で作成者は誰か。謎のままだよ」
僕が知りたいくらいだ。
「はぁ・・・」
相槌くらいしかでてこないってなもんだ。
「しかもそいつは、この答えだけは出さずに居なくなってしまうしね。そんなこんなで探偵と呼ばれる君達とゲームをしようと思いついたわけ。」
そうでなければ適当に人質つれて退散か、下手をするととっくに人死を出していただろう。
「彼らは何をするかわからないからねぇ」
拳銃という武器を手にし、強くなった気分の若者達は撃ちたくてうずうずしている。
ゲームだから無傷で捕らえたのだ。
そう淡々と語られて、「あれ?」と快斗は思った。
コナンちゃんがど真ん中に関わっておいてマイナスに動いていないぞ(←失礼)
むしろコナンちゃんのおかげでやっかいな展開が回避された?
いや・・いや・・どうだろう。この男がこんなアホな人材集めてくだらない強盗とか始めたのがこの暗号のせいだったらやっぱり原因はコナンであるし・・・・。
「あー・・あのぉちょっと伺いたいのですが、この暗号によるフラストレーションのせいで強盗とか始めちゃいました?」
何を聞いているか?ってな感じだが快斗にとっては実に重要な質問だ。
なにせそれを聞いてむかっ腹を立てるのは原因の少年であり、更にその被害にあうのは自分・・・・・。間違いないっ自分が害を受けるのだ!!←いつものことじゃん(笑)
「なにを聞きたいのか良くわからないが関係ないよ。単に暇だっただけだ」
わーよかったー強盗の原因がそんなくだらないことで〜。
なんてホッとしたのは快斗のみ。
白馬や服部は顔をしかめているし、青子や後輩、それに他の面々は青ざめる。
暇つぶしに強盗を繰り返しあっさり人を殺害できるものなのか・・・。
目の前の男の異常さをようやく本当に分かった気がしてきた。
「さぁ。解いて貰おうかな」
ニッコリ笑って簡単に言ってくれる。
「あんなぁ。言わせてもらうけどな、探偵言うたかて万能っちゅーわけやないんやで」
出来て当然と思われるのは心外だと服部が憤慨したような声を出す。←ちょっぴり情けない
隣で白馬も同意を示していた。
「でもねぇ作ったのもその万能でないはずの探偵なんだよ。同じ職業名乗ってるんだから出来ないと恥ずかしくない?」
思わずグッとつまってしまう服部、白馬両探偵。
実にもっともで、且つ説得力に溢れるお言葉であった。
話に出てきた探偵は有名で無いという。
自分達はすでに新聞に載っちゃう級。
そりゃ高校生というのがメディアを騒がせる一因であることも事実だが、それでも人様に探偵と呼ばれても恥ずかしくないよう心がけているつもりである。
推理だって、人としての生き方だって。
つけられた肩書きに、人様の期待に、つぶされないよう、頑張っている。
それでも・・・解けないものは解けないのだ。
無駄な見栄は張らないほうがよいと彼らは知っていた。
「まぁまぁ。探偵って言ってもピンからキリまであるんだし〜。」
フォローのように見せ掛けて、まずたいていフォローではないだろう言葉を発したのはもちろん我等が怪盗紳士!
「そっちの2人はまだまだ発展途上中だから、そのすでに完成された探偵と横に並べちゃ失礼でしょ」
お前の発言のが失礼だっと思ったのはこの場にいる発展途上中の探偵たち。
「本当の探偵ってのはさ。」
嬉しそうな顔で1人の小さな少年を思い浮かべる。
快斗が認めたただ1人の探偵。
「すっっっっっっっっっっっっっっごいんだよーーーーーー!」
おもいっっきり力を込めて言い切る。いささか違う感情が篭もっているような気もするが(笑)
「黒羽・・・顔緩みきっとるで」
「彼が凄いのは認めますがそんな顔で言うと嘘くさいですよ黒羽君」
「あ、やばっ。だってさー思い出したらもーー止まんなくって。かっこよくてカワイーーの!!」
「「はいはい」」
そこまで来てなんとなく青子にも分かってきた。
あの快斗があそこまで激しい感情を表すのはただ1人の為だけなのだ。
(・・・コナン君・・・かな)
白馬までもが認める探偵。あの小さな子供が?
納得はしかねるが、でも彼しか思いつかない。
「本当の探偵というものを知っている口調だね」
青年の指摘に、
「ふふんっ。知ってるも何も、俺とあいつはラ―――――」
「「ーーーー!!」」
ラブラブだもーーん♪
などととんでもない事を口にしようとしたのを素晴らしい探偵の能力(?)で察知してしまった2人は慌てて快斗の口を封じ込めた。
せめてラの続きが「ライバル」であってくれれば2人はとめなかっただろう。
空気が、雰囲気が、快斗の顔が、絶対に「ラブラブ」と言う言葉を発するとそう告げていた。
「今それ言うたら後でえんらい目にあうでっっっ」
「そうですよ。何が起こっても知りませんよ黒羽くん」
なぜ快斗のためにここまで2人が頑張るかと言えば怒り狂ったコナンの余波を恐れてのことだ(笑)
「もー2人ともそんなに怯えること無いのに。慣れたらあの地獄の圧力も心地よいのよー♪・・・ってうっふっふーー来た来た♪」
快斗の怪しい発言と同時に携帯の着メロが軽快鳴り響いた。
「黒羽君・・・。地獄の圧力に慣れるのは・・・僕は人間として嫌です」
「最もやな。っちゅうかそんだけあの坊主怒らしとんのか」
「まぁ慣れるのは俺だけで充分だけどねー♪だってさー怒った顔もカワイーんだもん。」
「「・・・・」」
まぁ幸せそうだからいいけどさ・・・
みたいな2人の生暖かい微笑みをうけつつ、ズボンのポケットから携帯を取り出した快斗はジャジャーーンと印籠よろしく突き出した。
「でてもいーい?」
この場を支配する青年に軽く尋ねる。
一応。本当に一応効いてみたのだろう。
青年が肯定を示すよりコンマ1秒ほど早く通話ボタンを押したのだから。
『やっほぉー。怪我してない?変なことされてない?首尾はどー?』
ヘラヘラと止まらない情けないほどだらけ切った笑顔が瞬時にコナンの脳裏に浮かび上がった。
「任務終了。今全員外へ逃がした。一応外への道順書いてやったから迷わないとは思うけど。そっちはどーだ?」
『んーとこっちは無事ついたー。今対面中〜。んでね、なんかクイズ出されてるの。わっかんなーい』
その言葉にちょっと驚く。
「お前が?てかよ、人質はもーいねぇんだからそいつ捕まえて退散でいいだろ?」
んなめんどくせぇ事しなくてもいいじゃねぇか。そう言えば快斗は背後に問いかけたようだ
『って言ってるけど?』
『このゲームに勝ってこそ真に事件を解決したというものですっ』
『ぼうずが来て最後のボス戦やっっ』
そんな声が聞こえてくる。
ハハ・・・おめーら自力で何とかしてからそれ言えよ。
『…だそーです』
「そいつらに他力本願って言葉の意味を教えてやれ」
『はは…。まぁなんか楽しいエピソードも聞けたしコケにされた発展途上中の探偵達の為に足を運んでくれませんですカ?』
ヘラっと笑いながら相変わらず無礼爆発発言。
背後でワーワー文句を言う声を聞き取りコナンは盛大な溜息を付いた。
「…しかたねぇな」
チラリと眼鏡で快斗の現在位置をチェックし、通風孔からなら意外と近い事に気付いた。
「すぐ行く」
返答を待たずに通話を切る。
「あーそういやあそこが通り道だな…」
今更な気がするが、と呟きつつも寄り道決定のコナンだった。
簡潔に会話を終えるとこちらからの返答をまたずに通話を切ってしまう。
うーん。つれないあなたがス・テ・キ♪
「早く来てね〜」
携帯を掲げ持ちクルクル回りだす気持ち悪い先輩の姿にだいぶ引きつつ
「なぁ…あのガキは先輩のなんだ?」
「…さあな」
辰巳の基礎的な疑問。
よくよく考えてみれば不思議なコンビである。
小学生、と言うことに意識を奪われ全く気にしていなかったが。
「てっきりさ従兄弟だと思ってたんだよな〜」
快斗が1人っ子なのは当然知っていたから。顔立ちが似ていたし、そういう縁ある関わりでもなければ小学生と仲良くなったりしないだろう。
「だがそれにしては…」
「うん。黒羽先輩の依存度が高すぎるよな」
乾の否定に辰巳は真剣に頷いた。
「少なくとも大切にしているのは別に良い。
「うん」
「ただ、対等に扱っているのが気に食わないだけで」
「そこだよな。」
「いくら大切でも所詮子供。」
「そうっ所詮ガキじゃん!」
「俺たちの足元にも及ばない」
「そうだっ」
クルクル素敵に回転する快斗を眺めながら後輩達はヒートアップしていく。
打倒ガキ!
俺たちですらまだ対等に扱ってもらえてないというのに何様じゃーー。←世間はそれを逆恨みという。
だがしかし、数分後彼らはその決意を翻すこととなる。
「ちょっと快斗。」
回転を止め、携帯を握り締めたまま会話の余韻にひたる快斗を待ちきれず青子が話かけた。
その後ろで乾と辰巳も興味深そうに耳をそばだてている。
「今のコナンくんからなの?」
「うんそー。人質解放したからこっち来るってさ」
あっさりと、なんとも信じがたい事を言われた気がする。
「思ったより早かったな。」
「そうですね。結構な距離があったでしょうに」
快斗から聞いていた服部はともかく白馬まであっさり納得してしまう。
というのも白馬にとってコナンはやっぱりスーパー小学生だからなのだろう←それだけで説明ついちゃうのもヤバイ気が(笑)
「ほふく前進はごっつ辛いで〜あすは筋肉痛決定やな」
「せめてもの慰めにサロンシップでも差し入れましょうか?」
「や、それは逆ぎれされそーや」
「あはは。それもそうですね。八つ当りは黒羽君一人にお任せします」
平次も白馬もそれが当然とばかりに会話を続ける。
「乾・・・」
「どうやったかなんて聞くなよ。俺の方が聞きたいくらいだからな」
「わかった。・・・打倒ガキ?」
「・・・・・勝率が下がったぞ」
「・・・・・・俺、なんかちょっとわかった。きっとあのガキ黒羽先輩の類友なんだ」
「なるほど。さすが黒羽先輩。周りに集まるのは素晴らしい人ばかり。」
「そう納得することにする」
「同意しよう」
そんな後輩達の悄然とした会話を背後に快斗は青年に丁寧に尋ねられた。
「さて、どう言う事情かお聞かせ願えないかな」
「ん?えーっと俺の相棒が人質30人を解放しました〜。ただ今相棒はこちらへむかってますー以上っ」
「ありがとう。君の相棒というと・・・通風口で待機中の筈のあの子供?」
「そ。」
モニターで見ただけだがとても小さかった気がする。
それともまわりがデカイのが揃ってたからそう感じただけで実はそれなりの年令だとか?
それでも彼らより年下である事は確実であり、到底今言われた言葉は信じられない。
「まぁいい。来ると言うのだから後でいくらでも観察できる事だし。・・・いや、こちらの趣向のほうが面白いかな」
青年はクスリと小さ笑みを浮かべると手近なパソコンのキーボードを手早く叩いた。
「何するつもりや」
またもやクルクル回転しだした快斗(←喜びが止まらないらしい(笑))にとっくに見切りをつけていた服部がその行動に一番に気がついた。
「ん?もちろんゲームの続きだよ。君達が一番待ち望んでいる人間は果たしてここまでたどりつけるかな」
ドォォォン
不吉なゲーム再開の合図はそう遠くない場所から聞こえる爆発音だった。
小説部屋 次へ
|