恋の罠しかけましょ  2




青子ね、最近気がついたんだ。
この気持ち・・。

「うへへ・・・」
「何見てるの快斗?」
「あー?俺の大事な人♪」
「・・・ふぅん・・・」

最近快斗の様子が変だった。
なんだか浮かれてるような・・・でもたまに落ち込んでたり、ヘラヘラ笑ったかと思えば真剣な顔で悩みだしたり。
いうなれば百面相。
あんまりニコニコ顔以外を表に出すことのない幼なじみだったからちょっと心配してた。

だってあからさまに変なんだもん。

明らかに変なんだもん。

ねぇ・・・その写真の人。すっごい小さな子に見えるんだけど・・・青子の気のせい?

それとも快斗の気がふれてる?


「快斗ー」
「んー」

振り返った顔はでれでれにやに下がっている。


「バーカ」
「はぁぁぁ?」

青子ね。
最近気づいたんだ。自分の気持ち。

ずっとずっとずぅぅっとこの幼なじみに恋心抱いてた。
最近・・・・・そんな自分がアホくさくなってきた。

「なんでこんなのに惚れてたのかなぁ」
「ちょっと前までの黒羽君は確かにまともに見えなくもなかったから仕方ないですわよ」
紅子のなぐさめ(?)に青子はブハッと吹き出した。
なるほどなるほど。
まともに「見えなくもなかった」わけか。

紅子の目にはどう映っていたのだろうか。
「ふ・・光の魔人と出会う前は闇の世界に光り輝く一条の光。強くてそれでいていつ消えてもおかしくないくらいにもろい。そんな光だったのに」
その儚さと強さに心惹かれていたと言うのに。

今では

「ただのバカね」
「青子には変態に見える・・・」

一枚の写真には小さな女の子の姿が。
可愛らしいドレス(パーティーか何かだろうか?)を着て恥ずかしそうにそっぽ向いているそんな姿が映っていた。

快斗ってロリコン?









「代わりに明後日の土曜俺とデートしやがれ」
そういった瞬間KIDの体が強張ったのが解った。

「・・・・・」

「嫌なのかよ?」

ムリヤリという自覚はあるが断られるとムカつく。
そんな自分勝手なコナンの思考もなんのその。天下の大泥棒はカチンコチンに固まっていた。
いつもなら一言一句聞き逃さないはずのコナンの声すら聞こえないくらいに。

「おい?」
「・・・・・・」
「おいKIDっっっ!!」
「・・・・・・・」

怒鳴ってもまったく反応しない。
どーなってんだ?

コナンは考えた。
こりゃーだめだ。←諦めはやっ

「仕方ない他あたるか」

溜息とともにもれ出た小さな呟き。
それにどんな大声にも反応しなかった怪盗がはじかれたように動き出した。

「まった!!他?他って何っ?」
物凄い形相でつめよってくる。なんなんだお前は。

「さっき名探偵・・・・・で・・でーとって・・・・」
「ああ言った」
「俺と?俺でいいの?」
「ああ、お前が実に適任だ」
「・・・うれしい・・といっていいのデショーカ?」
「褒められてんだから喜べ」
「わーい・・・」
「なんだそのどーでもよさげなのは」
「なんか多分私が求める事とは大幅に違っているような気がヒシヒシと感じられるものでつい」

一体何を求めていたのやら。
まあよくよく考えれば説明は一切していないのだ。
いきなり男からデートしろと言われたらそりゃ驚いて思考も止まることだろう。
コナンは「うむ」と頷いた。

「とりあえずお前の求めるもんが何かは解んねーけど説明だけはさせろ。このままじゃいきなり男をデートに誘う変態じゃねーか俺」
ボソリと付け加えられた後ろのひと言がかなり胸につきささったKID。
大丈夫。
今の彼は開き直っているのだから。

(フーンだ。変態ですみませんねぇぇぇぇぇ)




つづく



By縁真