聖なる夜の奇跡(おまけ)




後日談

「あの日のKIDは鬼気迫るものがあった。」
しみじみとした中森警部の言葉に白馬はぷ・・と吹き出し、隣の新一は引きつった笑みをみせた。
「そうなんですか。」
「ああ。いつもは飄々と人で遊んで楽しんでいる風だったがあの日は違った。一秒でも早くここを去りたいという執念が見られたな。」
「・・・・」
「マジックどころか珍しく挨拶一つせずあいつは去っていったぞ。」
「め・・めずらしいですね。」
笑いがとまらないらしく震える肩で白馬はそれだけなんとか言った。

「ああ。部下の一人が『なにをそんなに急いでいるんだ?』と聞いたら
『今宵は私が起こす奇跡を待ち望んでいる方がおりますので早々に立ち去らせて頂きます』と叫びながらハングライダーで飛び立って行ってしまったらしい。スムーズのカケラもなかったな」

「・・・・」
あいつ・・・・。なんて恥ずかしい真似を。
真っ赤になった顔を手のひらでおさえると新一は緩む口元をキュっと引き締めた。
「愛されてるじゃないですか。」
くすくす笑いながら白馬はそんな新一の耳元にそっとささやく。
解ってるよ。
そんくらいさ。
だって永遠を約束するためだけに宝石盗んできたんだぜあいつ。
でもそんな石よりあいつと一緒の時間の方が大切だって気付いてないのかねあいつはさ。
ホント変な所でバカだよな。


なにかとてつもなく楽しい気分になってきて白馬と一緒に笑い出す新一。
それを中森警部は首を傾げて眺めていたが、新一がいつもの大人びた顔ではなく幼い少年のように楽しげに笑うのを見て警部もだんだん楽しい気分が伝染してきた。
口元が緩み微笑む。

「あっそうだあの女性が誰だったのか聞いて置けば良かったな。」
「女性?」
「ああ。KIDから宝石を譲り受けた女性だ。知っているか?」
「・・・・・」
「・・・さあ?」
なんとか白馬が答えた。
「きっとその女性がKIDがあの日慌てていた理由なのだろうと私は考えているのだよ。」
あったりー。
快斗ならそう言ったかもしれない。
「あの女性はもしかすると怪盗KIDの手がかりを知らずに持っているかもしれないからな。」
彼の謎の美女探しは始まった。
この世に存在しないその美女は目の前で困惑気に笑っているこの男だと永遠に気付く日はこないでろう。
それを思い心の中で手を合わせて何度も何度も新一は謝った。

もう絶対女装は出来ないな。する気もねーけど。
そう新一は心に決めたのだった。


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やはり中森警部登場。
縁真に愛されている証拠かも(笑)

2001.12.24