コナンさん+快斗君ハッピーバースデー&当サイト3周年記念小説
珍しく。KID×コナンっす
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14. 「・・・・・・・なんであいつが持ってんだ・・・」 激しい疑問を誰にともなく言ってしまったのは、きっと彼が非常に動揺していたからではなかろうか。 コナンと哀がにっくき怨敵(笑)を探し始めてからすでに数時間たっていた。 カチャカチャとパソコンを叩く音と、パラパラと資料をめくる音しかこの数時間この部屋には響いていない。 それだけ二人が集中していると言うことだ。 そんな静かな空間にチリリリンと可愛らしい電話の音が鳴り響いた。 二人してピクリと顔を起こす。 次の瞬間には電話に向かって走り出していた。 「博士かっ?歩美は!!?」 電話の相手が名乗る前に勝手に質問し出すコナンに受話器取り合戦にタッチの差で負けた哀は息を潜め全神経を耳に集中させていた。 『これこれ新一。ワシじゃなかったらどうする気だったんじゃ。歩美ちゃんならまだ目を覚ましておらんよ。』 「まだ・・・・」 『医者の話では、精神的ショックを受けたのが原因だろうと。外傷はなかったそうだ』 「そうか」 頭を打った訳ではないと知りほんの少しホッとしたが、まだ目を覚まさないのは由々しき事態だ。 『それでとりあえず歩美ちゃんのご家族に連絡を、と思ったのじゃがうっかり手帳を家に忘れておってな。』 「って博士。すでに3時間もたってるじゃねーか。」 「まだ連絡入れてなかったなんて・・・」 二人に非難され博士は焦ったような声を出した 『いや。かなり動揺しておったようでな。とにかく泣き叫ぶ子供たちを静めるのに手一杯だったんじゃよ』 ああ、元太と光彦か。 「悪い博士。あいつらまでおしかけちまって。」 『いやいや。それはいいんだが、とりあえず歩美ちゃん家の連絡先を教えてもらえないかのう』 「ああ。家の電話番号なら覚えてるぜ。メモはいいか?えーっと」 電話を切ってからの静寂といったらもう先ほどの比ではない。 とにかく2人とも目が据わっているし、表情は暗いし、空気は怒りに満ち満ちているし・・・ とても常人は近づきたくない――――― 「うっかり殺しても・・・正当防衛かしら?」 「いやそれはやべーだろ」 いや。近づいちゃいけない空間だった。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 15. 「目暮警部ですか?僕です。工藤新一です」 そんな電話をかけたのは博士から電話がかかってきたすぐ後だ。 居場所を突き止めるにしても捕まえるにしても警察の手が必要なのに変わりない。 とくに捕まえた後など絶対に必要。 一言協力を要請してからのほうがいろいろとやり易いのは確かである。 とくに爆弾男が関わっているのなら尚更のこと。 『おお。工藤君。久しぶりじゃないか。いったい今どこにいるんだね?』 「ご無沙汰してしまってすみません。現在位置は明かすことは出来なくて心苦しいのですが、どうしても目暮警部に伝えておきたいことがありまして」 『明かせないって・・また物騒なことに関わってるんだろう。ただでさえ君は事件に合いやすいだからーーー』 「いえ。それは置いておいて、今、目先の問題を解決させて欲しいのですが」 『そういえば何か伝えたいこととか言ってたな。で?』 「実は先ほどコナンから連絡がありまして」 『コナンくんから。君たちは連絡とりあってるのか』 「あ。いえ。今回はたまたまです。えーっとそれで、さきほどコナンの友人が車に引かれそうになったそうで、あ、いえ。外傷はないのですが、未だ目を覚まさない状態でして。それでその時車に乗っていた男について詳しくきいたところどうも・・・・」 日高成治と霧島雄吾 『?誰だねそれは』 「ピンとこないのも無理ありません。ですが片方は目暮警部たちもかかわりがあったはずです。テロの残党ですよ」 『テロの・・・・・ちょっと待ってくれないか。調べるから』 「ええ。その際そのテロ組織がどれだけの火薬を残していたかも調べて頂きたいのですが」 『火薬というか。ああっっそうかあの時の爆弾テロのっっっ』 「ええ。たぶんそれだと思います。」 『分かったすぐに関係者を呼び出して資料を用意させる。しばらくこのまま待っててもらえるかね』 「はい。お願いします。」 横目でそれを見ていた哀は、 「あら。たまには役立つじゃない警察も」 実に辛らつな意見をこっそり呟いていたりした。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 16. 「佐々木さーーん。早く行って良い場所とっておかなくていいんですかーー?」 目の前を早足で歩く女性の髪がふわりと揺れる。 パサついているようで意外と柔らかなその髪は彼女の持ち前のバイタリティーを表すかのごとくさっぱりショートだ。 その髪の持ち主は難しい顔で手持ちの古い新聞を見ながらひたすら歩いてゆく。 たまに後ろの青年が転びそうなところを助けたり目の前の障害物をどけたりしなければとっくの昔に彼女は傷だらけになっていたことだろう。 ズンズン進む先輩に置いていかれないよう、青年は必死でひっつく。 そして先ほどから何度も繰り返した質問をくどいくらいに口にした。 周りの人間は慣れたもので、煩いなぁと眉をしかめはするものの、好奇心にかられて二人を見たりはしなかった。 現在二人が歩いているのはとある出版会社の廊下。 雑誌の記者である二人は仕事部屋から外へと向かっているところだった。 だが、突然何を考えたのか彼女がポツリと独り言をつぶやき何故か書庫室へ向かい昔の新聞をあさりだしたのだ。 何事か?と見守る青年の前でそう昔でない新聞紙を取り出すと満足そうに頷いた。 それからゴミ山と化した地方のかわら版をあさりだした。 いやーこの中から目的のもの見つけるのは無理だと思うんですけどねぇ 首をかしげそれを眺めていると、そのうち探し物を諦めたのか彼女は突然立ち上がった。 (ああ、よかったやっと外へ出てくれるんだ) と思った彼は非常に甘かった。 俺はワンコですとばかりに後ろからついていった彼は途中で彼女が向かう先が外で無いことに気がついた。 そして彼女との攻防が始まったのだ。 「佐々木せんぱぁぁぁぃ。外ーー外いきましょうよーーー。そっちにあるのはコンピューター室ですよーー関係ないでしょーー仕事行きましょうよーーー」 完璧無視。 「まだ時間はあるとはいえ、今回のターゲットはKIDですよー。ぜっっっったいこの時間でもかなりの人数が場所取りしてると思うんですよぉ」 聞く耳もたないといったように前だけを見つめ続ける。 「佐々木さーーーん」 聞いてますかーーーー? そこでようやく反応が返ってきた。 「あぁぁぁぁぁぁっ。もうっうざいわよあんたっっ。いちいち語尾を延ばさないでくれる!!」 「ええぇぇーだって佐々木さんがーー」 「うるさいっっそんなに気になるなら一人で場所取りでも相撲取りでもなんでもすればいいでしょ!!」 「相撲は関係ないんですけどー」 「い・い・か・らっ。私は今ひっじょーーーに忙しいの。構わないでくれる!?」 「だって編集長が煩いんですよ。佐々木さん一人にすると何やらかすかわかんないからひっついとけって」 「なんですってーーーーーーー!!」 「俺じゃないですって。黒崎編集長に文句言ってくださぃっっ」 慌てて手を振って今にもなぐってきそうなこぶしを避ける青年は、年齢は20代後半ごろ。 さっぱり首元で刈った髪は黒く、いまどきの青年にしては身だしなみが整っていて佐々木好みだった。 だがあいにく言葉遣いはイマイチのようだ。 後輩にするならチャラチャラしたやつは好かん!! という彼女が面接で一発合格にしたのだから、口調がこんなんでも誰にも文句は言えないが。 (さぎよ詐欺だわっ面接のときはもっときっちりした喋りだったのにーーーー) 普通そういうものだ。 「それで佐々木さん何がしたいんですかー?」 「調べ物よ。カメちゃんは知ってるかしら。怪盗KIDから宝石を取り返したことのある人間を」 「えー?そんな人いましたっけ?」 亀田(通称カメちゃん)は佐々木の言葉に不思議そうに首をかしげる。 そんなことした人間がいたならそいつは英雄だ。 「あの」KIDから宝石を取り返すなんて。 警察にだって出来ないのに。 「地方の新聞にしか載っていないのよね。だから知らなくても無理はないと思うわ。」 「ええっ本当にいたんですかそんな人?」 「いるわよー驚いた?」 「驚くに決まってるじゃないですか。だいたいなんで全国版にしないんです?すっごいスクープじゃないですか」 亀田の反応に気をよくしたのか佐々木は快く話してくれた。 「それがねぇなーんか上のほうから圧力がかかったらしいわよ」 「は?」 「ほら。結局は警察の失態じゃない?それを一般人が取り返したなんて恥の上塗りよ。たぶんそっちからの圧力でしょ」 「はあ。なるほど」 世の中って汚いっ と言うほど純粋じゃない亀田は納得したと頷く。 佐々木も肩をすくめそういうものよね、と諦めたように笑う。 「でね、私としてはその人物とコンタクトを取っておきたいの。KIDを間近に見た貴重な人間じゃない?」 「それを調べていたんですか?」 「そ。でもね写真は載ってるんだけど、名前は載ってないし詳細も載ってないしお手上げよ」 首を振って諦めを示す佐々木に 「顔意外に分かっていることはなんですか?」 興味を持ったのだろう亀田が嬉々として尋ねた。 それに佐々木はニマっと笑って今まで隠していた一番の驚きを教えてあげた。 「その人物は、間違いなく小学生よ」 ババーーーンと写真の載った新聞を突きつけながら。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 17. ナンバーが照合できたところで、車の持ち主が分かるだけで、車の現在位置が分かるわけでは無い。 もちろん二人が持っている情報網をフル活動させれば、たった一台の車を捜し出すことなど容易・・・・・ と言いたいところだが、そうは行かないのが現実。 そんな簡単にいけば刑事が血眼になって犯罪者捜しなどしなくてもすむのだ。 突発的に胸に湧き上がる、闇雲に外へ飛び出し、捜しまわりたい衝動をなんとか押し殺し、二人はひたすら焦る気持ちでパソコンを操っていた。 「もどかしいわね」 こんなとき、自分の無力さを思い知る。 時間がたてばたつほど敵の移動距離は伸び、探索が困難となる。 「警察機関が動いてくれれば・・・」 自分たちには不可能な人海戦術が使えるのだ。 しばらく待てと言ったかと思えば慌しく爆薬の情報だけ告げ『今から緊急会議。』と電話を切ってしまった。 救いといえば 「詳しい情報が分かったらこちらから連絡いれるから」 と言ってくれたことだろう。 目暮警部は事態を深刻に受け止めてくれたようだ。 たぶん凶悪な爆弾テロ犯として注意して対応してくれることだろう・・・・たぶん。 「あいつらが何をするためにタッグを組んでるか知らねーけど」 「ただの友人関係かもしれないわよ」 「・・・・そんな信じてもいねーこと口にして楽しいか?」 「気はまぎれるわね」 「・・・ソーデスカ」 それだけ情報の無さにいらだっているのだろう。 また沈黙の嵐から数分のち。 ボソリとコナンが呟いた。 「爆薬の量はビル一個破壊するほど・・・・。テロ起こすには十分な量だよな・・・」 「気が散るからそういう話題はやめてくれないかしら」 「あの二人の焦り具合からして犯行は今日って気がしねーか?」 そこまで口にするとようやく哀がパソコン画面から顔を上げた。 「あいにくそこまで見ている余裕はなかったけれど、どうしてそういう発想がくるのか聞かせて欲しいものね」 「深い理由はねーよ。ただ、犯行前は気が立つ。それと・・・・・」 持っていた一枚の紙をピンッと哀へと向けて放った。 「面白いことにな、今日があいつらテロ軍団の設立記念日・・・・なんだとさ」 偶然だと思うか? ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 18. 「なにこの人混みーーー」 わがままな先輩の叫びに新人のはずの後輩はすました顔で答えた 「そりゃキッドの現場ですからこのくらい普通でしょ〜?」 「だってまだ4時間も前なのよっ」 「と言うか後4時間しか無いの間違いですよーだいたい早く場所取らないとなくなるって言ったじゃないですかぁ」 「うう・・・あなどってたわ。キッドの人気を・・・」 悔しそうに呻きながら人混みを掻き分け場所を確保する。 「くっそー黒崎の奴さえこなければぁぁ」 「黒崎編集長って最近いらしたんですか?」 「そうよ。栄転だかなんだか知らないけどキッドのネタで成り上がったバカ者よー!!!」 「いやぁ旬を先取りしたすばらしい人じゃないですかぁ」 「なによカメちゃんあいつの味方なのっ」 「いえー別にそーゆーわけでわぁ」 「まったく黒崎のせいでこんな現場にこさせられてー」 はらたつー 「一番行動力ありますからね佐々木さん。」 その言葉にキッと睨みを飛ばされた亀田は自分が間違えたことに気が付いた。 「行動力?とんでもないっっ。あいつなんて言ったと思うっ?文才がなくてもネタがよけりゃなんとかなるだろ・・・ お前KIDの現場行ってこい。うっだーーーーーむっきーむぅぅかぁぁぁつぅぅぅくぅぅ」 「・・・」 ああ。確かに 佐々木さんの文はどうかと・・・黒崎に内心同意する。 あの文は小学生にも劣るかもしれない 「これでよしっと。ずぇったい黒崎の奴をギャフンと言わせてやるんだからっ」 「ものすごい死語を口にしますねぇ。」 佐々木さんって実は幾つなんだろう? そんな亀田の内心も知らず、ビデオカメラの設置を終えた佐々木は満足気に頷くとカメラを覗きこんだ。 「カーメーちゃぁぁん」 「はいはいなんですかー」 今度はなにを見付けたのやら これだから佐々木さんの下っぱはやめられない。 大変だけど毎日がクルクル回ってて楽しい。 言われるままにレンズを覗いてみれば、人ごみから少し外れた町並みを写していた。 駄目じゃん。 KIDを狙うならもっと上空を映さなくちゃ・・ そう思って勝手にカメラの方向を変えようとして佐々木に止められた。 「ねぇ子供いない?そこに」 「子供・・・ですか?」 そりゃ親子連れが大量にいますからねぇ まだ4時間前だってのに今から待つつもりでしょうかねー? と口にしようとして佐々木の言いたいことにようやく気がついた。 「・・・この子ってもしかして」 ばっとカメラから顔を上げ佐々木と目を合わせる。 「そうよねっそうよね見間違いじゃないわよね」 願望が見せた幻かと思ったらしい佐々木に間違いないと亀田は頷いた。 「探してたあの写真の子供だわ!!」 佐々木はカメラを放り出して走り出した。 「佐々木さぁぁぁん」 置いてけぼりをくらった亀田は適当にカメラの位置を直し、タイマーセットを一応しておくと佐々木の後を追いかけた。 一人だけ行くなんてずるいですよーーーー ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 19. 「ちょっ待ってそこの子ーーーー」 佐々木は必死に走っていた。 後ろで横っ腹を押さえながら一生懸命自分を追いかける後輩の存在なんて全く気にも留めず、ひたすら前だけ見つめていた。 そうしないと今にも見失いそうなスピードで対象は移動していたのだ。 「ああっこんなことなら自転車かっぱらってくるんだったぁぁぁ」 心の叫びを盛大に声に出すと後ろから途切れ途切れの突込みがきた。 「窃盗は・・・駄目・・です・・よぉぉぉぉ」 疲れ果てているのならしゃべらなきゃいいのに、それでも突っ込みを忘れない彼に拍手。 「カメちゃん。あんた意外と根性あるわ。それだけは認めてあげるっ」 「あ、りがとーーございます・・・・」 はひはひ、と息を継ぎながらなんとか礼を言い終えるとしばし足を止めた。 対象は今スケボーで恐ろしいスピードで移動していた。 スケボーで出せるスピードでは無い。 さすがKIDから宝石を取り返しただけはある。 と変な感心をしながら、佐々木は恐ろしいほどの体力で走り続けた。 「せんぱぁぁぃ。リタイヤしまーす。ついたら連絡してくださぁぁぁぁぁい」 「やっぱりあんた根性なしっもーダメダメ!!」 「はぁぁすみませぇぇん。根性なしでいいんでー休ませてくださぁぁぁい」 「勝手にしなさいっもぅっ見失っちゃったじゃないっっ。」 キョロキョロと見回し人ごみの中から小さな子供をさがす。 何せ敵はとんでもない速さで移動している。 それを計算にいれないと気がついたときには追いつけない距離まで引き離されてしまう。 「あーーーもうっっ」 苛立ち紛れに叫べばかなり後ろで膝に手をついていた亀田が叫んだ。 「先輩っあっちです。あのコンビニの角を右折しましたっ。後をお願いしますーー」 「でかしたっ。もーあんた役に立つんだか立たないんだかわかんないわっ。とりあえず体力つけなさいよーっ落ち着いたら連絡いれるから電波通じるところにいなさいっ」 「はいっっ」 叫びながら走り去った勇ましい佐々木の姿にかなり感動しながら亀田は嬉しそうに返事した。 さて、一方そんな騒ぎを知らないターゲットの子供はといえば・・・・ 「灰原ーー車はあったけど本人がいねーんだけどーー」 『その位置は・・・デパートね。』 「ああ。」 『暢気に買い物とは・・いいご身分ね』 一気に低くなった哀の声音にコナンは身震いした。 「ま、まあ人間買い物くらいするだろう。それより発信機とりつけておくからお前もうパソコンかかりきりになんなくていいぞ」 そういうとおもむろに、持っていた発信機を車にペタッと取り付け何食わぬ顔してその場を去った。 子供だから怪しまれない行動である。 『ようやく開放されたわ。それじゃあ私は一度吉田さんの様子を見てくるから』 「頼む。でもよーもしかして俺スケボーで車を追いかける羽目になるのか?」 『そこが最終地点じゃなければそうなるわね。完全にターゲットが目撃できたらすぐに連絡してちょうだい。速攻そちらへ向かうから』 「おー」 恐ろしいほどの情報網と根気を発揮して、なんとか車の現在位置を突き止めたコナンと哀。 だが現在位置、というのは現在の位置であり、時間とともに変わるものである。 情報をくれた人間にそいつを追跡してくれと頼むのは無理。 なので次々と新たなる情報を手に入れ方向を確認したのち、片方が現場に出向く方針となった。 「現地着っ。車なしっ」 『そこから北西へ移動したそうよ。今隣町まで動いたわ』 「了解っ」 スケボー片手に電車に乗ったりタクシーに乗ったりしながらどんどん近づいていったコナン。 それはもう。並々ならぬ苦労である。 「坊やお母さんとはぐれたのかな?」 優しそうな微笑みで迷子だと勝手に判断し警察へ連れて行こうとした親切な(実に迷惑)お姉さんやら。 「おう。ボウズ。さすがにガキ一人をタクシーに乗せるわけにはなぁ。親はどーしたんだ?」 気の良いタクシーの運ちゃんは思ったより簡単に作り話を信じてくれて次の現場まで飛ばしてくれたが・・・いろいろ大変だった。 もちろん怪しい変質者やら、もしかすると誘拐犯だったのかもしれない人間とも遭遇してコナンは結構疲れていた。 今度はスケボーで車を追いかける羽目になるかもしれない・・・ そう思うだけでずっしり体が重くなってくる。 「うあー。とりあえずこの建物ン中調べないとな・・・」 車が動けば発信機で分かる。 それまで車が止まっている前にある大きなデパートの中を探索・・・ですか・・。すっげー骨が折れるっていうか無駄足っぽいんですけど・・ やらないよりマシ。 運がものすごーーーーーーーーーーーーくよければ見つかるかもしれない。 その可能性が1パーセントでもある限りやるのが探偵なのだ。 「うっし頑張りますかー」 それから数十分後 長いながーーい追跡劇は幕をあげるのだった。 次へ |