手を伸ばせば…  

「あのな、オレ達はまだ小学生なんだ」

「うん…?」

「もっと、甘えてもいいと思うんだ…」

「うん…? 誰に?」

「親、兄弟にだよ!」

タケルは呆然とするしかなかった。

大輔は自分の家庭環境を知ってるはずなのだが…?

「あ、あのね…大輔くん、ウチはそれが出来ないの知ってる?」

タケルに言われて、あ…と、思い出したような顔をする。

大輔は、しまったぁ…と思い、顔を真っ赤にして唇をかみ締め俯く。

「あの…大輔くん?」

俯き黙ってしまった大輔の顔を覗き込もうと、タケルも下を向いた。

その瞬間、大輔は頭を上げた。

その拍子に大輔の頭とタケルのおでこがぶつかる。

「…てぇ〜」

御互い、痛みに耐えるように、ぶつけた所を手で抑える。

「わ、わりぃ、タケル」

と、涙目でタケルに謝る。

「ううん…大輔くんこそ大丈夫?」

あぁ…と、大輔は答え、タケルの顔を見つめる。

タケルは大輔の瞳に吸い込まれそうな感覚に襲われる。

≪そんな、潤んだ目で見るのは、反則だよ大輔くん≫

「タケル…」

「あっ…な、何?」

タケルは大輔に名前を呼ばれ我に帰る。

「あの…その、な…うん、と…だな…」

大輔は顔を赤くして何かを言い出そうとするが、言葉が出ない

。 「なに?」

タケルは、優しく大輔に微笑みかける。

大輔はタケルの笑みに苦笑いした。

そして、真っ赤な顔をしたままで、タケルの目の前に人差し指を差し出した。

タケルは、何?と言う顔でその人差し指を見つめる

「い、いいか、一回しか言わないからな!」

「あ…うん?」

「…っ、親、兄弟に甘えられないなら、オレに甘えろ! いいな?」

と、大輔は、真っ赤な顔でタケルに偉そうに言う。

「え…? あの、いいの?」

「あぁ…仕方ないだろ? 甘えられるヤツがいないんじゃさ…」

大輔は自分で言っておきながら恥ずかしくなったのかタケルに背を向け答える。

「ありがとう、大輔くん!」

タケルは大輔の背中から腕を回し抱きついた。

「な! くっつくなよ!」 「え〜? 甘えて良いって言ったの大輔くんじゃないか〜」

そ、そうだけど…と、文句を言いながらも特に抵抗はしなかった。

タケルは嬉しくて思いっきり大輔を抱きしめる。

大輔はタケルの柔らかい髪が頬に当り、少しくすぐったい気持ちになった。

「ねぇ、大輔くん」

「な、なんだ?」

「僕は、大輔くんが好きなんだけど、大輔くんは僕と…た、太一さん どっちが好きなの?」

タケルの問いにしばし沈黙が流れる。

タケルはこの沈黙に不安がこみ上げてきた。

先程、太一と会った時に大輔に自分の手を突き放されてから、ずっと疑問に 思っていたことだった。

自分だけが彼を好きなんじゃないだろうか…という不安が募るばかり。

「た、太一先輩は、憧れの人なんだ、分かってるよな?」

「うん…でもね…」

不安なんだ…と、言いかけた時、自分の腕が強い力で引っ張られ、 タケルは大輔に抱きしめられる形になった。

「だ、大輔くん…?」 タケルは、大輔に抱きしめられている事実に戸惑った。

「こうやって、一緒にいたいと思うのはタケル…お前だけだからな」

大輔は真っ赤な顔でムッとしながら答える。

だから、もうこんな事言うなよ…と拗ねた顔をする。

「うん、ごめんね」

タケルは、大輔の温もりに不安が消えていくのを感じた。

「ねぇ、大輔くん…」

「なんだよ?」

まだ、赤い顔の大輔にタケルは微笑む。

「あのね、キスしよう」

「な…!!!」

「だって、さっき甘えて良いって言ったじゃない」

と、タケルは上目遣いに大輔を見る。

「う…」

分かったよ…と、大輔は渋々諦める。

「ただし、一回だけだからな」

「わかった…でも、大輔くんからして欲しいな」

「う…」

タケルの微笑みに、大輔は勝てなかった…。

ほんの一瞬だけど、大輔からの触れるだけのキス。

それでも、タケルには十分だった。

「ありがとう、大輔くん」

大輔は、真っ赤になって、何でオレが…と、ブツブツ文句を言っている。

そんな大輔を楽しそうに笑いながらタケルは見ていた。

これからも、ずっと傍にいてね…。

そう、願いながら…。

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リクエスト権を頂き、もう全く遠慮なくリクさせて頂きました♪
タケ大にからむ太一さんっっ
バッチリっすあさひさん。
悔いはありません。
ちゃっかりラブラブしちゃうところがさすがタケル様ですっっ。