光のかけら3
side C

「もっりぃぃーー森だぁぁ。すっごおおおい。おっきい木ぃぃ。」
うわぁ。と楽しげに歓声をあげる歩美。
確かにコナンですら声をあげたくなるほど立派な木だった。
森の中でもひときわ大きな木。でっしりとした構え。緑はふさふさ。
まるで絵本にでも出てきそうな木だった。
「コナンコナンっ手伝えよっ。」
光彦とげんたがなにやら手をつないで木の周りを計るらしい。
「ここが出発地点です。こうして目印をつけて・・・と」
木の根本に枯れ木をつきさしパンパンと汚れた手をはたく光彦。
「さあっ何人分かっ歩美ちゃんも来て下さい。」
「灰原もこいよ。あっ博士はだめだぜ。大人はだめー」
いつもなら興味ないわと答える灰原が大人しくげんたの言葉に従い
木に近寄ってきた。どうやら彼女もちょっと興味があるらしい。

「すげぇよなぁ。これっ。」
振り返り背後に立つ灰原にコナンは楽しげに話かけた。
木の下に来たら更にこの木の大きさがよく分かる。
ぐっと真上を見上げると緑の葉がフサフサと風に揺れていた。
太陽の光が葉と枝の間を通って柔らかく降り注ぐ。
なんともいえない穏やかな空間をその木はかもしだしていた。
「ええ。落ち着くわね。本でももってこればよかったわ。」
確かにこの下で読書するのは最高に気持ちがよさそうだ。
まったくだと灰原に同意するコナン。

・・と(あれ?なんか光がちょっと変・・な気がするぞ?)
キラキラ降り注ぐ光がある場所だけなにやら反射でもしているように光っている。
(鳥の巣でもあるのか?)
鳥の収集癖により光ものを集めるためそれに反射しているとも考えられる。
よく見ようとその一点を見つめるコナン。だがその正体が分かる前にしびれを
切らしたげんたの大声が聞こえた。
「おいっコナンっ灰原早くしろよっ。」
「はいはい。」
肩をすくめ手を後ろで組んだ灰原は早くーーと言うげんたの声もなんのその
悠々といつものペースで歩いて行った。
「ちょっと待てよ。」
(ま、いっか)と、詮索を諦めるコナン。いつもの癖でつい気になる事はとことん調べたく
なってしまうのだ。だが今回は特に対して知りたい物事でもない。
(鳥の巣の光物に反射に決定。そーゆー事にしておこう。)
コナンは一人納得するとげんたの元へと走って行った。


げんた、歩美、光彦、コナン、哀の順に手をつなぎ次にげんたが手を離し
哀と手をつなぐ。
「へへっこれで六人分っ。」
「これで七人分っ」
こうして一人ずつ右へ右へと回って行き、数えていく。だがその木を一週する前に
お腹が空いて疲れ果てたげんたがダウンした。

「腹減ったーー。」
「お腹よりも歩美疲れた。」
「そうですね。出発地点までまだまだ遠いですし、ここは諦めてお昼にしませんか?」
どうやらリタイアらしい。
光彦の提案は確かに丁度いい。そろそろカレー作成にとりかからなければ
昼時にご飯を食べれなくなってしまう。
どうやら手持ちぶたさの博士も暇のあまり大きな木を囲むコナン達の傍らで
優雅に昼寝を楽しんでいた。
「博士。博士起きて。お昼にするわよ。」
灰原が博士を揺さぶると博士はすぐに目覚めた。
「ふぁぁ。ああ・哀君か。ご飯?もうそんな時間になっておったんじゃな。」
ぐぅぅっと背伸びをしつつ車から材料をとりに行った。
「ほれ。じゃがいもに、人参、お肉にタマネギ、あとはーカレーのルウ。
よしよし、忘れ物はないようじゃな。」
ごろごろと袋から食材をとりだす。
「それじゃあ川でこれ洗ってくるね。」
歩美と灰原と博士が洗いに行く。その間にコナン達三人は薪拾いに行くことにした。


「なーコナンーこんなもんでいいか?」
「んあー?」
げんたが腕に抱えた枝の山を見て俺は一瞬めまいがした。
おいおい・・・。
「生木じゃねーか」
「生木?」
なんだよそれ?と首をかしげるげんたに俺は自分が集めた枝を一本見せた。
「こーゆー枯れた枝を集めるんだ。水気がある枝は全然燃えないんだよ。」
これは完全に俺のミスだ。最初に言っておかねばならない事だった。
そうだよなこいつ小学一年生だもんな。知らなくても仕方ねーよな。
「ちなみにその枝はどこから調達したんだ?」
大量の生木。そうそう生木がごろごろ落ちてるわけがない・・・まさか・・。
「そりゃもちろん。木の枝を折ってきたぞ。」
「・・・・やっぱり。」
(そうか薪の枝は拾うものという事すら知らなかったのかこいつは・・。)
がっくりとへたりこんでしまった俺にげんたがムウとふくれる。
「なんだよ知らなかったんだから仕方ねーじゃねーかっ。」
「いや。。俺も悪かったしな。枯れ枝をこのくらい集めてくれよ。」
とげんたが抱える枝をさす。量はこのくらいなんだがもう一度拾い直しだ。
「ちぇっやり直しかよ。」
げんたはぶつぶつ言いつつ生木をその辺に放り出し新たに枯れ枝を探しにでかけた。

「コナン君このくらいでいいですか?」
「んーどれどれ。おっちゃんと枯れ枝だな。」
ニッと笑うと光彦は嬉しそうに笑った。
「当然です。たき火の基本ですから。」
基本か。そうだな今時たき火する奴もいねーけどな。
こいつは意外に雑学しってやがるんだよな。


「あ・・じゃがいも流れちゃった。灰原さん取ってーー」
こういう事態を想定して少し離れた川下にいる哀は難なく緩い流れに乗るじゃがいも
をキャッチする。
「はい。気をつけてね。」
「ありがとぉ。ごめんね。」
すぐに少し離れた川下に移る哀。何故近くで一緒に洗わないのか不思議でたまらない
歩美。
「まあ、いろいろあるんじゃよ。」
哀の考えの分かる博士はなだめるように言い聞かせた。
(わしが哀君の位置についてもいいのじゃが多分反射神経が足りなくて
キャッチ出来ないじゃろうしな。)
もう歳だなぁとか考えつつ困った顔で歩美の洗い物を手伝った。
   ひとこと

    はいーやっとこさ第三弾でっす。
    トロイね。うん。
    まだご飯食べてないよ(笑)
    事件にたどり着くまですら長いじゃーん。やばいお客さんが
    飽きちゃうわ。
    私も飽きちゃうかも(爆)

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