学校対抗
チョーーウルトラスーパー
バトルロワイヤル4
学校別に並ばされれば物凄い量の列になった。
それを地区ごとにまとめ、今はなにやら大きな丸がそこかしこで出来ていた。
その中の一つにいたコナンたち一行は
「あーテスツテスツーーマイクのてすとちゅーー」
キンキン鳴るマイクを片手に燕尾服と分厚いめがねで装備された兄ちゃんを見た。
完全に場違いな格好だったが、彼は一向に気にしている様子もない。
朝礼台に登り、太陽から背を受けたその人はとても輝いていた。
いや、正確に言えばそのひとの頭が。
「は~い開会式でーす。司会はこのツルツル頭がチャームと評判の近所のとっても頭がよい大学生時田が
おおくりしま~す。あっそこっっおしゃべりはもう少し小さな声でしてくださーい」
ペンッと自前のチャーム(?)な頭を叩く
陽気な兄ちゃんだった
まるで今から漫才でもかましそうなほどに。
「なんだか緊張しますね」
心なしか目元のあたりがキリリとしていることからして本気で言っているのだろう白馬は胸を押さえて大きな独り言をつぶやく。
あんな挨拶されて緊張を保ってられるなんて凄いよ探兄ちゃん・・・皮肉でなくホントにそう思う
時田はフランクな態度で軽く手を上げた。
「えー本当はここで各校の校長先生に意気込みを語ってもらうのですが、時間がもったいないので~私の独断で、今年は省かせていただきますー」
時間がもったいないと一刀両断された、横で整列していた校長先生らしき一同が、がっかりしたように肩を落とす。
そりゃそうだ。全部の高校の校長が語りだしたら悪いが相方の快斗を置いてコナンは即効帰る
よくも毎年やっていたものだ。
明らかにショックを受けているところを見るとどうやら校長達に通達はされていなかったらしい。
ってかマジあんたの独断なわけ!!?
何者だっこの司会者
これだけの校長を敵に回しておきながらへらへら笑っているなんて
時田、あんた凄いよ大物だよ。
そしてツルツル頭の時田はやはり恨めしい目をむける校長たちをあっさり無視して次なるメニューに進んだ。
「ではまず~選手宣誓言ってもらいましょうか」
開会式のあの白々しいまでの厳かな雰囲気はかけらもなかった。
進み出たのは屈強な筋肉達磨の男とヒョロヒョロの眼鏡
ゆっくり進み出て朝礼台に立つ司会者に向かって持っていた旗を斜めに掲げる。
ヒョロヒョロ男がちょっぴりぐらついた
一呼吸おき、二人で頷き合うと力の限りに叫ぶ
「「宣誓ー我々選手一同は」」
「知力」と眼鏡
「体力」と筋肉
「「時の運、更にはいろんなあの手奥の手秘蔵の手を使い最後まで戦いぬく事を誓い
ます」」
(う~んトレビア~ン)
なんだかそれ聞いただけでげんなりして来たコナン
「はいっすばらしい意気込みをありがと~死者だけはださないでくださいねぇ」
ニコヤカに時田が締める
「そうそう。死者といえばー今大会は大会史上初の小学生が参加してまーす。」
どういう関連性なのかが非常に気になるが時田はにこやかにコナンのほうへ視線を向けた。
その瞬間人々の視線を一身に集めたのは当の話題の無謀な小学生(幼稚園ぐらいにしか見えない小ささ)と
その小学生をつれてきたバカな男の二人。
もちろん視線の属性は氷
ああ、冷たいねぇ
「なんかもうちょっと同情ひけると思ったんだけどなぁ」
「世の中そんなに甘くないってね~」
そんな視線を浴びておきながら特に堪えた様子を見せない極太ワイヤー神経のお二人は暢気に語る。
「だって快斗兄ちゃんが勝手に判子おして連れてきたんだしー」
「あはは。俺が押さなくてもコナンちゃんのお母さんたちなら喜んで印鑑押してくれるに決まってるじゃん」
どうせ結果は今と同じこと
サラリと笑いながら言われたその言葉に思わずコナンは地面に手をついて打ちひしがれそうになった。
やる。あの二人なら嬉々としてやる。
『えーおもしろそー見に行っちゃダメー?』
わくわく問いかける母の顔が想像するまでもなく簡単に思い浮かんでしまう自分が悲しい
「ふ」
この件に関しては快斗の母も実はコナンの敵にあたる。
彼女曰く
『だってー快斗のパートナーはコナンちゃんしか居ないじゃないっほかの人なんていやよ』
イヤよって駄々こねられてもねぇ
『まぁねー100歩譲って青子ちゃんなら許してあげるけどね、青子ちゃんはもうほかの人のパートナーなんでしょ?取られちゃってるんだから仕方ないじゃないの。そうしたらもうコナンちゃんしかいないのっ』
なんなのだその理屈は?
『ものすごーーーくものすごーーーく譲歩して1億歩譲ってあげて白馬君っていう手もあるわよね。でも彼も参加者でしょ?無理よね。
そうそう1千万歩くらい譲って紅子ちゃんでもいいけどねー』
白馬お前めちゃくちゃ遠いな。
っていうかあの魔女と白馬の差は一体なんなのだろうか?男女の差?
『やっぱりコナンちゃんには劣るじゃなーい?』
ああ、ああ。なにを根拠にそんな恐ろしいことをのたまうのだ貴方はっっっ
先方に聞かれていたら呪われそうな言葉をサラリと気負い無くっっっ
『む・・むしろ僕より紅子お姉ちゃんのほうが役立つと思うんだけど・・・』
『ぶっぶーーそういう問題じゃありませーん。ビジュアルの問題でーーす』
いや見た目の話なら余計に
『僕と快斗兄ちゃんじゃ全然つりあい取れてないって』
『ま♪謙虚なんだから~もぉっ。』
つーーんと額をつつかれた。
本気なんですけどね。
なんだかどーでも良くなってきましたよ。
とか言う疲れる会話をした記憶があるコナンは空を見上げてすがすがしく微笑んだ。
(青い空なんて嫌いだーーーーー)
「小さいから、なーんて言って手加減する人きっとだーーれもしないだろうけどー集中攻撃は控えてあげてくださいねぇ
なにせ彼はまだ1年生なんですから可哀想ですよー小学生の君も若者パワーで頑張ってねー。」
ってゆーかー
この周囲のいてこましたるでこのガキーー
って感じの雰囲気煽ってんのってあんたじゃないのか?
先ほど以上に敵意が感じられコナンも快斗も笑い出したくなってくる。
とーきーたーー
お前のそのチャームな頭に後で水性マジックで落書きしてやるぜーーおぼえてやがれーー
水性マジックはなぁ乾くと油性より落ちにくいって知ってたかーーーー
胸のうちで復讐方法を決めるとちょっとすっきりした。
「じゃっめんどーな事は全部抜きにして行きますか~第一戦で~す」
「「は?」」
一瞬にして人々の思考は切り替わった。
と言うか意表を見事に突かれたとばかりに間抜けな声がもれた。
「いいですかー相方とは離れたらだめですよーこんな人ごみではぐれたら最後まで生き別れになっちゃいますらね~~」
それだけ叫ぶとポケットからレポート用紙らしき紙を取りだした。
「すげぇいろいろかっ飛ばしたな。開会式で一時間って書いてあったのに」
「サクサクすすめねーと時間的支障がでるんじゃねーの?ってかさっき実にありがたいことに校長の語りかっとばしたからな」
辛辣な小学生のことばに苦笑する
じゃああのプログラムは何のためにあったんだ?
いや、確かに欲しい人だけとりに来いとは言ったけどここまで無駄にすることもないじゃないの
わざわざ貰いに行った自分がバカみたいだ
快斗は思うが
「まぁこの人数を篩いにかけるんだもんな」
さくさく進めないとあっという間に一日が終わってしまう
そう考え納得することにした
息まく人々
見ているだけでこっちが息切れしそうだ
「なにのんびりしてるんですか二人ともっこっちですよ」
突然白馬にひきづられた
「正解は○で~す」
おおおーー!!!
歓声が地面を震わせる
(なんだなんだ?)
話を聞いて無かった二人は話題に乗り遅れた
「聞いてなかったんですか?○×問題ですよ」
あのままなら不正解で一問目敗退するところだったらしい
あ・・・危なかったぁ
まかり間違っても一回戦敗退なんてしない・・なんて言いきっておいてここで敗退したらさすがに校長と合わせる顔が無い。
ホッと胸を押さえる快斗。
「えーホントに二人とも聞いてなかったの?10秒ルールなんだよ。10秒以内に○か×の陣地に移動しなきゃだめなの」
人の波に押されて正解のほうへ移動できなかった人々が悔しそうに叫んでいるのが目の端に移った。
さすが普通のゲームとは違う。
「ああ、なるほど」
「やる気が足りませんよ黒羽くんもコナンくんも」
叱られた
快斗は慣れたもので聞き流しているが
コナンはメッと上から幼児叱りをする白馬に思わず最近よくする対応をしてしまった。
「えへへ」
ごめんなさ~い
肩をすくめて可愛く謝る。
それを見て意外なことに白馬は相好をくずした
(やべ、最近じーさん相手がおおかったからかわいこブリッコに磨きがかかってやがる)
己の演技の威力に背筋を冷やすコナン
「こらっコナンちゃんに近付くんじゃありません!!!」
バッと二人の間に割り込むバカはムシして
「はーーーい間違えちゃった人は速やかに退散っ。待ってても復活戦はありませーーん!!」
きっぱりハッキリ言い切るとつるつる頭の時田はノリに乗った様子で叫んだ
「それでは~第2もーん」
次の問題に耳を澄ませた
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