俺には現在ひっじょーに大好きな人がいる。
何度も間違いだ勘違いだと思おうとしたが最近それも諦めた。
だってその人を思いだすだけで胸が熱くなるし、ドキドキするし。
遠くから眺めるだけで心臓張り裂けそうなくらい鳴るし叫びだしたくなるし。
目の前にいたりなんかしたら抱きしめたくなってしまう。
更には自分をその瞳に映されたら・・・
声をかけられたら・・・
もう・・・心臓止まっちゃうかもね。
実際固まった過去が何度もある←情けない
何百回とそんな思いを繰り返せばいい加減開き直るしかないってなもんだ。
あーそうさ、俺はあいつが好きさ。悪いかコラァァア!!
最近それができるようになった。
進歩だよなぁ←そうか?
俺の最愛のヒトってね、すっっごく可愛くてね、きれいでね。そんでもってチョーーかっこいいのっ。
誰もが惚れちゃうかも。
でもね、意地悪だし、へそ曲がりだし、鈍感だし、猫被りだし、それに・・・・小学一年生だし(いや、元は高校生だけどさ)・・男だし・・・・
ね?悩むでしょ?フツーありえないでしょ?
高校生男子がお子様に!?って。
しかも探偵だし。
俺怪盗だし。
どーすんのよ?
もしそんな思いを伝えたらそれを盾にこき使ってくれちゃうような無体なヒトだし・・・
でもそんなところも好き←末期だな
そんな愛するその人と昨日久しぶりに会ったんだ。
恋の罠しかけましょ 1
それはお仕事帰りのことだった。
滅多に現れない名探偵が中継地点にちょっこり立っていた。
嬉しくて嬉しくて。
たまらなく嬉しくて俺は思わず迷わず名探偵のまん前に降り立った。←無防備すぎ
「こんばんは。名探偵。今宵貴方と出会えた幸運を夜空に輝く星達に感謝を捧げたい気持ちでいっぱいですよ」
「そうかい勝手にサザケテろ」
第一声からきっついお言葉。
でもいいの。どんな言葉でも返事があるだけで幸せ。
「・・・・えーっと。私に何か御用が?」
「お縄にする以外に用事があると思うか?」
気が向いたから来ただけだろう。そう思いつつも『まさか俺に会いたくて!?』なんて期待を持って尋ねてしまう自分が情けない。
まぁそれに対する返事も予想通りというか予想以上に冷ややかというか。
「いえ、まぁそうですよね。ハイ。すみません」
なんでか謝ってしまう。
そんなチョー腰の低い俺に対し名探偵はふぅと深い溜息をもらした。
え?呆れられた?
スッごい気になるため息なんですけど!!
慌てて顔をあげて彼の顔をのぞいてみれば
困ったような表情を浮かべていた。
何故困る?
俺が謝ったからか?
それとも・・・・もしかしてさっさと石を返さないから?
思い至り慌ててポケットから今日の収穫物(野菜ではナイ)を取り出し満月にかざして見る。
ウン。これまた予想通り。
でもいいの。今日はなぐさめてくれる(冷たい言葉しかはかないけど)コナンちゃんがいるから。
それだけで快斗君は元気マックス!
溜息を飲み込みキュッと手のひらに無用となった石を握りしめる。
「はい名探偵。またお願いできますか?」
出来るだけ穏やかに微笑んでみせて石を差し出せばコナンは眉をよせた。
あれー?これじゃなかった?
んじゃなんで溜息?
「自分で返せ。それから笑うな」
きつっ。笑ったらだめですか?俺が笑うと眉しかめちゃうデスカー!
ガーーーンとショックを体現したようによろめいてみせた俺の耳に囁くような声が届いた。
「すっげ辛そうだから」
・・・・・・え?・・・・ええっっ?
その瞬間の驚きと感動をどう伝えればいいだろうか・・・。
歌うならコレだ。
ハーレールヤーーー!!←本当に歌ったらコナンは即座に去ることだろう(笑)
石がハズレだった事に落ち込んでいたのは本当。
それを笑顔で隠したのも本当。
でも名探偵のそのひと言で元気を取り戻したのも本当。
すごいよコナン。
たったひと言でここまで俺を復活させちゃうなんてさ。
いつも次の日の朝まで落ち込んでたりするのに。
表には出さないけどウジウジしたりしてるのに。
「名探偵!!」
あまりの嬉しさに止まらなくなってギュウゥゥゥゥとコナンを抱きしめた。
「心配してくれてありがとっっっっ」
「うっとおしいから離れろコソドロっ」
「だって嬉しかったからっ」
「はいはい」
子供の体温と柔らかさを充分に堪能した後ようやく離れた俺は今度こそコナンの溜息の原因を探る気満々だった。
「なんかさ。気にかかることでもあるのか?」
心配してくれたお礼に聞いてやるぜ?なんて言ってみれば
「たかがあの程度で礼なんかいらねぇよ。っつかお前勝手に俺のズボンに石入れるなっ」
「あれ?バレちゃった」
うまく返してくれるだろうと思い預けたのだが。
いつもなら何だかんだ言って引き受けてくれるのになぁ。
「・・・・まぁ仕方ねぇ返しといてやるよ」
そうそうそんな事言ってさ。
だが今夜はちょっとばかし続きがあった。
「代わりに明後日の土曜俺とデートしやがれ」
後に快斗はコナンに語る。
俺さ、その瞬間鼓動が止まるかと思ったよ。
嬉しすぎて。
つづく
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