泊まりに行こうっ No.4 「えっとーそのー。ああっチビモン、タケルの部屋に置いてきていいか?」 「そっかまだその鞄の中にいるんだ。そのまんまじゃ苦しいよね。こっちだよ」 案内されたタケルの部屋で興味深げにきょろきょろし、鞄をゆっくりと降ろすとファスナーを開き中でうとうとしかけてしたチビモンをそっと取りだした。 黒と白のモノトーンでそろえられた大人っぽい部屋にベッドが一つとその横に布団がすでに敷いてあった。そこにチビモンを寝かせるとタケルの机の上で同じくうとうとしていたパタモンをタケルが抱えてきて、チビモンの隣りにそっと置いた。 「寝顔は可愛いんだよなー普段うるせーけど」 「ふふ・・。まるで子煩悩な親みたいだね」 「・・・・うるせー。嫌な例え方すんな。」 「はいはい。あっちの部屋に戻ろ起こすといけないから」 「ああ」 ゆっくり音を立てないように扉を閉め、二人同時にほっと息をつくと顔を見合わせて思わず笑いだしてしまう。 「タケルー大輔君ーーいらっしゃーい」 「はーーーい」 「今行きまーーーす」 皆で食べるカレーは美味しかった。 「ねっ大輔君」 「んあー?」 お風呂にも入り、後は寝るだけ状態の二人はもう10時だからと布団へと追い立てられ上布団の上をゴロゴロ転がっていた。 「まだ眠くない?」 「んー少しだけ眠いかなー。」 「ちょっとだけ話そ。」 「何を?」 「この間の話」 「・・・・・えーっと別の話にしねー?」 「だってこんな機会なかなかないよ」 「だけどチビモン達だっているし・・」 「大丈夫寝てるよ。それに大輔君も他の場所でこんな話したくないでしょ?」 「う゛ーーーー」 「あのね、保留っていうのは良いんだ。僕の事嫌いじゃないって事だもんね」 「まあ・・確かに」 そうとも言えなくはない・・と歯切れの悪い大輔。 「僕はね本当に大輔君が好きなんだよ。それをちゃんと知っててもらいたいだけ。」 なんの雑音もない密室にタケルの声が響く。 「・・・・・・」 いっそ布団にもぐって寝てしまいたい。 沈黙に耐えきれなくなってついに大輔は口を開いた。 「なあ・・・なんで俺なんだ?」 「え?なんでって―――――」 「だっておかしいだろ?普通女の子選ぶし、その時点でお前変じゃん」 「変・・か。うーん。まあそうだけど。僕こんなに好きになったの大輔君が初めてだからなぁ変とか思う前に感動しちゃったね。僕でも人の事を好きになれるんだなぁって。」 どういう感動の仕方だそれは。 「ほらっ僕ってさ結構他人に対して一歩引いてる感じしない?」 「自分でいうか」 大輔の突っ込みを笑顔で無視してタケルは続ける。 「なんかね。こういうと嫌われそうで嫌なんだけど、他の人ってどうでもいいって気がするんだよね。だから深入りしない。」 「確かにそれ他の人にいったらかなり失礼な話だな」 「うん大輔君は特別だからね。こんなに執着持ったの大輔君が初めて。だから男とか全然僕には関係ないんだ」 「別に親友とかでもいーじゃねーか。太一先輩達みたいにさ」 布団に顔をつっぷしくぐもった声で言う大輔にベッドから身を起こしたタケルが真剣な口調で答えた。 「僕は独占欲が強いんだ。自分が欲しいって思った物、大切だって思った物は他の人に触られたくない。自分の物だっていう確証が欲しい」 うーん親友じゃあその確証とやらにならない物なのか?大輔としては首をひねってしまうところだ。男同士で恋人になろうと言っているくらいなのだからいろんな意味で超越しまくっているのだろう。 「じゃあさ、大輔君は僕が他の誰かと付き合っても傍にいれる?」 タケルが他の誰かと? 眉を寄せ考えてみる。 誰か可愛い女の子がタケルの隣りで笑ってて、タケルも楽しそうで・・・・。 胸がグッと重くなる。見たくないそんな姿。 「親友だったらいれるんだよ。だけど恋人なら・・・・・・」 言いたいことは分かる。 どんどんタケルに惹かれている自分の心にも気付いている。 でも、それでも、それが恋かなんて未熟な自分には判断できないし、それに何よりも男としてのプライドとかその他諸々とかどうしても踏み越えれない物があるんだぁぁぁぁ。 小説部屋 次へ |