「あれ?そーいえば中森警部この間ロンドンに行くとき有給使ったって言ってな かったっけ?」 「ああ、あれか」 有給を使ってまで偽KIDを捕まえに行くといきまいていた中森に(どこまでKID好 きなんだ・・・)とか思わないでもなかったが。 「あの時な、あれは帳消しになった」 「は?」 どことなく遠い目で語る中森にコナンは素で問い返してしまった。 「どうやら手柄を立てたとロンドンから礼の電話が届いたらしく、まぁ・・・そ ういうことだ」 あの偽KID(ナイトメア)の変装を見破った件だろうか? 確かに手柄なのかもしれない。 もうあれ以上偽KIDにやられるわけに行かないロンドンの警察からしたら見破っ て追い払ってくれた中森はヒーローだっただろう。 「私としてはだな、未だ使わずあまりまくっている有給を復活させて貰っても 嬉しくもなんともないのだが」 いっそ金一封が出たほうが大喜びだ。 そんな大人の事情をぶつぶつ零しつつ、 「そういうわけで初有給。今度は消されることは無い!」 喜ぶところなのだろうかそこは? 胸を張ってハッハッハーと笑い出した中森にコナンも笑うしかなかった。 「どっちにしても中森警部。青子お姉ちゃんが心配するから連絡だけは入れて おかないとね。」 「おおっそうだな。」 「よかったらこの携帯使って。海外でも使えるんだよ。」 「おおっそうかっ。ここは海外だったな」 うっかり忘れそうだがそうなのだ。 パスポートも無しで国外脱出。いいのか?ホントーーーにいいのか? なんか不安でたまらんから今度快斗が来るときに持ってきて貰うことにしよう。 と強く心に誓う。 しかし『江戸川コナン』のパスポート自体偽造以外の何物でもないのだが。。 そこは気づかないフリが一番なのだろう。 「さて、とりあえず。あー青子か?うむ、少々立て込んでいて今日は帰れそ うにないのだが。この件が片付くまで帰れないかもしれないが心配せずに留守番 を頼む。ん?ああ、私は大丈夫だ。青子こそ1人で大丈夫か?決して知らない 人間にドアを開けるんじゃないぞっっそれから何かあったらお隣に助けてもら って・・・・ぬぬっ心配して何が悪いかっ。いいからとにかく気をつけるんだ ぞ。じゃあな。」 おもむろに自宅の電話番号を打ち込みまったく嘘とは言い切れない説明を始める 。 そう、一言も「仕事」とは言っていない。 だがあの言い方では仕事と思うことだろう。 無意識なのだろうか?解らないところが中森である。そしてやっぱり最後まで居 座る気満々のようだ。 岩のごとく硬い決意。 それを打ち砕くには・・・強行突破あるのみ、だろうか? なんて物騒なことをコナンが考えていると目の前に携帯がぬっと差し出された。 「コナン君、ありがとう。君も快斗君に電話するだろう?きっと心配している」 もしやゆっくり話しが出来るようにと中森は自分が先に電話をしたのだろうか? うう、やっぱり読めない。 「うん。そうだね。・・・・もしもし快斗兄ちゃん?」 ―――――――――――――――――――――――――――――― コナンからの電話が来るまで快斗はそれはそれは心配でたまらず。 まず最初に 「哀ちゃーーーーん!」 彼女のお宅へと駆け込んでしまった。あとから思い返せばなんてチャレンジャー だったんだろうって思うよ、本当に。 「どうしようコナンが居ないっ」 「・・・彼も子供じゃないんだし1日、2日いなくなっても不思議じゃないわよ 」 どこからどう見ても小学一年生の彼を子供じゃないんだしと言いますかお嬢さん っ。 たぶん快斗の相手がめんどくさいのだろう。ものすごく対応が適当だ。 「だってさー俺さっきまでコナンちゃんの為に帝丹高校行ってたんだよ?普通結 果が気になるもんだろ?」 「ああ、なるほど。だからあなたそんな格好してるのね」 未だうっかり帝丹の制服のまま動いていた快斗。 もしも毛利蘭あたりにでも見かけられたら言い訳の仕様の無い状態である。 「うー。だって慌ててたから着替えるの忘れてて。うう、コナンちゃんもしかし て変な人に誘拐されてたり・・・どっかでとんでもない事件に巻き込まれてたり ・・してそうで怖いよーー」 あながち間違っていない推理である。 誘拐され、どんでもない事件に巻き込まれ中なのだから。 「まぁ彼ならどんな状況でもどうにかするわよ。」 いつから灰原哀はこんなに気楽な言葉を口にするようになったのだろうか? もしやコナンの影響? と疑いたくもなってくる。 真実はたぶん以前コナンが絶対絶命の状況で記憶を失いつつも暢気に楽しく生き ていたからだろう。 あれを考えれば今の状況なんて全然焦りもしない。 「あれで死んでないのだから、そう簡単に彼が命を落とすこともないでしょ。彼 の悪運は世界でも指折りと私は思っているわ。」 言い切った。 言い切ったよ哀ちゃん!! 心配するのも無駄無駄。と、彼女の空気が言っている。 「そっか。そうだよね」 言われてみればそんな気がする。 コナンだし。今頃暢気にお茶しているかもしれない。 そのうち連絡くるかな? 「じゃとりあえず俺は明日のテストをどうにか乗り越えて新一君の進級をゲット することだけ考えておけばいいかー。そっかー」 いきなり気楽になった快斗に哀はコーヒーをひとすすり。 ここまで信じられてしまう彼の悪運って、ものすごいわよね。 そんなこんなで快斗はのんびり我が家でお茶なんかすすっていたそのときその電 話はきたわけだ。 『・・・・と言う訳でーーよろしくね快斗にーちゃん』 おばさんにも心配しないでって伝えてねー。 かわいらしさ全開のコナンとの会話はまるで夢のようだった。 そしてその内容も夢のようだったのは言うまでもない。 「ごめんねー誘拐されちゃった♪」 なんて元気に言わんでください!! まぁ無事そうで何よりだが。 事情を聞けばどうやら今回はKID(俺)関連。 キャーーーなんでそのお子様を巻き込んでくれちゃったのよーーー。と、内心叫 びまくりだった。 「国宝を取り返せって言われてもさぁ」 KIDさまは神様じゃないんですよー?ごぞんじー? つづく 小説部屋 |
どもーすんません、すげぇ間があいちゃいましたね。
今回はいろんな意味でフォロー編
前回突っ込みきたので適当にフォロー。(←適当かよ!)わかる方だけわかってね♪
中森警部。愛してるぜ!と今回もしみじみ思いました(笑)
2007.10.15
By縁真