学校対抗
チョーーウルトラスーパー
バトルロワイヤル6
乾と辰巳
彼らはあくまでも常識人だった。
彼らの不幸は非常識人を尊敬する先輩に認定してしまったこと
ただそれのみ
二手に別れる相談がそこかしこでヒソヒソやらギャーギャーやらなされているとき、考えるまでもなく役割の決まっていたこの二人は
のんきに先輩を探していた。
彼らの心情を言葉に表すならば
(黒羽先輩はどっちにくるのかな〜〜〜)
出来れば自分が参加するほうに来てほしい。
そんでもって力をあわせてクリアしたい。
自分を犠牲にしてでも先輩を合格させてみせます!!
そしてそして、その暁には
「お前俺のために・・・・」
なんて感動して覚えがめでたくなるかもしれないーーー
そんな下心満載満載
冷静沈着なはずの乾ですらそんな感じなのだからこの二人快斗に関しては似たもの同士ということなのだろう。
「くっろばせんぱーーーーい♪」
見間違えるはずがない
尊敬するあの人の黒い髪
つんつん跳ねたその髪がひょこひょこ人の隙間から見え隠れしている。
そこへ向かってふたりはダッシュ
「相方紹介してくれるって言ってたもんねーー」
名前だって覚えててくれたしぃ
「黒羽先輩のパートナーを勤めるくらいだ。かなりのツワモノだろう」
「だよな。だよなっ。中森先輩を追いやっちゃうくらいなんだからそーとー凄い人だよなっ」
異存ないとばかりに二人はうなづきあう
そんな二人の妄想は数分後、完膚なきまでに打ち砕かれることとなる。
「おっよくこの人ごみの中で見つけ出したなー辰巳、乾」
「あ、相田君と乾君だー二人とも結局参加したんだねー」
快斗が近づいてくる二人に気づき振り返れば青子が大きく手を降り始めた
「お久しぶりです中森先輩。お二人が参加と聞いて即判子押しましたよ」
「そーそー。乾の奴ぐちぐち言ってたのに中森先輩からその話きいてもうホントその場で判子押してたっすよ」
けけけと意地悪気に笑う辰巳
「それから黒羽先輩。パートナーを伺いに来たのですが」
「・・・・・・えっと。なんかここに子供いるんっすけど・・・・」
快斗の足元でキョトンと新参者を見上げる青い瞳の子供が一人
まさか
まさか
この子が噂の小学生!!?
こんな間近で見れるとは
となにやら珍種を見れた感動のようなものを感じた二人
密やかに現実逃避をかましていたのかもしれない
そして二人してその子供から思い切り目をそらして
「で、?先輩のパートナーってどんな人なんですか?」
乾が無表情に問う。
背後からおどろおどろしいオーラが発生しているのは気のせいだろうか?
(この餓鬼がまさか・・まさか・・・)
いやまさか・・・
そんなこと許しませんよーー口にしないで下さいねーー
そんな空気なのだろうか?
「うん。これ」
もちろん快斗にそんな無言の圧力が聞くはずもなく。
朗らかに快斗がそれを指をさした。
いや、見えないっ
そこに人間はいないんだっっ
「ああ、今はここに居ないんっすよね。また後で紹介してくださいよー」
「だからこれって」
快斗が今度は思い切り小動物を腕に抱え上げ突きつける
それでも二人現実を認めなかった
「いやータイミング悪いっすよねー。まぁそんな時もあるさってことで」
「そう。逢えないものは仕方ないですし。そんな無理してごまかすことありませんよ」
にこやかに
あくまでも笑顔を絶やさず
尊敬する先輩の奇行を黙殺する。
そんな二人を見て青子も白馬もしっかり状況が理解できたのだろう思わず後ろを向いて吹き出した。
「快斗ー仕方ないって。相田君も乾君も普通の反応だと思うよー」
「確かにお二人の反応が一般的でしょうね。」
「なにそれーーコナンちゃんがパートナーだと変だって言うわけーーーっ?」
「言うでしょうねぇ」
「普通言うんじゃない?」
白馬も青子も容赦ない
だがそちらに文句をつける前に目の前から不機嫌のオーラがぶわりと沸き立った
「っつーかお前人のこと『これ』『これ』って・・・」
「やんっお怒り?お怒りなのねコナンちゃんったら♪」
自分の目の高さまで抱え上げ可愛く首をかしげてみればコナンは白い目で見下ろすように快斗をみる。
そんな顔もかぁぁわゆーーい♪♪
ほお擦りほおずり。
嫌がる子供にセクハラそのものの行為をかます。
「・・・黒羽先輩・・・あんまり聞きたくないんですけど、もう一度聞きます。先輩のパートナーって・・・・」
「今ここに居ないっすよね?ね?」
あははん。
どこまでも現実を認めないというか信じたくない二人は脅迫するかのごとく快斗につめよる
そんなのに気おされる快斗様じゃぁございませーーん!!
はっはっはーーー
「聞いて驚けっ泣き叫べっ俺は常識と縁を切った男なのさーーー」
自分で言ってちゃ世話ない
「っていうかそれ全然冗談になってませんし」
「白馬君。かわいそうだから口にして言うのはやめてあげようよ」
背後の二人の会話は無視しよう
いやそうな顔のコナンをここぞとばかりにギュゥゥゥと抱きしめ可愛い後輩に向き直る
「改めまして、彼がオレのパートナーのコナンちゃんでっす」
キャっと恥じらいながら紹介する
「・・・」
信じたくないのか二人はあからさまに周囲を見回した
そして数秒後、
ポンッと辰巳が手をうった。
「そうかっ先輩実はいっちゃん最初に中森先輩にパートナーになって欲しいってお願いしたんっすね。」
「ああ、なるほど。だが中森先輩は断ったわけだ。『やーよ。快斗となんかー』とか言って」
「そうそうっんでガーーーンと来た黒羽先輩は『ちくしょーーぐれてやるーーこうなったら誰でもいいやーーー』
って感じになっちゃったわけですねぇ」
「ふむ。それで子供を選ぶあたりが黒羽先輩のひねくれっぷりをよくあらわしているな」
「うーん。物凄く筋が通ってるって感じぃぃ・・」
乾も辰巳もひどく納得したらしい
腕をくんでふたりでうんうん頷きあった。
「ようするに、黒羽先輩は中森先輩に振られたショックで・・・」
「やけになってしまったんっすよねーー」
二人はすっきりしたように快斗に向き直り
そんな衝撃的な言葉を堂々とかました。
(すげーよお前ら。ここまで先輩をおちょくった言葉面と向かって口にするなんて)
(さすが黒羽君の後輩ですね)
(乾君も相田君も相変わらず快斗に関しては遠慮がないなぁ)
失礼な二人のことばに
コナンは感動し
白馬は感心し
青子は苦笑し
そして快斗は
「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁれがフラれたってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
ぶちきれた
背筋が凍るような地獄の使者のごとき声が尊敬する先輩の口がもれでた
((ひぃぃぃぃ))
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