学校対抗
     チョーーウルトラスーパー
                バトルロワイヤル29



「いやぁっよくぞやってくれたっコナン君。黒羽君。それに白馬君っおおっそこにいるのはもしや服部君かね?」
ゾロゾロ出てくる知り合いに目暮警部はほがらかに笑った。
なんというか・・・多分彼らが大人しく出てくるなんて思わなかったのか、それとも逃げ出した人質達に聞いたのか。

あえてコナン達に聞くまでもなく事件は解決したと思っている警察陣にちょっとどうかと思ってしまうのは青子たちである。

「はい。犯人。それから仕掛けられてた爆弾。まだ仕掛けられてるかもしれないから調べてくださいね」
快斗がニッコリと笑いながらポンポンと手渡す物体を慌てて近くの刑事が受け取る。

爆弾と言われ慌てたのは新米の刑事だけで、目暮以下2人を知っている警察陣は「またか」と暖かな微笑みを浮かべて見せる。←大問題では?

「爆弾処理班がそろそろ到着するだろうからそれまでに彼に話を聞いておくよ」

未だ気を失っている青年(結局名前でず(笑))を顎で示し目暮警部は通り過ぎざまコナンの頭と快斗の肩を軽く叩いた。

「お疲れ様」

そのまま目暮は、コナンたちの後ろにいた白馬と服部に軽く労いの言葉をかけ、指揮を開始した。

それを何となく眺めていた2人にちょっと離れたところで少年探偵団達と話していた高木が駆け寄ってきた。

「コナン君。それに黒羽君お疲れ。」
「あ、高木さん。久しぶり〜」
「お久しぶりです」

「うん。本当に久しぶりだね、実は君達に会いたいって人がいるんだけど今会うかい?」

高木の言葉に二人は((・・・ああ))と思いだした。
出来れば思い出したくなかったんだけど。

「ハッロォーー」

元気溌剌なお姉さん・・・もとい変態が一人。
その後ろに子供たちが4名。



「コナンくんっっっ!」
「コナン君っ」
「コナンッ」
「・・・・・」


『ジュニアっおちびちゃんひっさっしっぶっりーー』
ハイテンションな子供たちに負けず劣らずのテンションで駆け寄ってくるロングスカートの一見素敵なお姉さま。


「うわぁお」

相変わらずのナイトメアの様子に快斗が思わず呟いた。



『なんで日本にいるんだ両生類』
憮然とした表情で辛辣に言い放つコナン。スカウトに来たとは言っていたが何となくその女装姿(たぶん)がムカつく。

本日は黒地に赤のチェックがある膝丈スカートに白いセーター。それとロングブーツにロングコート。どこからどう見ても女性である。

『なぁに〜あたしはカエルかっての。』
『いや〜それはカエルに失礼だって。ねっコナンちゃん』

快斗も迷いなくコナン援護。

『ひ、ひどいジュニアまでっメアちゃん泣いちゃうっ』

『『泣け変態』』
『しつれいねぇさっきから二人して〜そりゃあこの格好が好きなのは認めるわよ。でも心も体もれっきとした男なんだからっっ』

「「・・・」」


(やっぱり男なんだーーー(涙))

初めて本人の口からしっかりとした真実を知ってしまった2人。

ついでに傍にいた少年探偵団は英語なので聞き取れず、ただ一人、哀だけがポカンと口をあけナイトメアを凝視していた。

「お・・・男?」
「待て灰原。混乱しているのは分かるが指差すな」
「・・・え・・ええ。そうね。ちょっと衝撃が強すぎたみたい」

美人のお姉さんだと思っていた人が実は男。
言われてもそれでも「バカな」と思ってしまうぐらい女っぽいのに・・男?

「やっぱり哀ちゃんでも驚くよねー」

『もうっ日本語あんまり分からないって前に言ったでしょーー翻訳してよっ』
『哀ちゃんお前が男だって知ってかなりの衝撃中みたいよー』
『あら悪いことしちゃったかしら。』
しただろう。


『んであんたはいったい何しにきたんだ』

『実はぁボスに命令されちゃったのよね〜』
『なにをだ』



メアちゃんっあの二人を誘拐してきなさいっっっ

『って』


『『・・・』』
『なあにその反応私変なこと言った?』

首を傾げて言葉を反復して・・・それから


『あっ違ったあの二人を勧誘してきなさいだった』
テヘッと可愛く舌をだしたが二人は思わず肩の力を抜いた
「違和感なさすぎて」
「まじ誘拐されるかと思った」


やあだぁ冗談うまーい。って言いたかったがナイトメアなら本気でやりそうで。
いきなりヘリでやってきて押し込められて気がついたら海の上・・とかありそーだし。


『それよりジュニア、あたしもあまり時間ないから説明だけさっさとさせてもらっていいかしら?』
『あ、うん。コナーン』
『おちびちゃんはいらないいらない。貴方からあの2人に後で説明しておいてくれれば良いわ。』
「へ?」
『ほら。いらっしゃい』

見かけからは想像できないくらいの腕力で快斗を木陰まで引きずっていくナイトメア。


「いやぁぁはぁなぁしぃてぇぇぇ。助けてコナンちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」

メアに引きずられ去りゆく快斗の背中を呆然と見送った二人。

「わたしたちも行かなくてよかったかしら」
「あいつが聞いてくんだろ」
「もし聞いてこなかったら」

「罰として鉄火丼一気ぐい」
「・・・」

それは確かに充分に罰として威力を発揮することだろう。


「ちゃんときいてきたら最上級のトロをつかったねぎとろ丼を食わせてやろう」
「・・・」


う〜ん俺っていい奴〜満足そうに頷くコナン

「そう、どちらも彼にとって試練ね」

灰原哀は止めなかった。





そんな彼らをそっと見ていた青子が2人の会話が一段落したのを見取り、意を決したように近づいてきた。
「コナン君。ちょっといいかな?」
「え?うんいいよ」
奇しくも快斗と同じように引きずられたコナンは青子の顔をみあげ首をかしげた。
硬い表情。
なにかを決意したように引き締まった唇。

なんの用だ?
青子の足がピタリと止まったのは快斗が引きずり込まれた木陰から大分離れた場所。
やっぱ快斗関連だよな?と思い同じくコナンも足を止める。

「あのね。コナン君」
「ん?」

しゃがみこんで同じ目線になった青子に可愛らしい仕草で首を傾げてみせる。
(こんなこと言うなんて変かなぁ。)
そんなコナンを見て、そう思いながらも青子は言わずにいられなかった。

「バカでまぬけで全然ダメなどーーしようも無い奴だけど、でもコナン君を大切にしてるのは本当だから。だからコナン君ふつつかな幼なじみだけど。どうか快斗を見捨てないでやってね。」

ペコリと頭を下げるその表情は真剣そのもので。とても冗談やちゃかしではなさそうで。
コナンは思わず苦笑してしまった。
(同じようなこと快斗のおばさんにも言われたんだよな)

快斗が、母と幼なじみにどれだけ心配されていたかわかる瞬間である。
そしてこの2人が誰よりも快斗のことを大事にしてくれている証拠。
その大事なものを自分に預けてくれるのだ。
それはとても大きな優しさ。
お前は幸せなヤツだぜ快斗。
暖かな気持ちが胸の中に広がってゆく。


ま、こたえは一つだろ

「絶対に見捨てたりしないよ。快斗兄ちゃんが僕から離れようとしてもちゃんとしがみついておくから」
だから安心してね。
快斗から離れる時。それはきっと快斗自身が危険なとき。
コナンに迷惑をかけないようにしたいとき。
そうでなければ離れるはずが無い。うぬぼれでなく自覚していた。
あいつはバカだから。

俺がなんだかんだいいつつ快斗のことを大事にしてるの一応知ってるのに本心では見くびってやがる。

「快斗兄ちゃんはさ・・・・・バカだから僕がいないとなにやらかすか分らないもんね」
にぃぃっこり。
辛辣なコナンの言葉はその笑顔で半減する。←ええっ?
「だよねぇ。コナン君がいたら青子安心だもん」

「だからずーっと傍にいるよ」

強い瞳。
まだ小学校の低学年。そんな小さな子供にそう宣言されてこんなにホッとしてしまうなんて。
やっぱりコナン君って凄いなぁ。

肩の荷が下りた気分で青子はコナンの手のひらを取る。
小さなもみじの手のひら。ぷにぷにしてやわらかい。快斗がコナンと手を繋ぎたくなる気持ちがよくわかった。


「今度快斗のバカ話いっぱいするね。聞いてくれる?」
「うんっ聞きたいっっ」

手を繋いでのんびりもどったコナンたちにすでにナイトメアと共に探偵団の元に戻っていた快斗は頬に手を当て叫んだ。

「こらぁぁぁ青子っっコナンちゃんは俺のなんだからなぁぁぁぁぁ勝手に触るなぁぁぁぁ」


「あんなんだけど・・宜しくねコナン君」
「・・・うん」
2人の口許は苦笑で彩られた。



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快斗なさけない(笑)
これで青子ちゃん公認となりました。ナイトメアと快斗の話の内容はまた別の時に。
しかし一番のヒットは珍しい灰原哀のびっくり顔ですね


05.12.24