学校対抗
     チョーーウルトラスーパー
                バトルロワイヤル






「三人とも合格できてよかったねーー」
「そうですね中森先輩。少しばかし予想外のことは起きましたが」

チラリと足元のコナンに目をやるのは乾である。
まぁよもやこの小さいのが頭脳戦で勝ち抜けるとは思っちゃいなかったのはあそこにいたすべての人間が共通する思いであろう。
だからこそあの後の猛攻撃に衝撃を受けたのだ。

人が考えている間に答える。
答える。
答える。


ってーか。問題見た時点で答えが分かっているらしく、4つの選択回答の全部が出終える前にピコポン。
下手したら一つ目の回答を読み上げたその瞬間にピコポンである。

小学生の知識の幅に4つの答えを見てもどれが正解か分からなかった人々は涙を流した。
負けた・・負けたよ小学一年生に・・・・


そんな参加者の皆様を哀しみの野へと送り出したコナンはといえば乾の言葉を特に気にするでもなく、一人地面を睨み続けていた。
彼の現在の心境といえば



消化不良だ・・・



その一言に尽きた。

確かに当初の予定(わざと敗退計画)は崩れた。
自ら張り切って崩したのだから文句はない。
だがしかし、予定通り相方が事を成し終えてきたのならば、自分たちはここで退散である
おらおらおらぁぁとばかりに青子が目を瞠るのも気にせず連続回答しまくった自分は無事(?)2回戦を突破したというのに、
相方はきちんと律儀にわざと失格するに違いない。
あの男が自分との約束を破るとはとうてい思えないコナンである。←日ごろの躾の成果?


そうなると・・・・・・


「俺の怒りのやり場が・・・」


燃え上がっていた「目にもの見せてやらぁ」の炎は鎮火することなく胸のなかで未だ暴れまわっていた。
さきほど、乾にすがすがしいまでにさらわれてしまったのだから仕方ない。

実にあれは爽快だったさ。
だがな俺は自らの手でやりこめてーんだよっわかるかそこんとこっ!!!?

「あーちくしょ」
見事上成績で2回戦を突破した少年は口汚く地面にむかってドクヅイタ 
そんな超不機嫌な彼の元へいつでもどこでも幸せそうな人間がヒョッコリ顔をみせたのだ。

「やっほーこなんちゃぁぁん」

同じく(なぜか)無事2回戦を突破した相方、快斗である。
その後ろには青子に軽くてをあげる白馬の姿が見えた。



「・・・」


いやぁなんてーかなぁ・・・
お前ナイスタイミング!!←(快斗にとってはバッドすぎる)

おおちょうどよく怒りのやり場がやってきたぞっと
コナンの機嫌は見る間に浮上した
さあいくぞっ盛大に。
溜まりに溜まったこのストレス解消を!!
こ気味よく「まさかお前敗退してきたんじゃねーだろうなっ」
と怒鳴り散らそうと(負けるよう言い含めておきながらなにを言うのやら)息を吸い込んだその瞬間


2時間振りに再会を果たしたラヴァーに抱きつくのをこらえ、もじもじと命びろいともいえる言葉を快斗が口にしたのだ。


「いやぁなんか合格しちゃいました♪」
えへへ


一緒にここらへんで退散しようね〜計画が流れそうなことを陽気に(だが内心ビクビク)告げてみれば 
ピクリとコナンは眉をはねあげた。

快斗くんピンチ?

「いや俺はイヤだって言ったんだけど白馬が・・・」

見苦しい言い訳に愛しい相方は実に予想外の反応を返してきた

「よくやった!!!」
「え!!!?」

絶対に怒り狂うこと間違いなしと思っていただけにこの誉めことばは非常に心臓に悪かった

な、なに?新たないじめパターン?←ここらへんいつもの不幸が垣間見える(笑)

「こうなったら勝って勝って勝ちまくって最後に高笑いしてやるぞっ!!!いいかっっ分かったなっっっっっ!!」
新たに用意された怒りのやり場にコナンは快斗に指を突きつけ高々と宣言した。

意気込んで言われ理由の分からない快斗はとりあえず勢いにおされコクコク頷いた
(よくわかんないけどやる気だよコナンちゃん)
分かってないまでも快斗はのんびりしましょう計画が破れたことをしっかりと悟った。


「あれ?・・・そういやもうひとりは?はぐれたのか?」
宣言して落ち着いたのか、ようやく気付いたコナンは不思議そうに見回した。
その言葉にすでに気づいていた青子も乾も返事を求めるべく快斗と白馬に目をやった。
その視線に二人は顔を見合わせ微妙にほほえんだ


「「・・・」」


「いやぁ・・なんというか・・ねぇ?」みたいな感じで顔を見合わせる二人をみて
ははーんと見当ついたのはコナン。
見捨ててきたか犠牲にしてきたか この二人の微妙な顔からして犠牲にしてきたに一票っ
てとこだな

実に見事な推理です。

それに回答権を白馬に無理やり譲られた快斗はうう・・・とわざとらしくハンカチで目元を拭い
「辰巳は・・・辰巳はな・・・黒羽先輩のお役にたてて嬉しいですと自ら野獣の群れに飛び込んでくれたんだ」

豪快なホラを吹いた。

嘘つけ



うわぁぁ素敵なホラの音があたりに響きわたっているわぁぁぁ



「ああ辰巳腑甲斐ない先輩ですまないっ」
かなり仰々しく天を仰ぐ 
ますます胡散臭い 
だが

「先輩気になさらないでください。あんなんでも先輩の役にたててよかったです」
「・・・」


おーい本気で言ってますかー乾くーーーん

コナンはもちろんのこと、うつろに笑う青子もきっと同じことを思っているに違いない。
白馬はなぜか乾の言葉に「やっぱりそうですか。よかったよかった。」と頷いている。
それらを視界の端でチェックを入れていた快斗は内心苦笑をもらしてしまった。
いやぁ実に良い反応ですねぇ皆様。






「く〜〜〜〜ろぉぉぉぉぉばぁぁぁぁぁせんぱぁぁぁぁぁぁい〜〜〜」
その数十分後、地獄から舞い戻った死者(?)の声にビクリと反応したのはなにを隠そうその場にいた関係者以外の人間だった。

当事者である快斗はもちろんのこと、
コナンも、青子も、白馬も乾も


だれっっっ一人特別な反応は返さなかった。
ただそちらを見て頷いただけだ。
ああ、お前か。
みたいな〜



「お帰り〜辰巳」
「相田君お元気そうでなによりです」

暢気に快斗が言えばその隣の白馬は嬉しそうにホコホコの笑顔で辰巳を歓迎した。
いやお前ら少しは罪悪感感じろよ。

そんな二人に脱力した辰巳はフフ・・と諦めの浮かんだ顔で空を仰いだ。

「母さん・・父さん・・俺・・がんばるよ・・・」
キラリと眦に光るものが見えたのはコナンの気のせいだろうか。


「しっかしお前よく無事だったなー」
「自分で放りこんでおいてしみじみ言わないで下さいっっっ」

辰巳の言葉はもっともである。

「いやぁ死にゃしねーと思ってたし?ま、さすが辰巳ってなっ」
「褒められても嬉しくないんですけど・・・それにあの人が助けてくれなかったら今頃肋骨の二、三本折れてたかもしれないっすよ」
「ほへー地獄に仏だねぇ。って誰その人?」

「ほらあそこに・・・三好さんっ」
後方からのんびり歩いてくる人を指差す。
その人は律儀に高校の制服を着ていた。
コナンは当然ながら、快斗達は私服である。
なぜかって?
汚れたら面倒じゃないか。
破れたらどうする?
ということで、基本的に参加者はラフな私服で来ていた。
(約一名この中に普通に高いブランド物を着ている人間もいるが気にしちゃいかん)


「ん?ああ、辰巳君お友達と会えたみたいだねよかった」

近づいてきた顔は温和で柔和。
特別に秀でたところがあるわけではないのに妙に目を引く顔立ちだった。
辰巳と同じくらいの小さな背丈に、たとえるならば仏さまのごとき穏やかなオーラ。

「うッわーー。拝みたくなる」
「よな・・」

快斗のつぶやきにコナンも同感を示した。
突然初対面の相手に手を合わせられたらビビる事だろう。



「まじで仏にあったんだな辰巳は」
「なら地獄に叩き込んだおめーらは悪魔だな」
「・・・・・・それは言わないお約束♪」

自覚があったのか快斗はうふっ♪とコナンの額を勢いよくつついた。
かなり痛かった。





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多分これで新キャラは出尽くしたと思います。
ええ・・たぶん・・・←この先の展開が読めてない(笑)
今回の新キャラは三好(みよし)君。
ちなみに三好は下の名前です。
苗字は次回出ることでしょう。



04.1.8