学校対抗
チョーーウルトラスーパー
バトルロワイヤル7
「まぁ予想はしていたが」
知力合戦への扉をくぐり歩き出した一同。
隣を歩く子供を見下ろし、乾は口の中でつぶやいた。
この小さなのがパートナーだと知った瞬間確実に快斗が体力の方へむかうということを乾の素晴らしき頭脳ははじきだしていた。
子供が体力へ向かうより知識のほうへ向かったほうがマシなのは当然のはなし。
んで、この子供が、パートナーってことは認めたとして←嫌だけど
俺はどうすればいいんだ?
先輩のパートナーだからと手助けするか、それとも徹底的に完膚なきまでに格の差をみせつけるか。
実に楽しそうなのは後者だ。
しかも自分にむいているのも後者。
・・・考えるまでもないか。
クックックッ怪しく笑いだす乾を見てしまったコナンと青子は不気味そうに彼からちょっと距離をとった
「は〜いみなさーん知力担当司会は世界の時田がおおくりしまーす。こうみえても頭いいでーす。
運動神経もいいでーす。ですがさすがに素人がうかつに手をだすと命にかかわるので体力司会は専門家にまかせました〜」
いったい向こうは何を・・・
動揺がかけめぐる
そんなのを歯牙にもかけず時田はにこやかに説明を続けた。
「まず座席は番号順です。
自分のナンバーと同じところについてくださーーい」
の言葉に一斉に人々は子供を振り返った。
だれがあのガキの近くに座るのか。
よもや誰かが手助けしたりすまいなっ
そんな視線だろうか?
こんな小学生を目の敵にしてどうする
という気もするが、そんな小学生に負けたら面目が立たないのが彼らなのだろう。
幸い?な事に青子とも乾とも離れた席へとついたコナン。
悪意の視線がねっとりしつこいほどに絡み付いてくるので、多々ある見張りの目はそう気にならなかった。
いやぁここまで敵視されるといっそ清々しいよなぁ
はは
一人腹を抱えて笑い出したくなってくるのはコナン
青子は遠くからハラハラとそんな狼の檻に入れられた子羊のようなコナンを見つめていた。
新たな戦いの始まりである。
ピコポンっ
まるでピコピコハンマーのごとき愛らしい音が当たりに響きわたる
「はいっ701番江戸川君っ」
「・・・・・えっと・・・・・」
またか、と言った事態にコナンは考えるように口元を押さえた
「3番?」
「残念。はずれでーす。3っつめのお手つきですよー5つ取ったらアウトですから気をつけてくださいね〜」
気づいているのか気づいていないのか、時田はあくまで自分のペースで物事を進めていく。
まだ問題読み途中の現段階で回答ボタンを押す者がいるはずもない。
当然ながらコナンは敵(?)の妨害にさらされていた。
(うーん。素晴らしく卑怯くさいがダメージ大な手だな。)
敵ながら天晴れとコナンは隣近隣にすわる少年たちを眺めた。
さすがに分かる範囲では何とか答えてきたものの、(周囲はまぐれだと思っているだろうが)選択回答の答えが出ていない以上番号は答えられない。
いっそ選択じゃなければ口頭でバッチリ答えてやるものの。
と、口惜しく感じるのはコナンくらいのものだろう。
かなりの広範囲かつ、専門的問題も出て来るため、選択でなければ答えられない者続出。
さすが知力勝負である。
「はーい。では次の問題いきまーーす」
その数分後またもや同じやりとりを繰り替えすこととなる。
ピコポン
「はいっ701番江戸川君っ」
うーん。またかい。
さすがにコナンもうんざりしてきた。
こりゃさっさと退散したほうがいいかもしれない。
だがこのまま負けるのも癪だ。
なんとかやり過ごして、せめてこの回だけでもクリアしてざまぁみろと言ってやりたい。
そんな気持ちがムクムクわいてきた。
本当ならここらへんでわざと負けるつもりだったんだけどな。
ふつふつと沸き起こる対抗心。
結構大人気ないと自分でも思うが所詮もともと広い心なんぞ持ち合わせちゃいないコナンである。
とりあえずここは捨てて、もう一回ジャマされる前に連続回答して一抜けしてやる!!
いままで自分でボタンを押したことはない。
だが幾度にわたる妨害により、コナンのお手つき3つ、回答4つ。なかなかの好成績を収めていた。
あと6つ答えれば合格として勝者の部屋へと送り込まれるのだ。
それまでに妨害をなんとか防げれば・・・・
てめぇらっっ
最後に笑うのは俺だぜっっっっ
一方そのころ相方は
「黒羽先輩頑張りましょうね!!」
「んーあーー」
「黒羽君。何ですかそのやる気なさげな返事は」
「うるせーなー」
やる気満々の辰巳と白馬に挟まれ快斗は
(あーかったるぅー)
すでにお疲れモード
「僭越ながら俺の命に変えても先輩を合格へたどり着かせてみせますっっ」
燃え上がった辰巳には大変悪いが、快斗君まったくやる気ナッシング。
「んーそー」
「ええっ期待していてください!!」
そんな快斗の態度にも気づいていないのか、気にしていないのか、辰巳はあくまでも自分の崇高なる使命に燃えていた。
「面白い人ですね、相田君は」
ニコニコと見ていた白馬は腕を振り上げえいえいおーーと叫ぶ辰巳をそう評価した。
褒めてるんだかいないんだか。
「体力組みの皆さん。ようこそいらっしゃいました。体力組の司会を任されました藤堂です。」
時田と違って髪はあった。
黒シャツにジーンズというラフな格好だというのに恐ろしく整った顔に違和感なく似合っていた。
首元でさっぱり切りそろえられたその髪は日本人らしく漆黒。
和服が似合いそうなところは乾と共通するのだが、スッと通った切れ長の瞳が冷酷さをかもし出し、
半径10m以内に近づけない雰囲気を人々に与えていた。
なんなんだこの威圧感はっっっ
うっかり間合いに入ったら日本刀で切られそうな空気だ。
その藤堂は表情一つ変えずマイクに向かってズズーンと腹に響く低い声で続きを述べた。
「すでに怪我をされている方、それとご気分の悪い方は今、この場で退散することをお勧めいたします。」
体力組の司会者は時田さんとは違ってノリはあまりよくなかった。
っつーか
「淡々としてるだけに言ってることに真実味が・・・・」
ヴ・・と
すでに怪我をしている面々がうめいた。
この先なにが起こるかさっぱりわからない
むしろこの司会者を見てると死んでもおかしくないことが起こりそうで背筋がヒヤヒヤする。
「あの人って高校生のとき柔道で日本を制覇した人じゃないか?」
「知ってる知ってる。しかもその後拳法と柔術習ってさらに軍隊に入ったとかなんとか」
「俺やくざに見初められて幹部入りしたって聞いたけど・・」
「いやいや。その強さを見込まれて要人のSPをしてるって聞いたぞ」
・・・・
なんだかとにかく凄いのだろう。
見た目は20代半ば辺りなのだが経歴を聞くともっといってそうに思う。
まぁ噂は噂であって本当のところの藤堂の職業は分からないが、快斗には彼が只者じゃないことだけは分かった。
運動神経の塊、化け物なみの反射神経の持ち主である自分であるが、あの男と指しで勝負するのだけは遠慮したい。
そう思わせるだけの存在であることは確かだった。
「一つ言い忘れました。自分は知力組みの司会をしている時田に無理やり司会を押し付けられただけであって好き好んでこの場にいる
わけでないことだけは知っていて欲しいと思います。」
ど・・・どんな関係ですか
口元まで出掛かった人はきっと沢山いたことだろう。
実は快斗もその一人だ。
二人が仲良しさんだなんてとても想像できない。
っていうか時田なら遠慮なくずうずうしくこの男にまとわりつくだけの根性を持ってそうな気はするが・・・
「無理やりとはいえ、引き受けた責任は持ちたいと思いますので死者だけはださず、頑張っていただきたい。
ちなみに試合が始まってからのリタイアは受け付けません。途中でもう止めたいと思っても不可能ですので、
ご理解のほどよろしくお願いします。それでは今退散しておこうと思う方はこちらへ」
だれも動かなかった。
ギブアップを申し出たかった人は多々いた。
脅しに屈した・・・と思われたくはないが、命は大切だと知っている常識人は気づいていたのだ。
この勝負はマジで危険だっっっと。
なのになのに・・・
「ふむ。全員参加ということですね。せっかくの忠告が無駄になったのは残念です。」
眉一つ動かさずの言葉に多くの人々が心の中でつっこんだ
ーーーーーっつーかリタイヤしたくても怖くてあんたの近くなんて寄れねーよっっっーーーーー
そういうことだ。
「では、体力組みの試合内容を説明いたします。」
ごくりとつばを飲み込む姿がそこかしこで見られた。
そして数分後
「ほら、ちゃんと走りましょうよ黒羽くん」
白馬にせっつかれ渋々走る快斗が見られた。
体力組はその名のごとく体力を主とした勝負である。当然走るし、スピードが勝敗を握る
のも確か。なのにこの男のらくらまるで歩いているかのような走りである
(いったい何なんですかー)おいてくつもりはサラサラないらしい白馬が泣きそうになる
「だあってーやる気ないもーん」
「もんって」
絶句する白馬にニヤリと快斗は笑った
「おまえは行けよ。俺は勝つ気ねーし」
はぁ?
勝負にきておきながら勝つ気ないとはなんぞや?
ことばのとおりやる気なさげなこの走りをみながら首を傾げた。
それに快斗はキャッと口元に手をやりアホみたいなことを口にした。
「さっさと退散して残りの時間ゆっくり過ごそうねーってコナンちゃんと約束してるんだもーん」
ガクリと膝が崩れそうになる白馬
「だいたいあいつも今頃やる気なさげにクイズ眺めてると思うぜ」
「いえ。きっと今頃メラメラ燃えてますよ」
含み笑いをみせた白馬に快斗はコクリと不思議そうに首をかしげた
「多分彼は、参加者のよからぬやからから攻撃を受けまくっているでしょうからね」
大人しくやられている少年ではない
きっとメラメラ轟々と反撃に燃えているに違いない
それが見れなくて残念だと白馬は思った
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