愛しい人
<2>
カップをそっと机の上に置き大輔の横に座る。
「た、太一先輩?」
大輔の手からカップを奪い離れた所へ置き、頬に手をあて自分の方へ顔を向かせる。
額に軽くキスを落とし、頬に、そして唇に。
「ん…」
唇の隙間から舌を差し入れ大輔の舌を優しく絡め取る。
それに大輔も答えるように絡める。
「ん…ふ…ん…」
大輔から甘い吐息が漏れる。
このまま、全てを奪ってしまいたくなる。
相手はまだ幼い。
これ以上の事はまだ手出しできない。
自分の中の葛藤と戦っていると、チャイムが鳴り響いた。
唇を離すと慌てて大輔は玄関に向かう。
「ちっ!」
舌打ちしながら気持ちを落ち着かせる。
玄関の閉まる音がし、大輔が部屋に戻って来た。
「すいません…荷物が届いて…」
申し訳なさそうに太一の前に座る。
「良いよ…」
太一は大輔の頭を自分の胸元に引き寄せた。
「太一先輩?」
大輔の温もりを感じながら、自分を見上げてくる瞳の端に唇を落とす。
それを擽ったそうに受け止める。
大輔の顎に手を置き上を向かせ、唇を重ねる。
「ん…」
先程の余韻が残っているのか、軽く重ねただけで甘い吐息が漏れる。
太一の心が大輔を強く求める。
大輔の背に手を回し強く抱きしめながら、舌を差し入れ口内をかき回す。
「ん…ふぅん…」
甘い声に太一は意識が跳びそうになる。
まだダメだ…。
そう、思いながらも…手は大輔の服に差し掛かる。
ガチャ…
玄関から音がした。
3へ