落ち込んだ
いつも陽気な俺だって落ち込む日がある。
コナンちゃんにつれなくされてへこむのは日常茶飯事だけれども、意味もなくなんでか落ち込むのって珍しいなー
なんでだろう。
兎に角落ち込んでんだ。
白い花
そんな時の対処法
気分転換にお菓子を作ってみた。
ホイップクリームを混ぜている間だけ幸せな気分になった。
シャカシャカシャカシャカ
このリズムが堪らなく好きだ
でもその後また落ち込んだ
好きな曲を聴いてみた
いつものように感じれなかった
ただ、右から左へ抜けていくだけ
む・・虚しいぞ
仕方ないから散歩に出てみる
春の花がフワフワ咲いているのを見て少し気分が浮上
でも道ばたのつぶされた花を見てまた落ち込んでしまった
誰が踏むんだこんなに可愛い花を。
眉をしかめ可哀想な小さな花を見つめた
白い白い雑草と呼ばれる種類の花
でもよくよく見ると可愛らしい形をしていて結構お気に入りだったのだ
「頑張れ」
誰にともなくポツリと呟いてみる
傍を通りかかった女性がビクリと振り返ってちょっと恥ずかしかった
一体何やってんだか
そのうち気が付いたら近所の大きな公園に来ていた
ここの芝生でごろんと転がってそらを眺めるのは大好きだ
全てを忘れられる気がするから
でも生憎昨夜の雨のせいで芝生は濡れている
残念寝れないね
でも露でキラキラ輝く芝生は綺麗だったから良しとするか
そのままボウと歩いてみる
今度は気が付いたら別の公園に来ていた
この公園はうちからかなり距離がある
なのに何で足が向いたかというと例の名探偵がたまに来ているからだ
そっと遠くから眺めるだけだけど、あんな事になりながらもたくましく小学生ライフをおくるあの少年に力を貰える気がする
見ているだけで幸せな気持ちになれる
おや。残念今日はいない
まあグランド濡れててサッカー出来ないし仕方ないか
思ったよりがっくりしている自分
おどけて軽く肩をすくめてみると今度は自分の意志で歩き始めた
公園の前にあるコンビニ
そこで栄養ドリンクを一本買ってみた
一気に飲み干す
プハッ
うーんなんか元気が出た気がするぞ
たんなる気のせいだろうが、だがせっかく500円もはたいたのだ効いてくれないと悔しい
うんうん500円分くらいは効果があるような気がしてきたぞ
よしよし、じゃあこの調子でもう少し散歩していくか
道ばたには時たま水たまりが残っている
太陽が反射して綺麗だ
たまに虹色に輝いていて思わずしゃがみ込んで覗いてしまった
はは何か子供みてぇ
長靴を履いていたらバシャバシャ飛び込んでいたかもしれない自分に苦笑してしまう
「うーん良くわからんけどちょっぴり浮上した気がするなー」
ぐぐっと伸びをすると元来た道を戻り始めた
コンビニを通り、コナンのたまに出現する公園を横切り自分家の近くの公園の前を通る
「あれ?」
さっきつぶされていた白い花が少し形が整っているような気がした
誰かが助けてくれたのかな?
ホワッと心が暖かくなる
そんな人も世の中にはいるんだな
嬉しくなる
そして自分の家の前に来てビックリした
「なんで・・・」
「なんだよ来たら悪いのかよ」
自宅の前で小さな子供が照れくさそうに待ちかまえていた
珍しい事もあるもんだ
というよりも、
「こっなんちゃ〜〜〜〜ん v v」
こんな嬉しい驚きなら大歓迎だ
「ひっつくなっタダでさえ雨の次の日はしけってて気分最悪なんだからなっ」
どうやらコナンも調子が出ないらしく、気分転換に会いに来てくれたらしい
「お前と怒鳴りあってればいつもの調子に戻るかと思って」
なんて可愛いことを言ってくれちゃったv
玄関に入るとさっきまで何とも感じなかった甘い匂いに幸せな気分を感じた。
隣りにコナンがいるおかげかな
「うふふ〜愛でしょ愛っ俺も丁度コナンちゃんに会いたかったのよぅ」
「此処に来る途中に水たまりの泥車に跳ねられた。」
ムスッと言う
「酷いねーその車ちゃんとナンバー控えた?」
「そこまでする気になんなかった。此処にくるまでに公園よったら地面ぐしゃぐしゃで靴汚れた」
「そりゃーそうじゃない?」
「此処にくるまでに思わず栄養ドリンク飲んだぞ俺は」
「あっ俺も飲んだっっ気が合うねぇ」
「此処に来るまでに・・白い花を見つけた」
その言葉にふとさっきの雑草を思い出した
別に他にも沢山白い花なんてあった
でも自分と同じ感性をもつ彼の事だきっと同じ物をみて同じ風に感じたような気がする
「それってつぶれた白い花?」
「なんだ知ってるのか?見てて悲しくなってきたから整えておいた。でもやっぱり復活は不可能だな。なんで踏むかなあんなに頑張って生きてる花を」
小さく憤るコナンが愛しい
「うん。本当だよね。でもねコナン。行くときに見かけたつぶれた花が帰る時に整ってて俺すっごく嬉しかったよ?」
だからどうしたと言われ兼ねないがどうしても言いたかった
「そっか」
でもコナンはそんな事いわなかった。
小さく微笑んだ
嬉しそうに
照れくさそうに
そんな事で胸のモヤモヤが消える気がする。
朝からの落ち込み気分がスゥと抜けていく気がする
「ねっ後でもう一回あの花見に行こうか?」
「そうだな」
コナンがホワっと微笑んだ
だからどうと言うわけではない
でもこんな何気ない気遣いがうれしくて、何気ない会話が楽しくて、
一緒にいれること、傍に入れることがとても誇らしい
こんなに綺麗な心をもった小さな探偵君が自分の傍に居てくれるのだと誰彼かまわず自慢したいくらいに
「なあ快斗」
「ん?」
「さっきから甘い匂いすんだけど?」
「ああ、朝に作ったお菓子があるんだ。食う?」
気が済むまで作り続けたからかなり大量にある。明日学校に持っていこうと思っていた
「ん・・・少し貰う」
いつもなら要らないというコナンが珍しく頷いた
それが無性に嬉しい
「んじゃおいで一緒に食べよう?」
二人でいれば朝はなんとも感じなかった好きな曲はやっぱり好きだと感じるし、お菓子も美味しく感じる。
そして、今度は二人で小さな小さな白い花を見に行こう。
今度はきっと悲しい気分になんてならないはず
だって二人で見るんだから
2へ
|