リンクの際に頂いたバナーとイラストのお礼の品です。
かなり遅いですが今更のようにお贈りしました(笑)
がちゃ様へ捧げます




あれが最初
あれがはじまり
ぼくのココロ
ぼくのキモチ

あのころの僕は本当に嫌な奴だった
今ならわかる
君が言いたかったこと

だから そう
見えない壁を教えてくれた君
あのころから僕は少しでも変われたかな?

ステップ アップ
階段を昇る
たった一段だけど大きな一歩

ステップ アップ
前を見つめる
たどり着いた先に何があるかなんてきっと誰にも解らない

だけど ステップ アップ

君と一緒にいきたいから

     Step up


「うっわーーーなっつかしーー」
今日もデジタルワールドへ行こうとワープロ室へ集まった子供達はなかなかこない京を待って思い思いに時をつぶしていた。
相変わらず大輔の顔を見て楽しむタケル
それに照れながらわざとらしく光に話しかける大輔
そんな二人に首を傾げながらウパモンとじゃれあう伊織
大輔に話しかけられタケルにちょっぴり嫉妬のこもった瞳で見つめられた光は小さく笑うとこの間ようやく現像にだした写真を鞄から取りだした。

3ヶ月ほど前に買ったカメラがようやく先週フィルムを使い終えたといった次第で何を写したかさっぱり忘れていた。
現像から帰って来た時には思わず懐かしさに声をあげたものだ。

「見てみてこれまだ向こうにいって何回目かの頃よね?」
ピラリと一枚の写真を大輔とタケルに見せる。
それに興味を引かれ伊織もひょっこり後から頭を覗かせた。
そこには現代の選ばれし子供達&パートナーデジモンが勢揃いしていた。
5人+5匹。
楽しそうに笑っているのは京くらいなもので、大輔とタケルがそっぽを向き合っていた。
そんな二人に挟まれた伊織は引きつった笑みで、困ったわねと言ったようにそんな三人を光が見守っていた。

「うわー・・こんな頃もあったんだねー」
ほんの数ヶ月前だというのにまるで何年も前のような気がしてしまう。
タケルの言葉に大輔も伊織も同意を示す
「ホントですね。何故かとても懐かしく感じます」
「だよなー。伊織もしかして昔より焼けたか?」
「え?そうですか?あんまり解らないんですけど。」
うーんと写真と並べてみて焼けた焼けたと頷く大輔に伊織はちょっぴり嬉しそうにはにかんだ。
「元々白いから黒くなるの夢なんです。健康的でいいですよね。大輔さんほど黒くなるのが目標です」
「そうか?でも俺も焼けたかもしんねーなー。やっぱデジタルワールドでさんざん日光浴びたからかなー」
「あっちはデジタルの世界だから関係無い気もするけど」
ひっそりタケルがつっこんだ言葉は綺麗に無視し、大輔は一人自分の言葉に納得した。
「そんな事より大輔君。一番変わったのは別の事でしょ?」
「へ?なんか変わったか?」
光の意味深な瞳に大輔はキョトンとすると真剣に写真を見つめ始めた。
変わった?この写真と今で違うこと。
うーん
あっもしかして
「タケル髪切ったか?」
「・・・・もう2週間も前の話だね」
「・・・悪い全然気付かなかった」
過去の写真と見比べてそんな事に気付いてくれても嬉しくない。
「あとーーーー?えー思いつかねーよーー」

頭を抱える大輔に伊織ですら呆れた。
明らかに解る問題だろうに。



「ごめーん遅れちゃってーって・・・あれ?みんな何見てるのー?」
ガラリと戸を開けた瞬間、開口一番に京は尋ねた。
そんな京に光は大輔からスルリと写真を奪い取りニコニコと見せた。
「うっわーー懐かしいーーーなにこれすっごい昔じゃない?」
「でも数ヶ月だよ?」
「なのー?それじゃあその数ヶ月で二人の仲がこんなに良くなったってわけかー凄いなー」
そっぽを向き合う若き日の大輔とタケル。
今じゃあ楽しくじゃれあうのは日常茶飯事。
「そうかそうか。仲良きことは美しきかなー」
どことなく年寄り臭い京の発言に伊織と光とタケルがぷっと吹き出す。
そんな三人をよそに大輔は

「・・・・ああっ解った」
ぽんっと手のひらを叩いた。
「俺とタケルの仲が良くなったって事かっ」
遅い
そこまで言われてようやく解るこの鈍さ

「でも本当に最近までは嫌ってたぜ?」
「ひどいなー大輔君。そう言うことはココロの中だけで言ってよ。僕傷ついたなー」
と言いながらどさくさに紛れて肩に寄りかかられ大輔は過剰に反応を示した
すなわち思い切り突き飛ばしたのだ。
それには誰もがビックリした。
突き飛ばされた本人はあまりの驚きに地面に尻餅をついたままキョトンと大輔を見上げている。

「あ。悪い・・」
「ううん。それはいいけど、どうかしたの?」
「いや・・なんでもねーよ」
と言いつつ真っ赤にそまった顔を背けた。
(照れてる?)
まさかちょっと触ったくらいでここまで激しく反応されると思わなかったなー
そんな可愛い大輔の反応にヘラリと笑うとタケルはよっこらしょっと立ち上がった。
「京さんもそろったし、行こうか?デジタルワールドへ」


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